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余興
余興
あぁ、焼けてしまった。
何もかも、私の大好きな絵本。
外の世界を教えてくれる写真。
美しい飾りのついた机。
何もかも燃えてしまった。
「アリス!!………アリス!!…」
誰かが呼んでる気がする。
とても安心できる優しい声色。
あれ?
なんで私は焼けた家の中にいるのかしら?
お茶会はもう終わってしまったの?
「………!!………!!!!」
また誰かが呼んでる。
聞こえないよ。
あぁ、何もかもが焼けていく。
ダメダメ……
苦しいよ…痛いよ……喉が焼ける。
肺が痛いよ。
「アリス………!!どこだ!?…」
「あっ………あっ……」
声が出ないよ。
手を伸ばしても届かない。
私のいる場所以外、この部屋は火の海。
もうすぐ私も焼き尽くされる。
長いドレスの裾がじわじわと焼かれてく。
逃げようたって足が動かない。
足がないから…
車椅子はもう炎の中。
お願いやめて私の世界を壊さないで。
大切な宝物を……
なんで私ばかり
そんなことを考えていると意識が自分のものでなくなる。ふと声が聞こえた。
ーアリスは傲慢だね。怠惰だね。辛いね悲しいね。自分でやったのにまだ助けを求めるなんて!ー