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承*今度こそ

 折角だから、魔法も使ってみたいですよね。

 「えっ?」 みんなが停止したままの元のカラオケルームで、義足だけど、体は平気だ。

 「駄目だよ。先に起こることは、自分の胸に仕舞っておかなくちゃあ。口に出してしまえば、事態が悪くなることはあっても、よくなることはないんだよ。」

 「今のは一体?」

 「お試しバーチャルだよ。」

 「じゃあ、練習だったの?」

 「ま、そういうことだね。いきなり本番じゃあ、無理だと思って、とりあえず体験コースを試してもらったんだ。」

 「なら、初めに云ってくれたらいいのに。」

 「本気で試すことに意味があるんだよ。練習だと思って始めても、なかなかいい答えを見い出すことは出来ないよ。本気で間違ってみたからこそ、少しはどうすればいいか参考になったろ?」

 「じゃあ、次が本番?」

 「どっちでもいいけど、もう少し練習した方がいいんじゃないかな。」

 「又お試しさせてくれるんだ。」

 「うん、今度はちゃんといつからやり直したいか、君自身で決めて、試せばいいよ。」 そこで少し考えて、

 「じゃあ、さっきのよりも半月程前に、佐伯さんが数日学校休んだことあって、そん時麗香さんの命令で電話かけたことあったんだ。その電話かけるところまで戻れるかな。」

 「OK。」 すると、早速その場面になった。

 「はい、佐伯です。」 本人だ。大事なのは、ここで番号をちゃんと憶えることだ。

 「美野里さんですね。」

 「はい、そうですけど・・」

 「あのさ、麗香さんがあんたに用があるって。」 すぐに携帯を渡した。

 「おい、休んでないで出て来いよ。おまえにぴったりの名前付けてやったからさ。鼻垂れ怨霊ってんだ。絶対学校来いよ。」 私がちょっと応対変えただけなのに、もう麗香さんのセリフが変わってるなと分かった。元は、もう少し長かったはずだ。これが、歴史を変えるってことかと、改めて感心した。そんで今度こそとやる気が出た私は、麗香さんらと別れた夜、佐伯さんに改めて電話した。

 「もしもし、佐伯ですが。」 声違う?

 「あの、私、美野里さんのクラスメイトなんですが。」

 「ちょっと待ってねえ。美野里、クラスのお友達から。」

 「はい、美野里です。」

 「昼間はごめんね。私鮫川さめかわだけど、麗香さんには表だって逆らえなくて、今まで酷いことしたけど、それも併せてごめんなさい。」

 「えっ?ほんとに綾乃さんですか?」

 「うん、綾乃だよ。急にこんなこと云っても信じてもらえないと思うけど、何とかしてあんたのこと守りたいんだ。」 少し沈黙あったけど、

 「本当ですか?」

 「まじで本当なんだ。信じて!」

 「分かりました。信じます。」

 「まず、まだしばらくは学校来ちゃ駄目だよ。来たら、100%虐められる。休んでるうちに、私が何とかするから、それまで家に籠ってて。いいね。」

 「はい、分かりました。」

 「それとね、今夜暴走族がそこら辺走る計画してたから、もし音酷かったら、私んとこかけて来て。」そして、こっちの番号を教えてから切った。更に、それから110番して、麗香さんから聞いていた暴走計画の情報を漏らした。すると翌朝、その効果があったらしく、麗香さんが暴走を阻止されたことをぼやいていた。そんで麗香さんは、作戦を変えて、佐伯さんの友達に登校を説得させようとした。

 「おい、倉町、おまえ鼻垂れと仲良かったよな。」 でも、倉町さんは、無視して同じ部の大和田さんと喋り続けた。麗香さんはいらっとしたみたいで、

 「おい、倉町、何シカトしてんだよ。」 云いながら、背中を小突いた。

 「止めてよ。」 振り向きもしないで、後ろ手で拒絶されて、流石に頭に来たみたいだ。

 「てめえ!」 無理やり倉町さんを向かせようとしたが、

 「止めてって。」 振り向きざま、麗香さんを睨んだ。

 「おい、やんのかよ。」

 「やらないよ。」と云うのと同時に、大和田さんに引っ張られて、さっと身をかわした。そして、

 「逃げんなよ。」と云われるのを無視して、2人でさっさと教室を出て行った。

 「ちっ、何だよ、あいつらあ!」

 「仕方ないですね。」

 「何呑気こいてんだあ、綾乃。」

 「麗香さん、あいつにやらせたらどうです?」 すかさず葉月が竹林さんを指差した。それに気付いた竹林さんは逃げようとしたが、さっと葉月が前に立ち、あえなく麗香さんに捕まった。

 「おまえ、佐伯の友達なら、不登校のダチ放っておけねえよな。」

 「え、私は・・」

 「友達なんて、どうでもいいって云うのか?」

 「いえ、そういう訳じゃあ。」 もうびびって、べそ搔いてた。クラス会を仕切ってた未来のこの人と同じ奴とは思えないほど、弱っちい感じだ。そう云えば、この子は元々こんなんだっけか。

 「じゃあ、鼻垂れを学校連れて来いよ。」

 「でも、本人の意思が大事で・・」 小さい声で抵抗仕掛けたが、

 「今週中に絶対連れて来い。もし、金曜なっても来なかったら、おまえ身代わり決定な。」 確か火曜だから、まだ3日猶予あるけど、竹林さんはもうすっかり青ざめて、ひっくひっくしてた。この人、もしかして過呼吸かも?

 その後、事情を聞きつけた同じグループの城崎じょうさきさんと清水さんと田中さんの3人が相談に乗ってやってたが、みんな動揺するばかりで、竹林さんは泣いてばかりいた。私はといえば、麗香さんの目があるので、うかつにそれに近寄る訳にいかず、とりあえず静観するしかなかった。電話番号も分からなく、連絡しようなくて、そのまま金曜になった。だから、彼女らがどういう対策をとったのか分からないが、佐伯さんは私の忠告通り休んだままだ。

 事態が動いたのは、昼休みだった。4人でトイレに行ったのを、こっちも後からこっそり4人で追いかけた。そんで、竹林さんが入った個室を塞いで、3人をトイレの外へ追い出して、私と葉月に誰も来ない様に出入口で見張らせた。個室の前では、蒔絵まきえが下品な挑発をしていたが、中からは反応ないみたいで、切れた麗香さんが蹴りでトイレの戸を破壊しようとした。

 「いやあ!止めてえ!」 竹林さんの泣き叫ぶ声だ。

 どうしよう?このままだと竹林さんが酷い目に遭う。何とかしなくちゃ。そこで、咄嗟に思いつきで、

 「腹痛え!麗香さん、トイレ行かせて!腹痛いっす。」 わざと麗香さんにぶつかって、竹林さんの個室から押しのける様にしてから、隣の個室に飛び込んだ。すると、すぐに隣の鍵が開いて、中から勢いよく飛び出して行く靴音が聞こえた。

 「綾乃ー、大丈夫?」 蒔絵は、私に気取られて、とぼけたこと云ってた。

 「おい、待てよ! 葉月、捕まえろ!」

 「先生、助けて!」 竹林さんの声だ。丁度トイレの前を、先こーが通りかかったみたいだ。

 「あーあ、逃げられちったねえ。」 蒔絵のとぼけたセリフで、竹林さんが逃げ切れたことを悟った私は、水を数回流し、少し間を置いてから個室を出た。すると、もうみんなの姿はなかった。

 その夜、麗香さんから集合がかかった。場所は、溜まり場にしていた、倒産した会社の廃倉庫だ。そこに招集されるのは日常茶飯事だったと憶えてたので、特に警戒してなかった。ま、昼間のことで麗香さんちょっと機嫌悪いだろうとは思った。けど、甘かった。

 行ってみると、先に来てると思ってた葉月と蒔絵の姿はなく、麗香さんだけが待っていた。

 「どういうつもりなんだ?」 いきなり問われた。

 「何のことですか?」 とぼけてみたが、

 「腹壊したふりしたり、暴走の情報漏らしたりさ。」 え、ばれてる! 何で? やべえ!

 「おまえ、うちをなめてるだろ。おい、やっちまっていいよ。」 どこに隠れてたのか、族の男達が10人以上出て来た。ジエンドだ。クロノス、お願い!

 「残念だったね。」 又一瞬で、元のカラオケルームだ。みんなも律儀に?止まったまま待っててくれてる。

 「無理だよ。麗香さん相手に勝てる訳ない。」

 「じゃあ、諦めるかい?」

 「ねえ、ちょっと反則技でもいいから、麗香さんに勝てそうなやり方ないかな?」

 「ないことないけど、問題もあるからね。」

 「どんな問題なのさ。」

 「ま、お試しくらいなら問題ないし、1度すっきりするのも悪くないからやってみるか。」と、人の質問にも答えてくれずに、大ピンチの場面に戻された。倉庫で、麗香さんの号令のまま、大勢の男達が襲って来たんだ。たださっきと違ったのは、私が右手に何故かスティックを握っていた。それは、どう見ても、魔法少女とかが使ってそうなやつだ。こうなったら、一か八かだ!

 「ええい!」 その掛け声と一振りだけで、襲って来てた男達が、四方八方に吹っ飛んだ。

 「何しやがったあ!」 叫ぶ麗香さんを無視して、今度はスティックを全員に向けて1回転させながら、

 「縛っちゃえ!」と云う間に、吹っ飛んだ男達が今度は一気に一まとまりになって、急に現れたロープでぐるぐる巻きに縛られてしまった。それに巻き込まれそうになりながら、ぎりぎりそこから逃れたみたいな麗香さんがすぐに逆襲して来た。

 「てめえ!」

 「ジャンプ!」 跳んでかわして、

 「お仕置き電撃!」と、目にはっきりと稲光みたいのがスティックから麗香さんに走り、彼女は感電して、頭ちりちりになって泡吹いて倒れた。やり過ぎた? でも、すっきりしたあ!

 ご愛読、ありがとうございました。<(_ _)> 予行演習ですっきりした次は、いよいよ本番に挑みます!(#^.^#)

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