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49話

 覚えている限りじゃ、あるまさんは中世ヨーロッパ風、愛華ちゃんはキラキラメルヘンチック風って感じだったかと思うが?

「レインちゃんですね」

 キタコレ、と叫び出しそうになるのをぐっとこらえた。久しぶりのHexenhausで、そして遂に三人目のレアキャラ遭遇、これはワクテカな展開だった、とことんひーぼんさんありがとー!

 と、そういえば。

「愛華ちゃん?」

「なんですかご主人さま?」

「ひーぼんさんは……」

「既に席にお着きですよ?」

 見ると、ちょっと奥にカウンター席があった、ひとつだけ。なんかいよいよな感じだなと思えた。テーブルにも椅子は前と後ろにふたつだけだし、こりゃ前回みたいな無茶しようとしても今みたいな長椅子に二人とあと一人でせいぜいが6人くらいのものか? まぁ、今みたいに3、4人くらいが一番ゆったりできるとは思うが。

 ぼくは立ち上がり、ひーぼんさんの方に近づいていった。暗いので心配したが、僅か3歩で到着するくらいしか離れてなかったからまったくもって無問題もーまんたいだった。

「どうも、ひーぼんさん」

「おぉ、黒瀬くん。調子の方は大丈夫かの?」

「ええ……まぁ、むっちゃ痛いですけど」

「いやはや突然の事に驚いたものじゃが……あの子が若人の、想い人ということかのう?」

 一瞬ビクッとしたが、もう半分くらい告白みたいなことをしておいて今さらだった。

「……ど、どうでしょう? 自分でも、よくわからんのです」

 本音をぶっちゃけ、カウンターに上半身を沈み込ませた要は顔を伏せた。

 ひーぼんさんが、なにか液体を飲んでいる音が聞こえた。

「まぁ、人生じゃからのう。色々あるわな」

「……ひーぼんさん、あんま深く考えてないでしょ?」

「若人は悩めばいいんじゃよ、悩めば」

 年取ってるひとの言葉には敵わないと、ぼくは顔をあげ、現実と直面することにした。

「ハァ……じゃあ、」

「オカエリナサイマセ、マイマスター」

 真後ろから、変な言葉が飛んできた。

「ぅえ? だ、な、へ?」

 振り返り、驚いた。

 真後ろに、ちっこい人がいた。その人はフード被ってた、というより全身をフードというかコートに覆われていたしかも真っ黒な。だから正直印象としては人に話しかけられたというよりもフードが話しかけてきたようですらあるくらいだった。

「…………」

 しかも、喋んないし。

 めっちゃ気まずかった。

 というかどう考えても、この人がレインちゃんに間違いなかった。

「……あの、」

「なんでしょうマイマスター」

 おいおい、御主人様だから御主人様マスターかよと言う感じだった、なるほどコンセプト喫茶の趣旨把握。

 ぼくは考え、

「……レインさん、ですか?」

「レインでございます、マイマスター」

「あの……メイドさん、ですか?」

「ボクは、」

 ――ボク?

「魔術師デス」

 まぁそうでしょうねという感想ぐらいしか抱けなかったが残念ながら。

 ぼくは苦笑いしてから、ひーぼんさんに振り返った。

 そして小声で、

「……あの、ひーぼんさん?」

「なにかのう?」

「レインちゃんって……どういう女の子なんですか?」

「男の娘かものう?」

 おいおい、軽く信じかけたけどリアルでソレはないだろうというかこんなちっちゃくて男だったら――

 ぼくは再度レインちゃんに向き直り、

「……男、じゃないですよね?」

「…………」

 無言だったが、そこに明らかな怒りに近いプレッシャーがあったからもちろん後ろのじいさん肘で小突いておいた、おいおい年甲斐もなく茶目っけあるじゃねぇかこの野郎?

 ぼくは軽く咳払いして、

「ご、ゴホン……あの、レインさん?」

「なんでしょうマイマスター?」

 元の木阿弥だった、ぼくは話題を考え――

「あの……ここ、喫茶店で?」

「はい、コンセプト喫茶Hexenhausでございます」

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