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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

悪夢の町(猫)

作者: 石拓磨

最近、この町に怪我をしている猫が増えた。


足を折られて歩けなくなってしまったものや、両の目をくり抜かれているものなんかを、よく見かける様になったのである。


最初にこういう猫を見たのは2ヶ月程前の事だったと思う、その時私は日課である深夜の散歩に繰り出していた。


余談だが、私が夜の散歩を日課としている理由の一つに月を見るのが好きだからというのがある。


しかし、その日は新月で結局月を見る事など出来なかった。




外に出てから10分程歩いた頃だろうか...私は道路に、等間隔で刺さっている電柱の3本目の所に何かの影を見た。


それは道路のど真ん中に置かれ、街頭に照らされているが、ここからではそれが一体何のかわからない。


少し近づく。


まだ何なのかはわからない。


もう少し近づくことにした。


1歩、2歩、3歩と近づいていく。




4歩、5歩......




思わず息を呑んだ。


それが何なのかはわかった、しかしオカシナ...いびつなシルエットである。


私は更に近づく。


1歩...2歩...3歩...4歩。




そしてすべてが明らかとなった。


目が無かった、爪が無かった、耳が無かった。


脚の関節は総て逆に曲がっていた。


それは猫だった。


しかし、それはずさんな手際で改造され、別の何かに成り果てていた。





その日から今まで多くの猫が、その時の猫と同じ様な目にあっている。


それから私はこんなことをよく考えるようなった。


何故多くの、ただ生きてるだけの猫がこんな目に遭わなくてはいけなかったのか。


犯人はどんな事を思い、考えて、猫の自由を奪っていったのか...猫を手にかけるその時、犯人は何を感じるのか...。


私はあの日から少しづつ、しかし自覚できる程の速度でおかしくなっていった。


そしてとうとう私は、あの猫を手にかけた犯人のこと以外、考えれなくなっていた。


私は犯人を探す事に決めた。


犯人がどんな奴なのか、この謎を解かなければ私は一生この呪縛からは逃れられないと確信したのだ。





今日も私は犯人を探して町を歩いている。


見渡すとそこら中に手負いの猫、中にはもう二度と動かなくなってしまったのまでいる、恐らく餓死だろう、足を折られたり、目をくり抜かれたりした猫は、食料を探しに行くことすら出来ない。


被害にあった猫はその後も苦しみ、そしてほぼ確実に死に至るのだ。





犯人。


これを実行した犯人。


この異常な空間を、創り出した犯人。


私は道の真ん中で犯人ついて考え込む。


その時、私はいつもより深い思考の海を潜っていた。


だから、気付くことが出来なかった。


後ろの人影に。



「ニャァアッ!!」


気付くと私は背後から人間に抱き上げられていた。


そして脚を掴んで私を宙吊りにする。


私はただ、ほぼ確実に訪れる死に怯えていた。





初投稿です、未熟な私のこんな小説を最後まで読んでくださった貴方に感謝します。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とてもいいと思いました! 短いのに内容が深くて、後半はもう小説の世界に入り込んでしまいました^^ その分、結末にはすごく驚きました!
[良い点] 短いですけどオチまですっきりまとまっていて、面白かったです。 エドガー・アラン・ポーの黒猫を思い出しました! 意識してたりしますか? [気になる点] 話半分に聞いてもらえたらいいんですが、…
2015/08/14 15:13 退会済み
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