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48話

 目が覚めると、ガツーンと頭が痛かった。

「ッ! って……ぇ!?」

 それに顔をしかめ、目を閉じ後頭部を押さえた。でっかいたんこぶが、出来ていた。

「くッ、ぅ……たたた」

「だいじょうぶですか? ご主人さま」

 顔を見なくてもわかる。

「そのっ、声、は……あるまさんならぬ愛華ちゃん、だね?」

「愛華ですけど、ご主人さまだいじょうぶですか?」

「な、なんだかずいぶん久し、ぶり……っな気がするけど……実際二週間ぐらいしか、経って――」

「てい」

 チョップされたらしい、後頭部を。

 いっしゅん閻魔大王さまが、おいでましました。

「ぬぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

 頭を押さえて床に突っ伏すくらいじゃまったくおっつかず転げ回りのたうち回る、間違いなくぼくが今まで経験したなかで一番痛い体験だった、ヤヴァかった、頭が割れて、中から飛び出しちゃいけないモノが飛び出してるとすら感じられるほどというか実際飛び出してるんじゃないかと――

「あ、が、ばばばババ」

「ご主人さま、ダメですよ? ひとの話はちゃんと聞かないといけないって学校で習いませんでしたか? ましてや愛華の話なら、普通のひとの172倍くらいは価値があるんですから、なにしろご主人さま(あなた)の為、だ・か・らっ」

「うべべべべ、べ、べ……」

「あー、またご主人さま愛華の話聞いてませんね? 仕方ないなー、では恐縮ながら再度愛のムチならぬチョップをば――」

「いィッ!? い、いいですだいじょうぶです聞いてますってば!」

 大惨事だった、なんでこうなった? のリアルバージョンだった。アレ? 愛華ちゃんって、ぼくの記憶が正しければ結構な出来メイドで、こんな無茶するような娘じゃなかったような?

 見れば愛華ちゃんは私服でした本当にありがとうございます、オフホワイトのシャツに臙脂色のカーディガンが眩しいなるほどいま休憩中かなにかで、だからメイドじゃないから雑というか素が出てるんですねわかります。

「あはは……愛華ちゃん、休憩中?」

「ていうかオフです」

「そ、そっかぁ、オフかぁ……なんでいんの?」

「いちゃダメなんですか?」

 なぜか手が、刀の形に。

「いっ!? いやいやいやダメじゃないですまったくないです……でも、なんで来てるのHexenhausに?」

「だって……居心地いいじゃあないですかぁ?」

 ごもっともだった、ぼくは無言で二回頷き、そして改めて辺りを見回した。ぼくはいったい、どこで眠りこけていたのか?

 とまぁもちろんそこはHexenhausの中だろう一角の、待合室にあるような長椅子のうえだった。背中に当たるのは壁、左隣に扉、となるとここは入ってすぐ右手とでも言うべき場所だろうか。

 そして店内に、視線を。

 そこは――なんか、おどろおどろしかった。

「…………」

 うわぁ……とか言おうとしたが、実際人間本気で引くと言葉も出ないモノだったりした。

 とにかく感想を言う前に、愛華ちゃんにひとこと。

「……なんで灯り、点けてないの?」

「ありますよ? ほらそこ」

 はい蝋燭が1本テーブルに煌々とうんコレって読書すらできないレベルだよねメイド"喫茶"だっていうのに、っていうかぼくさらにキャラ変してないかだれかぼくを成長させて主人公らしくしてくれ。

 そして店内だった。そこは、まずまだ夕暮れ過ぎだっていうのに真っ暗だった。まぁ立地が立地だからというのもあるし、周りがなぜか暗幕で覆われていた、なんでやねん。しかし蝋燭の橙色の灯りで照らされ、浮かび上がるそこには――なんだか、不気味なものがたくさん見て取れた。

 髑髏とか。

 表紙に魔法陣が描かれた本だとか。

 どんなオカルティックなメイド喫茶だよ、ここは。

「……なにこれ?」

「本日は魔術喫茶ですね」

 ピンときた。

「……コンセプト、ってやつ?」

「そうですね」

「誰の?」

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