本当のこと。
あれから2週間後……
学校に行くと色んな人にチラチラ見られた。
「翼っち、昨日のやつみんなに広まったみたい。」
大志がボソッと教えてくれた。
「有紗さんのこと?」
「あぁ、婚約者の方のな。」
「……………でも……」
俺は俯いた。俺が好きなのは……………
「あっ……………」
目の前で聴きなれた声が聞こえた。
慌てて顔をあげると西野さんがいた。
「にし……………」
西野さんは下を向いて通り過ぎてった。
「西野さん……」
嫌われたのだろうか。そりゃそうだよな。
好きだって言ったのに……………。
結局、その日の授業は頭の中に入ってこなかった。
「……………南雲くん。」
放課後、帰ろうとした時に後ろから聴きなれた声が聞こえた。
「……西野さん……!?」
声をかけてきたのは俺の好きな、西野さんだった。
「……私……ね、」
西野さんは顔を赤くしながら話し出した。
「う、うん。」
「来たんだ……………通知……」
そういってポケットから携帯をとりだした。
『18歳おめでとうございます。
早速ですが貴方の婚約者の情報を載せさせていただきます。
南雲翼1998年8月25日生まれ B型』
と、書かれていた。
「これって……………俺?」
そのに書かれていたのは俺の名前、誕生日、血液型がそのまま書かれていた。
「え、ちょ、待って……」
慌てて自分の方の通知を見返す。
『西野有紗1998年4月13日生まれ A型』
と書いてあった。
「最初……AB型だったのに……婚約届にも……そうやって……」
「……………これを見た時に、すぐに南雲くんに伝えようと思った。ねぇ、南雲くん。好き。」
西野さんはするりと俺の首に手を伸ばした。
そして優しく抱きしめた。
「……ん……」
西野さんとの2回目のキス。
西野さん……………大好き……、
*****
───西野家
「有紗お嬢様」
「……なに。」
「西野有紗様の方へ、政府から通知が届いたそうです。 」
「あの西野有紗に!?」
「はい。」
「……くそっ……なんで止めなかったのよ! 」
「国での決まりなので。」
「これじゃ……私との結婚がなくなっちゃうじゃない……………やっと見つけたのに……」
「お嬢様、」
「……私は、西野有紗、なの。」
「……………かしこまりました。」
執事は部屋から出ていった。
「私は西野有紗、私は西野有紗、私は西野有紗!!!」
「私は、西野有紗なの……」
翼が大好きな、西野有紗よ……………