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51話

 悩みモード、突入だった。以前はHexenhausに来れなくて悩んで、今度はHexenhausにやってきて悩んでいた。まったくもって困った感じだった、どうしたらこんなにみっともなくて情けない人間になれるんだと自分で感心してしまうくらいだった。

 なんであんなこと、言ったのか?

 間違えたと訂正はしたけれど、一度は好きですなんてぶちかましてしまったし。

 なんなんだ、ぼくは。

 恋でもしてんのか? あんなパーフェクト超人とも言える、メイドさんに?

 バカかぼくは?

「あ……ああああァ」

「どうした若人?」

 なんか気づけば、向かいにひーぼんさんがいたなんなんだこの人は何気にお節介だったりするのか?

 最初はメイド喫茶にガチ紳士の格好なんかできてるから、てっきり結構頭がアレなひとか、もしくはぼくなんかが話し掛ける資格なんてないくらいの上級職のひとな気がしていたが――存外、ただの寂しがり屋なお年寄りな気がしてきていた。

 もう、神父さんにでも懺悔する気持だったドラクエ的に。

「いや、あの……聞いてくれます?」

「聞こうかのう?」

「実は――」

 話しながら、ぼくはなんでメイド喫茶でわざわざ御老人に悩み相談してるんだろうという不思議な気分になってきていた。

 話し終えた、話すと存外気分が軽くなるから単純な話だった。

 結構それなりの時間聞き役に回っていたひーぼんさんはしたり顔で頷き、

「なるほどのう、若人もずいぶん……」「オマタセイタシマシタ、マイマスター」

 見事なくらいタイミングが被って、レインちゃん登場だった。さすがのひーぼんさんも二の句を繋げるわけにはいかないようで、

「む……」

「ああ、どうもレインちゃ――」

 それにぼくは、迎え入れるような言葉を紡ごうした。

 だけどそこに広がる光景に、二の句を繋げられなかった。

 料理が、じゃない。そんなもんあるまさんで鍛えられてるし今さらキッチンワゴンでクロッシュつまりはフランス料理とかで使われる銀のふたぐぐったよが出たくらいじゃ驚かないぜ!

 驚いたのは、レインちゃんのフードが外されていたこと。

 そこから覗いた髪が、銀色で、それは腰まで届こうとしていたことそんなもんリアルで初めて見た、それはなんていうか2,5次元とでも言えるような現実味がない――魅力に溢れていた。

 そして、その顔。

 碧い瞳と、ぷにぷにした頬は、もはや人形かと。

 もっと端的に言えば、すンげぇかわえぇ。

「……すンげぇかわえぇ」

「恐縮デス」

 聞こえた、っていうより喋ってたやべぇ癖発動だったもうイヤだもう死にたい。

「もうイヤだ、もう死にたい……」

「死んじゃ駄目だぞ、若人よ」「死んじゃダメデスヨ、マイマスター」

 また言ってたし二人から止められるわで、もう踏んだり蹴ったりだったがちょっぴり嬉しかった、ぼくはやっぱりダメ人間ですはい。

 ぼくはなんとか苦々しくはあるが笑みのようなものを浮かべて、

「あ、いや……死なないですよ、ホント、御心配おかけしてすいません……」

「いや、別に?」「いえいえそんな?」

 なんだかこんなにあっさりだとそれはそれで寂しいがそれを表に出すのも余計恥かしいので、とりあえず話題を変えようと思ううんホントに。

「あ、あはは……それで、レインちゃんって――」「ではどうぞ、ご賞味くださいませ」

 外国の方なんですか? という質問はあっさり遮られるハメになったまぁいいですよぼくの運命こんなもんですよ諦めてますからえぇホントに。

「あ、はい……では、ありがたく」

 もう慣れたものなので、おとなしくクロッシュが開けられるのを待つ。さて、今回はどんな料理が飛び出すのか? ギガンテスのこん棒なんて、そもそも食いもんじゃないっていう話で、いやーワクテカだなー結構お腹もすいたしっていうかいま何時なんだろう、結構ラストオーダー寸前だったりするのかな?

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