運命の出会い
大阪でも1、2を争うストリートミュージシャンのメッカ(K駅前広場)に来ていた。改札を出てすぐに大きな広場があり、中央に大きな白い時計台がある。その前で歌っている2人組のミュージシャンを聴いていた。その広場から四方に商店街、モール、アミューズメント施設へと移動出来て、大勢の人が行き交う絶好の路上ライブスポットとなっている。その2人組み以外にも、たくさんのミュージシャンが歌っていた。
「どうすか? おそらくアマでもトップクラスかと思いますねん」
「いやいや、だから関西弁の使い方おかしいっちゅうねん」
「駿さん、上手いっ!」
「いや、本場の聞いて真似しただけだし」
これまでも色んなミュージシャンを見てきた。プロは当然として、かつて所属していた事務所のオーディションの審査員もやっていたので、様々なレベルのアマチュアミュージシャンを聴いてきた。音程等は当たり前として、評価の対象となるのは、まずは手を抜かない事。厳密には、抜き方を知っている事。コンサート等はマラソンと同じだ。完走は当たり前で、最後までプロとしてのクオリティを保ちながら歌い、演奏出来るかどうかである。しかし、プロとて人間だ。ファンの声援に応えながら、何十曲も集中力を切らさずにプレイするのは至難の技だし、単純に疲れてくる。ボーカルの喉などは特にそうだ。要は、載せている排気量が大きければ大きいほど長時間歌えるし、多少へたってきても問題ない。そういう歌い手を探していたし、幸太もまた同じ意見だった。だが、ずっとメジャーにいた事で、現在のアマチュアミュージックシーンについてはかなり疎かった。ピラミッドの最下層とも言えるこの場所の音楽に、果たして心揺さぶられるようなものが本当にあるのか疑問だったが、そんな疑問も彼らの音楽を聴いて直ぐに解決した。20人強の足を止めたそのメロディーは、既にプロのレベルに達していた。
「かなりいいんじゃない?」
「そうですよね。実は前々から目を付けてまして」
「そうなの? ボーカルの方はギターは弾かないの?」
「弾いているところは見た事がないです」
そのボーカルより、横でギターを弾きながら時折ハモりを入れる右側の彼が気になった。
「むしろ、ボーカルより彼の方がいいね」
「さすがですね。全く同感ですねん」




