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第2話「汝の隣神を愛せよ」
「あなたの家はここです」
言われて見上げたのは、年季の入った集合住宅、つまりアパートメントというやつだった。
「ここの205号室ですね。そんで、とりあえず生活に必要な物は備え付けてあるそうなんで」
生活に必要な物とは何なんだろう。冷蔵庫とか洗濯機とか、人間と変わらない物が備え付けてあるんだろうか。ていうかそもそも僕は何か食べたりする必要があるのかもわからない。神様も食べなければ餓死するんだろうか。
「あと、天界でのルールだとか、生活についてのマニュアルも備え付けてあります。しっかり目を通して下さい……ってこれも聞いてないんですか?」
はい、聞いていません。神様と言えど全知全能ではないということがよくわかった。
「これホント業務改善しなくちゃいけないっすね。俺の方から言っときますんで。はいこれ、部屋の鍵です」
渡された鍵を眺めていると、案内をしてくれた彼は車に戻ろうとしている。慌ててお礼を言うと、仕事ですから、とまたニカッと笑った。