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起*やり直したい

 過ちで負ったビハインドを、やり直すことで帳消しにしたいって、誰にでもありそうな願望ですね。もし、そんな願いを叶えてくれる天使が本当に現れたら・・・

 もし、やり直せるなら・・・


 花屋の山本君が、❝誰もがこの世でたった一つの花❞って歌を唄っている。それを聴きながら、みんな盛り上がっている。

 でも、私はその空気に入り切れなかった。

 卒業して3年ぶりに会った、中3の時のクラスメート。


 当時の私は、超悪のヤンキー。

 そのヤンキー仲間の中で最強の麗香さんに逆らえず、彼女の命令のままに酷いことをしまくっていた。

 中でも、クラスの虐められっ子を徹底的に虐めていた。

 

 ある日、その報いを受ける日が来た。


 今、私の左脚は、膝下から先がない。だから、このクラス会も、慣れない義足で参加している。


 「随分可哀そうなことになってるんだね。」 まるでヘッドホンでもしているかの様に、周りの音声を遮断して、怪しい声が耳元で聞こえた。それは、男の甘い声に思えた。

 「誰?」 私が反応した途端、周りの全てが止まった。え、嘘!


 カラオケのパーティールームで、一時停止の映像化している元級友たちをよそに、沸き上がったスモークの中から、そいつは現れた。白い古代の衣装を纏った、背中に一対の翼が付いてる。天使か?ギリシャ神話に出て来そうな、とてもこの世に実在しそうにない神ってる?彫りの深いイケメン。


 「我が名は、クロノス*綾乃バージョン。君の為に時を司る者さ。」なんてことを、真顔で当たり前みたいに云ってるけど、自分の目と耳を疑うしかない。そんで、怪訝そうな顔をしてみた。

 「信じられないのは、無理もないね。」

 「正直、怪しいんですけど。」

 「何をして怪しいと云うのかは知らないけど、決して怪しい者ではないとは云えない。」 云えないのかよ。じゃあ、信じられないじゃん。

 「けど、怪しいとも云い切れないよ。」 な、何なんだよ?

 「ま、いきなりシリアスモードになって引かれても困るので、ちょっとちゃらけてもみたけど、ふざけてばかりいても仕方ないので、本題に入るよ。」 いや、むしろ逆に引きかけてた。けど、ほんとはちょっと期待してんだ。やり直したい気持ちを、まじ叶えてくれるって。そんな奇跡をさ。

 「そう、やり直させてあげるよ。時間を戻してね。」って、さっきから心の中読まれてる?

 「そうだよ。君の思ってることは分かりやすいからね。いや、単細胞だと馬鹿にしてるんじゃないんだよ。」って、気の回し過ぎだよ。実は馬鹿にしてんだ。ま、こんな天使みたいな奴からみたら、人間なんてちょろいのかもしれないな。何てことどうでもいいから、早くつづきを・・・

 「一応説明しておくけど、君はパラレルワールドって、知ってるかい?」

 「タイムマシーンとかで過去に戻って、歴史狂わせたら、本来の歴史とは違うもう一つの歴史が出来るみたいな?」

 「よく知ってるね。ま、そういうことだね。つまり、いくらやり直したところで、この現実は何も変わりはしない。ただ、この現実と並行してもう一つの世界が産まれる。ならば、君自身はそのもう一つのパラレルワールドで生き続ければいいんだよ。」

 「そんなこと出来るの?」

 「それをやらせてあげる為に、僕は来たんだよ。」

 「いつの時からやり直させてもらえるの?」

 「君が間違えたと思う時の少し前まで戻してあげるよ。」

 「どこから間違えたのか、正直分からないんだ。だから、いっそ赤ん坊からやり直したい。」

 「ぶー!それはお勧め出来ないね。」

 「何でさ?」

 「実のところを云うと、遡る時間の長さと消費するエネルギーは比例するんだ。17、8年分の逆行に要する消費エネルギーは馬鹿にならない。それに、18歳の君が赤ん坊になるには無理があるよ。それこそ、大量のエネルギーの無駄遣いさ。」

 「エネルギーが減ると駄目なん?」

 「うん、何やってもすぐ行き詰まると思うよ。だから、せいぜい3、4年が限度だね。それ超えると、やり直す意味がなくなるよ。だから、君は今を逃すと、もうチャンスはないと云っても過言ではないね。3年と4年でも差はあるから、無駄な遡りは余計苦しくなるだけだ。」

 「そうなんだ。」

 「とは云っても、迷ってても仕方ないから、1度試してみればいいよ。」

 「試すって・・・」と云いかけたのは、もう無駄だった。既に、その怪しい天使?の姿も、止まったままの元級友たちも、元いたはずのカラオケルームも、全て消えた。と同時に、周りが中3当時の教室と当時のクラスメートになってた。

 「呪いの力があるとか、生意気云ってんじゃねえよ。」 丁度、麗香さんが怯える佐伯の顎を掴んで恫喝しているところだ。この後、確か麗香さんは、悔しかったら自分を呪い殺してみなよ、みたいなっこと云って挑発したんだ。そのせいで、この3日後麗香さんは事故死して、更にその翌朝私は自宅の階段転げ落ちて・・・

 「止めて!麗香さん!」 咄嗟に麗香さんに後ろからしがみついて、佐伯から引き離そうとした。途端、みんなが騒然となった。あ、それと義足じゃない!

 「おい、綾乃、どういうつもりだあ。放せ!」 思い切り振りほどかれそうになったけど、必死にしがみついて放さなかった。

 「いやだあ!こんなことしたら大変なことになるんだあ!」 無我夢中だった。

 「うっぜええ!放せええ!」 激しいもみ合いになった。

 「絶対に放しません!」と更に力入れ直そうとした瞬間、言葉と裏腹に、物凄い力で振りほどかれ、その流れで突き飛ばされた。

 「綾乃!」 傍にあった机にぶち当たって床に倒れた私に、葉月はづきの声がした。この葉月も、家が火事になって可哀そうなことになるんだ。

 「葉月ー!手え出すなあ!」 その一括の後、すぐに麗香さんの蹴りが脇腹に入った。あまりの激痛に叫び声上げた私に、

 「大変なことって、何なんだよお!」 倒れたまま悶絶しかけの私の襟首が掴まれた。

 「呪いで、麗香さんの、首が・・」 絶え絶えになりながら必死で云いかけたところで、その口めがけて突きが入り、前歯が何本か折れるのが分かった。

 「葉月も、蒔絵まきえもよく見とけ!うちに逆らったらどうなるかをなああ!」 やられる! 激しい突きや蹴り・・・

 「止めねえと、まじやばくね。」

 「馬鹿か、誰がこんな奴止められんだよ。」

 「かばってやられるのは自分じゃん。」 そんな男子の声や、女子の悲鳴とかが段々小さくなってく中で、胸から沸き上がって来た血を床に吐いた。

 「えっ?」

 ご愛読、ありがとうございました。<(_ _)> 以後、17日=承、24日=転、31日=結の予定で進めて参ります。(#^.^#)

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