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第一話 日常が終わる

科学的ってパワーワード!!科学のことなんて1ミリも分からないけどタイトルに使ってみた(笑)

  オレ、山下ノボルはげんなりしていた。


  土曜日に行きたくもない部活でバスケをやった後の帰り道、オレがチャリを漕いでいると前方に見たくもない顔がふたつもそろって並んでいた。


  1つ目はオレのいる部活の副キャプテンにして支配者、池山 ユウタだ。ユウタは普段この道を通ってらない。


 だが、今日という日は別だ。その隣にいる女がそれを物語っている。

 別のイケメンを狙って入部したが、そのイケメンが思ってたのと違ったので乗り換えたアバズレ、平闇カノンだ。

 今は二人そろってその女の住む町の方向にチャリを漕いでいる。



 つくづく本当についてないと思う。あいつらと学校以外で顔を合わすなんて絶対にごめんだ。しかしこのままだと前方の信号で奴らとはち合わせしてしまう。仕方なしにチャリのスピードを限界まで落としながら信号が青になるタイミングを待つ。



 ちょうど信号が青になり奴らが通りすぎるのを見計らって少しでも早くあいつらのいる空間から逃れたい、その一心でチャリのペダルを思いっきり漕ぎ出そうとしたその時だったーー。


「あ、三下だ。」


 その声に思わず振り向いてしまうとユウタと目が合った。


 三下とはオレのあだ名だ、山下を読み変えられて定着した。




 最悪だ。即座にオレは奴から目を背けると、奴らとは違う方向の十字路を左に曲がり全速力でチャリをこいだ。



 惨めだった、ひどく自分が惨めだった。


 理由なんかない、ただ何となくだ。






 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ボスんっつ・・・・



 家に帰ってそのままたたんである部屋の布団にダイブする。そしてカバンからスマホを取り出して適当なゲーム実況者の動画を再生する。


 イヤホンから流れてくる音だけを聞きながら虚空を見つめる。音の内容なんてまるで頭に入ってこないが無音だと気が滅入るのでそのまま動画を垂れ流す。


 最近なんだかこんな時間が増えてきた気がする、そんなことを考えているとオレの意識は次第に薄れいった。




 ・・・・目が覚める、やたらと外が暗い。



 ていうかオレの周り全体が暗い、電気消してたのかと思いつつ電気のスイッチを探すとどうも様子がおかしい。



「おまえ、だっせえな。」



 そんな声とともに一人の羽をはやした少女が暗闇の中から浮かび上がった。どこのコスプレ迷子がオレの部屋に迷い込んできたのか思案していると、


「誰がコスプレ迷子だ」


 そう言うや否やオレのスネに鋭い痛みが走った。見ると少女が一瞬で間合いを詰めてオレのそばにいた。そしてサラサラの透き通るような白銀の髪をかきむしりながら少女は続ける。


「おい、おまえ本当は今日、昼寝してあんまり眠れねーし徹夜でゲームして、明日寝ぼけたまま登校中に赤信号に突っ込んでトラックに轢かれて臓物ぶちまけて死ぬはずだったんだわ。」 



 死ぬはずだった?ならオレはこの目の前のチンチクリンに救われるってことかなのか?そう思うと、


「おっ、察しがいいじゃねーか。だが違う。


 ていうかお前はもう死んでいる。わたしが心臓止めた。」


 ニッコリ笑ってそう言うク〇ガキを見て確信した。


 なるほど、そろそろこの目の前の虚言癖のあるガキに現実というものを教えてやらねば、そう思いオレがアイアンクローを繰り出すために少女のこめかみへと手を伸ばそうとしたそのときだったーー



 スッパこっおおおんん・・・



 音を置き去りにして振りぬかれたハリセンを見てから、視線を自分にもどす。




 オレの両手が消し飛んでいた



「おいおいテメェ、今あろうことか私に敵意をむけたな?次やったらお前の首から上をとばす。」


 そう言うと、やれやれもう少し説明してやるかと言わんばかりの偉そうな態度でハリセンをパシパシしながら少女は続ける。


「今からお前には仕事をしてもらう。ちなみにテメエに拒否権はねぇ、明日の今頃には自我をなくして三途の川をプカプカやってるとこを救ってやったんだから当然だわな。


 まあ、安心しろ。テメエなら何の問題もなくこなせる簡単な仕事だ。モンスターをハントするだけの簡単な仕事だから。」


 そうして少女は空間を歪めてうすく光を放つ人型の霧を取り出した。なにやら温かく見ているだけで人を和ませるような雰囲気を感じさせる。


 リアルでもこんな感じのやつと仲良くなりたいものだ、そんなことを思っていると少女はあごで人型の光の塊を指して言う。


「触れろ。ああ、そういやお前の両腕消し飛ばしたとこだったな。とりあえず足でもなんだっていいから触れろや。」


 ・・ッ、このガキいつか服をひん剥いてその姿をネットの海に投下してやる、だがいまオレの生殺与奪はこのガキに握られているとみて間違いねえ。


 そう考えオレは言われるがままにその人型の光を足蹴にする、するとそのフヨフヨした光は一瞬ビクッと硬直した後に霧散していった。なんか塩かけられたナメクジみたいな感じで消えた。


「ふむ、なかなかの素質だな。悪くねえ。おまえ才能あるよ。」


 少女は満足気にうなずく。


 どうやらオレには何かしらの才能があるようだ、中途半端に今まで生きてきて

才能や素質なんて言葉と無縁だったので今のセリフは素直にうれしかった。そこでオレは少女にたずねてみることにした。



「なあ、それってなんの才能?」



 すると少女はニッコリ笑って言った。



「陽キャを陰キャに転落させる才能。」









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