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新月の夜(ジャック)

短いですが一話だけです。

 

 ■ヴェネリアングラス職人 ジャックの視点


 今夜は新月だ。何だか怖いな……。

 海の向こうへと沈みゆく太陽を見ながら、俺は不安な気持ちでベッドに腰掛けた。先ほどアリア司祭様がこの前一緒に来た専門家と共に部屋に来て「大丈夫だから任せて」と言っていたけれど、いったい何が大丈夫なんだろうか?



 樹熱病という病気はあと少しで治るところだったけれど、結局はなぜかアリア司祭様が聖魔法で完全に治してくれた。何かあるのかな?



「はあ、まあいいか……。」



 俺はアリア司祭様が差し入れに持ってきてくれた食事を食べ終え、沐浴をするとベッドに横になった。不安に思いつつもベッドに体を預けると、仕事の疲れも相まって意識が薄れてくる。波の音が……子守唄のように……意識を闇の中へと……。



 ああ……今日も……仕事……頑張った……。



 ―――――――――――――――



 ……。



 あれ……?



 夢か……これ……?



 窓のところ……。



 誰かいる……。



 誰かが、窓辺に腰かけている……。



 俺はベッドから起き上がると、怖がりもせず窓の方へ向かう。



 ああ……夢だね……………ここは四階だし……腰かけるなんて…………。本当怖くもないし、何だか頭の上に意識があるような、誰かの目を通して俺自身を見ているような、現実感のない映像だし……うん夢だ、夢。



 はぁ~、周りの景色はボーっとしているのに、窓辺にいる誰かのシルエットはやけにはっきりしているなぁ。



 女だ。



 髪の長い、女…………。



 窓まで数メートルなんだけど、やけに時間がかかるな……。水の中を歩いているみたい。ああ夢の中だと、そういうのってあるよな…………。窓に着くと、俺はゆっくりと手を差し出す。



 ここまで近づくと分かる……スゲエ、いい女だ……。



 街の小さな灯りに煌めく美しい黒髪。緩くウェーブする長い黒髪は本当に美しいな。切れ長だけれど、少しだけ上がった目じりは、挑発的でとても魅惑的だ。瞳の色も漆黒で、濡れたようにテラテラと輝いている。鼻も筋が通って、その下にある唇は赤くふっくらとしていて、妖艶な笑みを浮かべている。



 いい女だ。



 肌は白く、手足は細い。胸は……スゲエな、たぶん頭よりもデカイ……。頭よりもデカイ胸なんて見たことない……。触ったら手に余るぞこれは……。そのデカイ胸には、必要最小限の部位を隠すだけの紐のような黒い下着が付いているだけだ……。その紐も、デカイ胸に食い込んで窮屈そうにしている。そう、女は胸と腰に黒い下着だけを付けただけで、腰の細さと尻へのラインが見事な湾曲を見せていて、秘部を隠す下着も紐部分が腰や尻に食い込んで、今にもはちきれそうだ。



 色気がムンムンとして、頭がクラクラする。



 女が窓から降りようとしてかがむと、重力によって両方の胸がユサッユサッと揺れ動く。凄い重量感だ……。



 女は俺に正対すると、首に抱き着いてきて、熱い熱い口づけをしてきた。



 ああ……美味い……女の唇が……美味い……。



 女は俺を押し倒すと、ゆっくりと、重い大きな胸を揺らしながら、いきり立った俺自身の上へとまたがり、再び口づけをして、俺とつながる。



 全身の力が抜ける……。ああ、本当に全身の力が抜ける……。



 ああああ…………………。



 あああああああああああ…………………。




 ドンッ! ドンドンドンッ!



 突然ドアがノック……いやげんこつで殴られているような音が響き渡った。女がビクッとして唇と肉体を離す。ドアはなおも叩かれている。



「おお~い、ジャック! 酒飲もうぜ~っ」

「そうよ~、明日は休みでしょ~?」



 陽気な声が響き渡った。



 ?? なんだ? 夢か? なんだ?



 女は俺の唇に人差し指で振れる。ああ……誰にも言わないよ……。



 あれ? 前にもこんなことあったような………。



 ああ、疲れた。ちょっと休もう。ドアを開けるのも億劫だ。寝よう……。



 寝よう……。




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