騎鋼皇アーサー-Cyber Knight King Arthur-
新年一発目にかなり気合い入れた超絶長い(←迷惑すぎるわ!)短編を新作として出しました!長過ぎてすみませんが最後まで楽しんでいただけましたら幸いです(汗)
-30XX年…過去の時代とは比べものにならない程、科学が発展し、世界はまるで小説や映画の中に出てくる近未来(SF)さながらのモノへと変化した。
-特に科学の発展から、サイバネティック技術の実用化によって肉体を機械化することで、超人的な身体機能を持つサイボーグとなった人間や完璧なまでに全てを機械で埋め尽くしたロボットなどが普通に闊歩する時代となっていたのだ。
-だがしかし、それに伴いサイバネティック技術による犯罪者、或いはロボットの武装・凶悪化が横行・多発・増加、治安は悪化の一途を辿り、警察も為す術が無かった…いくら時代が新たな道へと進もうとも、否、むしろそれこそが負の要素の革新に繋げてしまったのがある意味、皮肉だった…。
-こんな世界となったばかりに一般市民達の平和への不安はますます募るばかり…。
-そこで、最悪極まりない犯罪者達に対抗する迅速な起動力、強大な打撃力を持つ、国家公務員会直轄のとある組織が生み出された…。
-30XX年・特殊機動治安警察機構『キャメロット』本部
「失礼します!」
「お、来たか…確か今日入る新人の…」
「はい!本日付けで『キャメロット』に配属されました!ギネヴィア・モリスです!!」
-通常の警察署とは別に建造された『キャメロット』専用の基地内部のとある一室のドアが開かれると、透き通る様な白い肌に星の輝きの様な銀色のロングヘアーの髪先をいくつか軽くドリルみたいにロールさせては青いリボンで結んでるという独特のセンスの髪型…そしてまるで少女としかいいようがないくらい幼い顔つきと声、それに反して出るとこ出ているというスタイルも良い女性・ギネヴィア・モリスが挨拶と共に敬礼をしながら入室してきた
「よく来たな、私はこの『キャメロット』の指揮を任されているガラハッド・ワッツ、君の上司だ、以後よろしく頼む…」
「は、はい!!」
-天パ気味なのか癖毛混じりの赤い髪に左眼に付いた何かの爪痕みたいな傷を剣の様な紋様が刻まれた眼帯で隠したスーツ姿のクールそうな男性…『キャメロット』長官・ガラハッド・ワッツは上司として配属されたばかりで緊張してるギネヴィアを無愛想な顔つきながらも歓迎した…そんな時だった
「いやー、サッパリした♪やっぱ昼間の一っ風呂はいいねぇ…って、ん?」
「」
「ランスロット、だから浴室から出る時にはちゃんと着替えるかタオルを巻けとあれほど言ったのに…」
「」
-…奥の部屋、恐らく浴室だろうか?そこから出てきた青がかった黒髪を後ろから一括りに束ねて結び、長身で現在何故かタオルすら纏わず生まれたままの姿の状態の男が現れ、彼を見たギネヴィアは顔を真っ赤に染めたまま固まり、ガラハッドはもう慣れてるのか?未だによく解ってない様子で赤面してるギネヴィアを見てショックを受けてる全裸の男…ランスロット・クレチアンに淡々と注意を促した
-数分後…
「…いや、そのですね…違うんです、ほら?人間ってお風呂に入ると必然的に全裸に、一糸纏わぬ姿になり、開放的になるでしょう?そこで私はその…全裸になることにナニか、こう…感じるモノをですね…」
「変態か貴様は、あと言い訳にすらなってないからな」
「変態じゃないよ!!全裸は人間の原点であり神聖なるアダムとイヴそのものなんだよ!?つまり男も女も本来は全裸が正しき姿…!!」
「それ以上顎を動かすな、裸族」
「」
「…///」
-スーツに着替え、見苦しい言い訳を汗をダラダラ流しながら続けるランスロットだが、ガラハッドのショッキングな一言でバッサリ切り捨てられる、ちなみにギネヴィアは未だに赤面したまま部屋の隅で縮こまっていた
「あ…えーっと…先程は失礼しました…ランスロット・クレチアンです…」
「だ…大丈夫です…ギネヴィア・モリスです…よろしくお願いします、ランスロット・フル○ンさん」
(いやぁああああああ!!名前を間違って覚えられてるゥウウウウウウウウウ!!)
-…先程のランスロットの全裸姿が未だに鮮烈に脳裏に残ってるせいか、動揺し過ぎたあまりギネヴィアは彼の名前を大変間違った形で覚えてしまったという…
「すまないな、ギネヴィア君…そいつの処分は後々…」
『大変ですよ!長官!!』
「どうした?ガウェイン」
-…ここで、黒のメッシュが入った金髪をしたまだ幼さが残る顔立ちの少年の様な小柄の男性・ガウェイン・パールの顔がモニターに映り、余程の急を要する事態なのか?切羽詰まった様子でガラハッドへ緊急連絡してきたのだ
-一方…街では
「街中でロボットが突然暴れ出して…!!現在応戦中です!至急、応援をッ…!!」
「「「うぎゃああああああああ!!」」」
『『『ギギギ…』』』
-ガウェインがレーザーガンやマシンガンなどで武装した数人足らずの警官隊と共に、街中で暴れ回っていた実に百は軽くいるだろう作業用の様々なロボット達を相手に戦っていたが、多勢に無勢…警官達が次々ロボットによって殴り飛ばされて首をヘシ折られる、ドリルなどの作業道具で身体を穿たれて血液や腸などをブチ撒けて無残に殺されていく…
「クソォッ!!人間を舐めるなァアアアアアアアッ!!」
-ほとんどの警官が死んでく中、ガウェインは単身、西洋剣を模したレーザーソードとレーザーガンを持って突撃していく…
-『キャメロット』本部
「待て!ガウェイン!早まるな!!ガウェイン…ガウェインッ!!」
-モニターはここで切れ、ガウェインからの連絡が途絶え…ガラハッドの声が虚しく部屋中に響くだけだった
「諸君…いきなりで悪いがこれより現場に急行し、ガウェインの応援に向かう!」
「よしっ!俺達の出番ってワケだな!!」
「え…で、でも私…実戦経験は…」
-街で起きた緊急事態にガラハッドとランスロットは早速現場に向かおうとしたが、ギネヴィアだけは困惑し、躊躇った…新人故にこういった危険な事態に不慣れな上、実戦経験も皆無に近かったからだ
「ふむ、そうか…ならば仕方あるまい、『奴』をギネヴィア君のフォローに回そう」
「…ゲェエエエエエエエエッ!?あ、『あいつ』をッ!?正気ですか!?長官!!あいつにギネヴィアちゃんを任すくらいならオレに…!!」
「うるさい、黙れ、全裸王、お前みたいな裸族よりはまだマシだと判断したからだ」
「」
-経験が浅い新参者であるギネヴィアのサポート役にガラハッドが『奴』と呼ぶ何者かを推薦したと同時にランスロットが顔を青褪めさせ、かなり慌てた様子で食ってかかるが、ガラハッドはヌーディストよりかはマシと判断し、ランスロットをバッサリ切り捨てた
「着いて来たまえギネヴィア君、君のサポートを担当する相棒がいる場所まで案内しよう」
「は…はい…あの〜?ランスロットさんが固まってますけど…?」
「放っておけ、時間が経てば勝手に立ち直る」
「」
-真っ白な状態で化石の様に固まるランスロットを放置し、ガラハッドは淡々とギネヴィアを『奴』の下へと案内する…
-本部の廊下を約数分程歩き、ようやく辿り着いた目的地と思われる部屋のドアの前に二人は立つ
「…『かずのこ』?
「嘘みたいだろ…?文字がこんにゃくダンス踊ってるみたいだろ?『格納庫』なんだぜ…これで…」
-ドアには『かずのこ』などと平仮名でミミズがのたくった様な汚い殴り書きの文字で書かれていた…恐らく、これを書いた誰かは『格納庫』と書いたつもりらしい
「ウダラッ!!出て来んかい!ゴラァッ!!緊急事態じゃ!ダボがァッ!!」
「長官!!?」
-ガラハッドはいきなりヤクザみたいな口調になり、ドアをノックもせずにヤクザキックで乱暴に蹴破る…ギネヴィアは自分の上司の突然の豹変ぶりに仰天した
「このスカタンッ!!さっさと仕事をだな…!!」
「まっ…待ってください!長官!!私も…!!」
-ガラハッドは口調を変えずにそのまま部屋の中へとズカズカ突入するため、ギネヴィアも慌てて彼に着いて行く…そしてそこで見たモノは…
『フフフフフ…今日こそノーミスクリアしてやる、徹夜してるからまだ一回も死んでないぜ…』
-明かりも点けてない真っ暗な部屋の中…テレビの真ン前に胡座をかきながらゲーム機のコントローラーを握り締め、何か疲れた様な様子でブツブツ呟きながら画面の中でピョンピョンと軽快な動きで跳ね回っているメキシカンな格好しているヒゲおやじを操作する誰か…
-それは全身を機械的な鎧に身を包み、兜や仮面で覆われた顔には独眼が黄金色に爛々と輝き、背中には赤い竜の紋章が描かれたマントを付け、まるで中世の『騎士』を彷彿させてる姿をしている一体のロボットだった…
「…あの〜?長官…もしかしてこのロボットさんが…?」
「認めたくなかろうが、察しの通りだ…おい!またゲームしてたのか!!ゲームするならあれほどテレビから離れてしなさい!ンモー!おやつ抜きにするわよ!?」
「お母さん!?ていうか長官!キャラと情緒が不安定過ぎますよ!?」
-…どうやらこの騎士型ロボットこそが目的の人物…ギネヴィアの相棒となる者らしい、ガラハッドはロボットに大して急に裏声で子供を叱る母親みたいにプリプリ怒り出した、先程といい今といい最初に会った時のガラハッドのクールな印象は最早皆無に等しく、ギネヴィアは当然ながら即座に突っ込んだ
「全く…掃除もしてないし、だが今はそれよりも…」
『タコス!!』
『あ』
「「あ」」
-ガラハッドが人間ならば間違いなく不健康の極みとしか言いようがない徹夜プレイにふけるロボットの肩を掴んで部屋から出そうとした時…テレビ画面のヒゲおやじが意味不明な断末魔を上げながら奈落の底へと落ちていく…次の瞬間
『♪?∀?←→※∀:¥〜〜〜〜!!』
-文字に表せない鋭い絶叫!
『≧゜∀。¥♪>←・¥♪〜〜〜〜〜!!』
-表現不可能的絶叫!
『★ω★・¥>∀※゜≧※>≧〜〜〜〜〜!!!』
-それはそれは凄い絶叫!
「ひいいいいい〜!!な…なんなんですかぁ〜!?この人は〜!!」
-ロボットは大音量で喚き散らし、頭を押さえながら床をゴロゴロ転げ回り、身体を目茶苦茶に捻りまくり、挙げ句にはキツツキが木に穴を空けるみたいに床に高速で頭突きをしまくり、身悶えした…そのあまりの奇行の数々にギネヴィアは小動物みたいに縮こまり、涙目で怯えていた
『お前のせいだァアアアアアアアアアアアア!!』
「チョリソッ!?」
「長官ンンンンンンン!?」
-ロボットは顔のモノアイを大きく見開き、激怒しながらゲームのコントローラーをブチ抜いてガラハッドの顔面目掛け、ものっそ凄い勢いでそれをぶつけてきたのだ…どうやらガラハッドのせいでミスしたと思ってるらしいがどう見ても完全にタダの八つ当たりである
『昨日の朝から…部屋から一歩も出ず、不動明王を決め込んでようやく最終面まで進めたというのに…!!貴様のその愚行…万死に値する…!!』
「たかがゲームで…って、ひょえええええ!?」
「そこまで重罪なんですか!?」
-ロボットはゲームの最終面に至るまでのダメダメなヒッキーぶりを暴露しながら、腰から剣を引き抜き、切っ先をガラハッドの喉元に突き付ける
『鳴かぬなら…鳴いても殺そう、ホトトギス…』
「織田信長はそんなこと言ってないよ!?」
『死にさらしやがりゃあ!!ゴラァアアアアアアアアアアアア!!』
「うぱぁああああああ!?」
-無茶苦茶だった…言ってることもやってることも全て無茶苦茶なことをしながら、ロボットは剣を振り上げてガラハッドを斬り捨てようと…
「こ…こらぁ〜!!や…やめなさーい!!」
『…ん?』
-…しなかった、ギネヴィアが間に入り、身を悌してロボットの殺人行為を止めたのだ
「…!!」
『…』
-腕を広げ、小さな身体を震わせながら涙目でキッと睨み、一歩も引かないギネヴィア…ロボットはそんな彼女の眼差しに何かを感じたか?剣を鞘に戻し、彼女の言う通りに…
『…と、ここで僕が本当に暴力をやめたら、ちょっといい場面だったかもしれませんけどね☆』
「さばみそッ!?」
「ギネヴィア君ンンンンンンン!?なッ!何をするだァーーーーッ ゆるさんッ!」
-…ンなワケがなかった、ロボットは容赦無く、自分よりも背が低いギネヴィアの顔面に強烈な膝蹴りをお見舞いし、ギネヴィアはボギャアアという痛々しい音と共に鼻血と血吐度を飛散させながらブッ飛んだ
-数分後、身体がピクピクと痙攣してて瞳孔も開き、出血量もかなりヤバかったギネヴィアだったが、なんやかんやでようやく復活した
「…それで長官…このトンチキ…ゲフンゲフン!!…ロボットさんが私のサポートを…?」
「ああ、そうだ…君のサポート役にしてコイツが我が『キャメロット』が誇る秘密兵器にして最新鋭のサイバネティック技術を結集させて生み出されたロボット…アーサーだ」
『ウェイト、ウェイッ、ウェイウェイウェイッ、今僕の事「トンチキ」って言ったよね?僕の聞き違いカナ?カナ?』
-鼻にティッシュを詰めたギネヴィアはやや怒った様子だった…ガラハッド曰く『キャメロット』きっての秘密兵器というサイバネティック技術で生み出された騎士型ロボット・アーサーがふざけた口調でギネヴィアの問題発言に何か異議を唱えたが気にしてはならない
「コホン、私は本日新しく入りましたギネヴィア・モリスです、以後よろしくお願いします」
『あ〜らぁ!これはこれは御丁寧に…私はアーサーざぁます!!庶民のお嬢さん、よろしくざぁます!!オホホホホホ!!』
(ムカッ)
-ギネヴィアは一応真面目に自己紹介をしたが肝心のアーサーはというと、突然金持ちのザマスばばぁみたいなイヤミな口調でギネヴィアの頬を札束でペチペチ叩いた…ギネヴィアがアーサーからの仕打ちに怒りを覚えたのは言うまでもない
「アーサー…今、街でロボットの暴走事件が起きてるのは知ってるな…?」
『昨日の朝からゲームしてたんだから知ってるわけねーだろ、アホ』
「…ガウェインがたった一人で必死に食い止めてだな…」
『ああ…なんだガウェインか、どうせ死ぬなら借したゲーム返してから死ねよな…』
「…我々もすぐ向かう、お前は新人故に経験不足なギネヴィア君の相棒になり、サポートを…」
『だ が 断 る 僕はこれから「魔法少女フェアリック☆マキナ」をリアルタイムで見なきゃいけないからね、録画してるけど…マキたん、ハァハァ』
-ガラハッドからロボット暴走事件解決の協力ならびにギネヴィアのサポートを要請されたがアーサーは怒りを買うような発言をガンガンしながらそれらを一切ガン無視し、『魔法少女フェアリック☆マキナ』なるアニメを見始め、挙げ句の果てにはロボットのくせにアニメのキャラに欲情するという変態ぶりを発揮した…彼はゲーム廃人なだけでなく、重度の二次元の住人だったのだ
「「フザケンナッ!!仲間や街の治安をなんだと思ってるんだァアアアアアアアアアアアア!?」」
『ん?』
「「だぉおおおおおおおおおおお!!?」」
『やれやれ、呆れた人達だね…無駄なことするなんて、わけがわからないよ』
-アーサーの数々のふざけた発言に遂にキレたギネヴィアとガラハッドはアーサーの頭を思い切り殴るが、全く効いて無いどころか逆に二人の拳に激しい激痛が走り、情けない悲鳴を上げながら二人は無様に床を転げ回ったのだ
-一機と二人がくだらないギャグをかましているその頃、街でロボットの暴走を食い止めているガウェインはというと…
「早く誰かキてェエエエエエエエエエエ!!死んぢゃうよォオオオオオオオオオーーーッ!!」
-大勢のロボットに囲まれ、泣き言をほざきながら、全身が既にボロボロになり過ぎてパンツ一丁な上にケツを丸出しにした状態で孤軍奮闘していた…
-そんな彼は放っておいて話を戻そう、再びキャメロット本部・格納庫にて…
「「痛ギャアアアアアアアアアアア!!」」
「うおっ!?オレがいない間に何があったんだよ…?」
-ショックな発言を言われて化石になってたランスロットがようやく回復し、格納庫に辿り着いたが、床で未だに痛みのあまりのたうち回るギネヴィアとガラハッドの見苦しい姿にたじろいだ
「アーサー、また何かやらかしたのかよ…?」
『あれ?ランスロット?オマエ、いたんだ?この前「私は神だ!」と言いながら全裸で駅のホームで盆踊りしてたら病院に連れて行かれたんじゃなかったっけ?』
「誰が心の病気だ!?ンなことした覚え無ェーよッ!!勝手な捏造すんなッ!!」
「ランスロット…悩みがあるなら、そう言ってくれればいいのに…」
「ランスロットさん…辛いことが…ひっく…あったんですね…うう…」
「ねえねえ?ナニこの見事な連携プレー?新手のいじめ?職場いじめってヤツ?ねえ?」
-ただ来ただけなのに一機と二人から散々な扱いを受けたランスロットは両目から静かに冷たい雫を零した…
「…じゃねーよ!!それよか早く街に行かねーとッ!!ガウェインがヤバいって!!」
「「…しまった!?」」
『マキたんハァハァハァ』
-彼らのペースに流されたランスロットはすぐさま立ち直り、街へ行くのを急がせたためギネヴィアとガラハッドはようやく思い出したが、アーサーはフェアリック☆マキナの観賞をまだ続けていた
『ふう…今回もいい話だったなぁ、来週は水着回か…楽しみだよ』
「はいはい、見終わったならもう行けますよね?早く街へ向かいましょう!」
『働いたら負けかなと思っている』
「オマエのエネルギー供給ストップして永久凍結してやろうか?」
『さあみんな!我々の愛と勇気と正義で街の平和を脅かす悪と戦おうではないか!!』
「「「その言葉…もっと早く聞きたかった…」」」
-フェアリック☆マキナが終わったと同時にギネヴィアに腕を引っ張られるアーサーだがやはりダメ不動明王を決め込んで一歩も動こうともしない…だが、ガラハッドの脅迫でようやくその重い腰を動かし、あからさまに嘘臭いヒーローチックな綺麗事を抜かしながら遂に立ち上がった
「でも今からじゃ到底間に合いませんよ!?」
「安心しろ、ギネヴィア君…こんなこともあろうかと…」
「…こ…これって…!?」
-ギネヴィアは慌てながら不安そうに言うが無問題と言わんばかりにガラハッドは格納庫の明かりを点けると同時に格納庫の様子…パソコンや複数のフィギュアが乗った机、漫画や同人誌でギッシリな本棚、床中に山の様に詰まれたゲームソフトや玩具が広がるヲタ部屋な光景が見えたが気にしてはならない、ガラハッドは漫画の棚の漫画本を抜き取り『OPEN』というスイッチを押すと格納庫がその『真の姿』を現わした
-部屋の一角の壁が開かれ、その向こうは非常に広々としており、戦闘機・戦車・装甲車などの機動力、マシンガン・火炎放射器・ミサイル・ガトリングガン・レーザーキャノンといったいくつもの武器が保管されている立派な格納庫があったのだ
「わあ…すごいです!こんな仕掛けと部屋があるなんて!」
「ははっ♪驚いたでしょ?ギネヴィアちゃん♪」
「彼女が驚くのも無理もあるまい…此処は様々な犯罪をはじめとした非常事態に備え、あらゆる手段を用意した所だ、普段はアーサーのヲタ部屋としてカムフラージュしているがな」
『全く、僕にはいい迷惑だよ』
-『キャメロット』の格納庫の全貌に驚愕しながらもどことなく子供っぽくはしゃぐギネヴィアだった
「うーん…だけど国家公務員会直轄とはいえ一警察組織に過ぎない『キャメロット』がこれだけの武力を易々と用意出来るものなんでしょうか…?っていうかいいんですか?コレ?」
「今までがヌル過ぎたんだよ…」
「…え?」
-だが同時にふとした疑問を漏らすギネヴィアに対してランスロットがポツリと呟く
「確かに…過去の時代ならばこんな兵器や奴も必要無かっただろうが今は違う…我々が相手をする犯罪者の大半はサイバネティックで強化された凶悪犯達ばかりだ、対抗するにはそれなりの用意がないとな…」
「…加えて、連中に立ち向かう『覚悟』も必要な世界なんだよ、オレ達がこれから向かう現場はね…」
「…ッ!!」
-ガラハッドやランスロットが淡々と語る言葉の重みに飲まれそうになるギネヴィア…現代社会において、アーサーみたいなロボットやサイボーグなどが珍しくもないと思えるくらい当たり前になってきたサイバネティック、その画期的な科学の革新の利便性と危険性の顔を知ってる彼女は改めて自分が今向かおうとしている世界の恐ろしさに脚が竦み、涙が出そうになるが…
「…覚悟なら…戦う覚悟なら出来てます…私は…確かに皆さんみたいにまだ経験を積んでませんし、臆病で泣き虫なところもありますッ!!だけどそれでも人を守りたいッ!!そのためなら…私は逃げずに戦いますッ!!だから…皆さんも力を貸してください!!」
-目に溜まった涙を拭い、迷いを振り払う様にギネヴィアは自分の決意を伝えた
「ヘヘッ♪当ったり前じゃん!!もう俺達、仲間だろ?」
「フッ…改めて歓迎しよう、ようこそ『キャメロット』へ…ギネヴィア・モリス君」
「…はい!アーサーさんも今後ともよろし…く…」
-ギネヴィアの精一杯の覚悟を前ににランスロットは嬉しそうに、ガラハッドは表情こそ変えないが穏やかな顔で彼女を受け入れた、ギネヴィアはまた泣きそうになりながらも明るい笑顔を見せながらアーサーの方も見たが…
『え?何?聴こえない』
「「「」」」
-…まるで話なんか聞いてなかった、iPod+ヘッドホンでアニメソングを大音量で聴いてたためギネヴィアの決意表明など一言も聞こえなかったのだ
「…ぷー…」
「…さて、話はほどほどにして…アーサー、例の『アレ』で現場に向かうぞ」
『ん?ああ…「アレ」ね、はいはい…ちょいとお待ちになってちょうだい』
-自分の話を聞いてないアーサーに対して頬を膨らませながらプンプン怒っているギネヴィアに冷や汗をかきながらもガラハッドはアーサーに『アレ』なるものを出す様に指示するとアーサーは格納庫を走り回り『アレ』を引っ張り出しに向かう
「長官にランスロットさん…『アレ』ってなんですか?」
「この格納庫の中で最も優れた機動力と武装を持つ戦闘機…その名も『ペンドラゴン』だ」
「オレ達くらいの人数なら全員乗れるし、何より現場までひとっ飛びだぜ!」
「わあ〜!!なんだかとてもカッコよさそうです!!」
-アーサーに取りに行かせた『アレ』…ではなく、『ペンドラゴン』…『キャメロット』が保有する中でも最強最速を誇る戦闘機だと語るガラハッドとランスロットの話からギネヴィアは目をキラキラ輝かせ、何かカッコイイもののイメージを浮かばせ、ワクワクしながらそれの到着を待つ…
『おーい、取ってきたぞ〜』
-数分後…アーサーの声と共に何らかの乗り物が走る音が聞こえてくる、現れたモノは…
『お待たせしました!僕らのスゴイ奴!!』
「「「」」」
-カッコイイ戦闘機でもなんでもない、タダの四輪軽自動車…それも萌々しい妖精をモチーフとしたデザインになってる魔法少女風のコスチュームに身を包んで魔法の杖を片手に笑顔で青と白の縞パンをパンチラどころかパンモロして見せてる可愛らしいアニメキャラのイラストと『魔法少女フェアリック☆マキナ』と書かれたタイトルロゴが車体にデカデカとプリントされた所謂『痛車』という奴だった、あまりの事に三人はショックで固まってしまう
『コレでイこう!!』
「「「イかねーよッ!!」」」
-アーサーはサムズアップしながらモノアイの輝きを一層明るくし、ものっそいいドヤ顔を披露しながら三人に乗る様に促したが、当然ながらこんなものでイけるわけがなく拒否られた
-一方、ガウェインはというと…
『オウ!オウ!オウ!!』
-パンッ!パンッ!パンッ!
「アッー!イく!イく!イく!イくゥッ!!」
-パンッ!パンッ!パンッ!
「らめぇええええええ!!イッちゃうゥウウウウウウウウウ!!」
-…とうとうパンツまで破けて全裸にされた挙げ句に作業用ロボットに犯され、別な意味でイッていた…ロボットは腰をカクカク動かしながら自身の自慢のドリルでガウェインの穴を掘っていたのだ…しかも犯されているガウェインも満更ではなく、恍惚の表情を浮かべて今まで経験したこともない未知なる快楽の罠に溺れるのだった…
-キャメロット格納庫にて…
「…違う…想像と…違う…」
「うあああああああ!!ギネヴィアちゃんが目茶苦茶ガッカリしてるゥウウウウウウウ!?当たり前だけどォオオオオオオオオオ!!」
-痛車の登場という信じられない展開にギネヴィアは体育座りしながらこの世の終わりの様な暗い表情で落ち込んだ、ランスロットも突然の出来事で驚きを隠せずに取り乱した
「なんなんだァアアアアアアアアアアアア!!この痛車はァアアアアアアアアアアアア!!?オイイイイイイイイ!!アーサー!!ペンドラゴンはどうしたァアアアアアアアアアアアア!!?」
-ガラハッドも同様に取り乱し、鬼の様な形相でアーサーに詰め寄り、ペンドラゴンの行方を問い質した
『ん?ああ、アレね…一週間前にマキたんの声優さん達のライブへ向かう時に僕以外の観客共の行列を蹴散らすために使うつもりが、その時に操縦を誤って近くのビルに突っ込んで壊しちゃった』
「馬鹿かオマエはァアアアアアアアアアアアアーーーッ!!?」
「アレ一つでいくらすると思ってんだ!?それこそ国の二つ三つ消滅するくらいの値段なんだぞ!?修理だけでも国一つ傾くってのに…ナニやっとんじゃ!アホォオオオオオオオオオ!!」
「国家予算オーバークラス!?」
-どうやらこの馬鹿野郎は超個人的な理由でペンドラゴンをスクラップにした上になんら反省もしていないまま、代わりにこの痛車を引っ張り出してきたらしい…しかもガラハッドとランスロットの発言…ペンドラゴンの開発費ならびに修理費のとんでもない値段にギネヴィアは目玉が飛び出るくらい仰天した
『因みに僕の開発費は十ヶ国分の予算です…汗水流して全国で働く国民の皆様、本当にありがとうございます』
「「やかましいわァアアアアアアアアアアアア!!」」
(く…国が十も…消滅…)
-ギネヴィアは意識を失なった…こんな奴を造るためだけで世界十ヶ国がこの世から消滅したのだ、そんな真実を知り…ギネヴィアは真っ白になりながら自分の意識を遠い遠い場所へと飛ばす…
(神は…いない…)
-臨
-兵
-闘
-者
-皆
-陳
-烈
-在
-禅
-同時刻、某国では…
「ママァ…おなかすいたよぉ…」
「ごめんね…ごめんね…お金がないからごはん買ってあげられないの…」
-荒廃した廃墟の市街地でガリガリに痩せて骨と皮だけになった女の子が同じ様にガリガリになってる母親に食べ物を求めるが母親は涙を流しながら我が子に満足に食べ物も与えられない無力を嘆いた…
「水を…水をくれぇえ…」
「あ〜…あ〜…」
-別の場所では大人の男性達がゾンビの様な低い唸り声を枯れに枯れた喉から絞り出してフラフラと危ない足取りで周囲をさまよいながら水を求めてた…
「大変だ!オレ達の国の予算が尽きたのを狙って隣国の軍が攻めて…!!」
「「「…あ…」」」
-そして空から大量の戦闘機から投下されたクラスター爆弾が某国を炎で焼き尽くし…
-…その昔…戦争がありました
-国という分別の下…互いの正義と理由を賭けて、見知らぬ相手と命を捨ててまで殺し合い…沢山の誰かの親が、子が、大切な人がムシケラの様に死にました
-そして沢山の涙が枯れ果てました
-何かを手に入れる為、誰かを守る為に争い続け…失くしたものに涙するとしても…今も尚、この遠い空の下で繰り返す…何度も何度も…
-もう二度と…もう二度と…もう二度とッ!!!
「No More War!!War!!War!!War!!戦争反対!戦争反対!戦争反対ィイイイイイイイ!!」
「ギネヴィアちゃんが壊れたァアアアアアアアアアアアア!!?」
「鎮静剤を早く!!」
『さてと、こっちでもしてるかな…』
-意識をトリップさせてたギネヴィアが現実に帰ってきた途端、訳の解らないことを叫びながら精神崩壊を起こし暴れ出したため、ランスロットとガラハッドは彼女を取り押さえて止めた、だがアーサーは大して気にも留めずに携帯ゲーム機をピコピコ弄り始めてた
-…ギネヴィアの鎮圧後、しばらくして、結局ガラハッドとランスロットは無い物ねだりしても仕方ないと判断し、泣く泣くアーサーの痛車で現場に向かうのだった…
「…あの〜…長官にランスロットさん?私もう大丈夫ですからこの縄解いてくれませんか…?」
「「多分、マタ、暴レル、ダメ、絶対」」
-ギネヴィアは何故か現在、縄で縛られた状態で後部座席に座らされており、拘束を解くように頼むが助手席のガラハッドとギネヴィアの隣に座るランスロットからの返事は『NO』だった…よくよく見れば二人の顔面は変形してしまってんじゃないかってくらいボコボコになっており、しかも顎を痛めてるのか?口を上手く動かせずカタコトだった
-どうやら彼女を取り押さえて鎮静剤を打つまでかなり苦労したらしく、あまりにも酷い乱心ぶりだったため二人はとにかく抵抗しまくるギネヴィアにボコスカ殴られ、こうなった…そして二人は彼女が再び暴れ出すのを恐れ、事件の現場に到着するまで拘束しておくことにした
『着くまで暇だな…アニソンでも流すか♪』
「「ちょっ…おまっ…それだけはっ…ギャアアアアアアアアア!!?やめてェエエエエエエ!!超恥いんですけどォオオオオオオオオオオ!!?」」
(あ、なんか素敵な歌詞…)
-運転席で痛車を運転し、呑気にしていらっしゃる全ての元凶たるアーサーはというと空気を読まず、いきなり車内でアニメ『魔法少女フェアリック☆マキナ』のオープニングテーマを流し始めたのだ、ただでさえ痛車という痛々しい恥の塊に乗っかってて目立ちまくりだというのに…逃げ場が無い走る密室の中、萌え全開なアニメソングを外に漏れるくらいの大音量で流すというアーサーの暴挙は非ヲタであるガラハッドとランスロット…大の大人の男二人にとっては拷問以外の何者でもなかったが見た目が子供っぽいギネヴィアには割と好評だったという
「ん?なんだ?」
「急に止まってどうしましたか?」
「オイ!早く進んでくれ!アーサー!恥ずかし過ぎて死んじまうよ!!」
『どうやら…渋滞らしい』
「「「えーーーッ!!?」」」
-なんと、渋滞に巻き込まれてしまったらしく身動きが全く取れなくなってしまったという
「やだぁー!!こんな所に閉じ込められたままアニソン三昧だなんてェエエエエエエ!!」
「みんなしてこっちをめっちゃ見てる…終わった…私の人生が終わった…」
「お、お二人共!落ち着いてくださ〜い!気を確かに!ねっ?ねっ?」
『さーて、次はキャラソンを…♪』
-渋滞な上にさらに聴きたくもないアニソンを聴かされて羞恥心もMAXに…ランスロットとガラハッドは最早精神的に限界…ギネヴィアの懸命な励ましも虚しいだけだった…因みにそんな二人の気も知らず、アーサーはフェアリック☆マキナの主人公・哀葉真稀奈のキャラクターソングを流して御機嫌だった
-そして遂に…ガラハッドの精神状態は極限に達した
「…行け」
「長官?何を言って…?」
「無理ッスよ、この混みようじゃまだまだかかりそうですし…」
「…歩道が広いではないか」
「「え!?」」
-とうとう御脳がパーになってしまったらしい、ガラハッドは事もあろうに『歩道を走れ』などという戯言を抜かしおったのだ
「で、でも長官!!歩道には人が…人が沢山ッ!!」
「関係無い…行け」
「「長官ンンンンンン!?」」
「もう堪えられない…このまま動けないまま延々とこっ恥ずかしいアニソンを聴いてるよか、まだマシだ…構わん、行け!アーサー!!私が許す…!!」
-特殊機動治安警察機構・キャメロットの長官とも正気の沙汰とも思えないガラハッドの大問題発言にランスロットとギネヴィアは説得して止めようとしたが時既に遅し…ガラハッドは悪魔に最悪極まりない命令を下した、アーサーの返事は…
『Allright 任せろ』
「任されるな!!頭は確かか!?ドアホ…ッて、グオォオオオオオオオオオッ!?」
-即答だった、ランスロットはアーサーを止めようと彼の頭を殴るがあまりの強度にランスロットは自分の拳に響く衝撃と痛みのあまり、狭い車内でのたうち回る…
「行け!行くんだ!!アーサー!!」
『アーサー!行っきまーす!!』
「「いやぁあああああああああああああ!!?」」
-ガラハッドの命令に対し、普段は面倒臭がったりして全然言う事をまるで聞かないアーサーもこういう命令に関しては妙にノリノリで応え、痛車のアクセルを思い切り踏み、行き先を歩道に向ける…
「イッちゃらめぇええええええええ!!」
-ギネヴィアの悲鳴など最早なんの意味も持たなかった…そして遂に悪夢が現実に…
「な…なんだ!あの痛車は!?急にこっちに…ってギャアアアアアアアアアアアァースッ!!」
「「「あじゃぱぁああああああああああああ!!?」」」
「えびゅッ!?」
「いくらッ!!」
「たらばッ!!」
「がにッ!?」
「しらこッ!!」
-歩行者天国は一変して阿鼻叫喚の地獄絵図と化してしまった、突然歩道に乗り上げて大音量の萌えアニメソングを流しながら猛スピードで爆走する痛車に単なる歩行者に過ぎぬ…なんの罪も無い一般人達は避ける暇も無く、老若男女・女子供老人を問わず次々と激突されて世紀末的な断末魔を上げては宙を舞い、血飛沫を撒き散らしては地面に叩き付けられていく…因みに大半が即死である
『ハッハッハッ!!見ろ!人がゴミの様だ!!』
「ケーキを食べればいいじゃなーい!!ワハハハハハハハハハ!!」
「「誰か助けてーーーーーッ!!」」
-アーサーとガラハッド…頭がプッツンしてしまった狂気の馬鹿二人により、地獄のドライブを味わうハメになったギネヴィアとランスロットはいい迷惑であった
-後に判明した事だが、アーサーの暴走…否、狂走痛車は死者154名・負傷者97名というとんでもない犠牲を叩き出しており、この惨劇は『歩行者天国 白昼の地獄事件』と呼ばれ、犯罪史上最高レベルの大量殺戮事件として歴史に残り、人々から恐れられたという…
-…それはさておき、なんやかんやで事件現場に無事到着、痛車から降りた一機と三人が見たものは…
「」
-完全に手遅れなガウェインの変わり果てた姿だった…全裸でゴミ箱に頭から突っ込まれ、隠すものも無いためタマ○ン丸出しの上にM字開脚しており、肛門にはドリルが突き刺さっているという人間として既に終わってる状態…しかも下腹部には『Please Rape Me!(私を犯して!)』などと赤いペンキで屈辱的な事を書かれていた
「…遅かったか…!!」
-遅過ぎである
「ガ…ガウェイン…」
「きゃあッ!?///」
-ランスロットはガウェインのあまりの酷さに目を背け、拘束からようやく解放されたギネヴィアは顔を赤らめて別な意味で目を背けた
『チッ…使えないヤロウだぜ!コイツめ!コイツめ!!死ぬんならこの前貸したゲーム返せってばよッ!!』
「らっきょ!!」
「アーサーさーんンンンンンン!!?ナニやってんですかァアアアアアアアアアアアア!?」
「「鬼か!お前はァアアアアアアアアアア!!?」」
-アーサーはというと、廃人同然だがまだ息があるガウェインをゴミ箱から引きずり出して歩道に叩き付けると『役立たず』呼ばわりしながら容赦無く蹴りを入れ、死者にスパンキングプレイをブチかましていた、その時だった…
『『『グギギギギ…』』』
「「「!?」」」
-一同はガウェインを廃人にしたと思われる暴走作業用ロボット達にいつの間にか周囲を完全包囲されていた
『『『ギガガガガ…』』』
「コイツらがガウェインを…!!」
「気をつけろ!!ギネヴィア君は我々から離れるな!!」
「は…はい!!」
-ロボット達は文字通り壊れた機械の様な音を漏らしながら、ドリル・チェーンソー・パイルバンカーなどの作業道具を構えてジリジリと迫る…キャメロットメンバー達は警戒しながらロボット共と睨み合う
「このイカレポンコツ共が…私を舐めるなよ、はあああああああああ…!!」
『『『ギガゴガグ!?』』』
-襲い掛かるロボット達を相手にガラハッドは特殊警棒の様な物を取り出して素早く振り回すと、警棒が命中したロボット達は次々と全身に高圧電流が流れてショートを起こし、停止していく…
「ヒュー♪相変わらずエゲつねー威力だぜ…んじゃ、オレも♪どりゃあああああああ」
『『『ギャアアア!!?』』』
-ランスロットも活躍するガラハッドに負けじと、両手に黒い機械的な手甲をはめ、そのままボクサーの様な身のこなしでロボットを一体、また一体とアッパーやボディーブローなどで殴り飛ばすと、ロボット達が爆散してタダのポンコツとなる
(ガラハッド長官もランスロットさんも強いなぁ…アーサーさんは…って)
『逆龍脚!!』
『『『ウボォー!!』』』
『ジェットアッパー!!』
『『『ミギャアー!!』』』
「ゲームのし過ぎですよッ!?」
-ギネヴィアはガラハッドとランスロットの強さに感心した…だがアーサーの方はというと、腰に差している剣を使わず、飛び蹴りやアッパーなどを技の名前を叫びながら繰り出してロボットを蹴散らしていた、どうやら彼は騎士ではなく格闘家の様だった
『『『ヒャッハー!オンナダー!!』』』
『『『おっぱい!おっぱい!』』』
「…!?いやァアアアアアアアアアアアア!!」
-…と、油断していると残りのロボット達が全員、キャメロットメンバーの中で戦闘力が最も低いギネヴィアを狙い、あわよくば彼女にR-18指定のハードプレイをかまそうとしていた
『ギネヴィア!今助けてやる!!』
「アーサーさー…ん?」
-此処でアーサーがギネヴィアを助けに入る…が、何故か彼はギネヴィアの両脚を掴み、そして…
『人間風車だッ!!』
「ギャアアアアアアアアアアア!!?」
『『『オクラッ!?』』』
『『『ジネンジョッ!!』』』
「「ちょっ!おまっ…何故俺らまで…なっとッ!?」」
-このド外道はギネヴィアをジャイアントスイングの要領でブンブン振り回し、ロボット達をガラハッドとランスロットごと巻き込みながら薙ぎ払ったのだ…一つ訂正しよう、彼はどうやら格闘家は格闘家でも手段を一切選ばない喧嘩屋のようだ
-こうして暴走ロボット達を鎮圧することが出来たがその代償は非常にデカかった…
『ギネヴィアッ!?大丈夫かッ!?誰がこんなひどい事を…?許さん…許さんぞォオオオオオオオオオッ!!』
「「お前だ!お前だァアアアアアアアアアアアアッ!!」」
「ゲフッ!ゴブゥッ…!!」
-アーサーは自分でしでかした蛮行…ギネヴィアを武器として扱って殺しかけたことをいるハズも無い架空の犯人にその罪をなすりつけようとしたため、ガラハッドとランスロットから盛大にツッコミを入れられた…尚、ジャイアントスイングかまされ、死にかけで虫の息なギネヴィアはというと、全体的にボロボロな上に歯が三本も折れており、口からドバドバと血が溢れ出ており、地面を汚い赤で染めていた
「しかし…作業用ロボット達が何故急に暴れ出したのだろうか…?」
『そんなものも解らんのか?ヌケサクが』
「ンだとォッ!?じゃあ、テメーはもう解ったってのかよ!!」
『当然だ、僕を誰だと思っている?対サイバネティック犯罪者用に開発れた究極の殲滅兵器・アーサー様だぞ?犯罪者を殺す者であると同時に犯罪捜査のプロフェッショナルでもあるのさ…』
-アーサーはなんと、話だけを聞いて現場に到着する前から既にロボット暴走の原因が解っていたのだ…犯罪者を制する者は犯罪者を制する、犯罪者を取り扱う者は必然的に犯罪に対して勘がよく働き、理解も早くなるのだ
『作業用ロボット(コイツら)はむしろ被害者に過ぎない、見ろ』
「…なんだこの小さいアンテナ?みたいなのは…?」
『この電極が原因だ、コイツを挿し込まれたが最後…人工知能(AI)とは無関係に、何処かから送られてくる電子信号通りに動き、その結果トチ狂っちまった…正解には狂わされたってところだな』
-加害者と思われていたロボット達はどうやら単に狂わされていただけ被害者の様だ…作業用ロボットの背中には全員共通して小さな電極が刺さっており、これがアンテナの様な役割をし、送られてくる電子信号の指示により、文字通りの操り人形にされるという寸法である
「電極は明らかに人為的なものだ…つまり…」
「サイバネティック犯罪か!!」
-事件はまだ終わってなかった…これは単なるロボット暴走事件ではない、黒幕がまだいる…
「私に任せてください!」
「ギネヴィア君!?」
「大丈夫なの!?」
「耐性が付きました!」
-回復がやたら早くなり、段々と馬鹿達と同類になりかけてるギネヴィアは起き上がると同時に何処からかノートパソコンを取り出し、カタカタと手慣れたブラインドタッチで操作していく
「…わかりました!」
「「早ッ!?」」
「ここから歩いて10分弱のゲームセンターから不審な電波反応をキャッチしました!恐らくそこが発信源です!!」
『…ほう?』
-ギネヴィアの驚速の電波の逆探知にガラハッドとランスロットは勿論、アーサーも驚きを隠せなかった
「やったぜ!ギネヴィアちゃん!!」
「えへへ…♪私、皆さんみたいに戦闘は自信ありませんけど、こういうのは得意なんです♪」
「よし!早速向かおう!!」
『あいや、待たれよ!!』
「おかきッ!!」
「「なにゆえッ!?」」
-ガラハッドがゲームセンターに向かおうとした途端、いきなりアーサーが彼の背中に飛び膝蹴りをブチかまし、ガラハッドは背中が逆『くの字』にひん曲がった状態でブッ飛んだ
『真っ正面から向かってどうする?バカなの?死ぬの?私にいい考えがある…ここは犯人を油断させるためにだな…』
「「…ええっ!?そんなことを!?」」
「せ…背中が…ががが…」
-アーサーは犯人を油断させるべく、ある名案が浮かんだらしく、耳打ちをする…え?背中を痛めて悶絶してるガラハッドは放っておいていいのかって?そんな奴は知らん
-ゲームセンター『アヴァロン』
「ふふ…もうすぐだ、もうすぐ僕の思う通りに世界が…」
-昼間だというのに人気がまるで無い…いや、正確には生きてる人間の気配が無い無数の屍が転がり、血の臭いが充満するゲームセンターの中で一人の幼い少年がクスクスと黒い笑みを浮かべてながらクレーンゲームで遊んでいた…
「そろそろロボット達が街を目茶苦茶にしている頃だね…っと、ぬいぐるみゲット、そうさ…腐った世の中は変えなきゃあ…」
-…その口ぶりからロボットを暴走させた犯人はこの呑気にクレーンゲームで見事ゲットした取り出し口から落とされるぬいぐるみを拾い上げている少年のようだ、だがその幼さに反して狂気に満ちた危険思想の持ち主のようだ
『…そこまでだッ!!』
「…!?」
-突如、自動ドアをブチ破り、何者かが乱入したため、少年が後ろを振り向くとそこにいたのは…
「…誰?」
『どうもこんにちは、大天使ミカエルです』
-頭にドーナツを浮かべ、背中には純白のハリボテの翼、そして全身に白い布切れを巻いた自称『大天使ミカエル』を名乗る不審人物…否、アーサーだった、さらには…
「ラファエル!」
「ガブリエル!」
『『『我ら、大天使四天王ッ!!』』』
(三人しかいないじゃないか…)
-似たような格好をしたラファエルと名乗るガラハッドとガブリエルと名乗るランスロットも現れ、三人しかいないにも関わらず『大天使四天王』を名乗り、奇妙なポージングを取る
『ちなみにウリエルは欠席です』
「あの野郎…ブッ殺してやる!!」
「早速、奴の家に乗り込んで拷問したる」
「知るか!あとラファエル怖ッ!?」
-いきなり現れては変な寸劇を始め出す馬鹿三人に困惑しつつもツッコミを御丁寧にする少年、さらにそれだけに留まらず…
「そっ…そんな大天使様のお告げにより、只今参上ッ!!///魔法少女フェアリック☆まきゅっ…マキナッ!!///」
「変なコスプレお姉さんキターーーーーッ!!?ってか台詞噛んだァアアアアアアアアアアアア!!」
-大量のスモークと爆竹の破裂音と共に現れたのは、安っちい格好の馬鹿共とは違い、首には宝石付きのチョーカー、右手には花の様な形をした魔法の杖、背中には透明な四枚のアゲハチョウの様な美しい羽、全体的に空色を基調としたフリフリしてるかわいらしいデザインの衣装であるが上半身の服は胸の中心部分に穴がポッカリ空いてるため谷間が丸出し、服自体が短過ぎるためかヘソも丸出し、下半身のスカートもまた短過ぎるため白と青の縞パンがパンモロし、脚は白のニーハイソックスが太股を包み込んでいるというやたらエロチックで凝ったコスプレをし、髪何故かポニーテールにしたギネヴィアは顔を羞恥で真っ赤にしまくり、涙目で台詞を言うも噛んでしまった
-ちなみにギネヴィアの着てるコスプレ衣装はアーサー秘蔵のフェアリック☆マキナの衣装、某通販サイトにて購入したそのお値段はお手頃価格19800円である
『マジカルフェアリックパワー!』
「ミラクルディバインパワー!」
「ま…魔法の力で…!!///」
「サーチ・アンド・デストロイ」
「だからラファエル、怖いってば!!」
-アーサー・ランスロット・ギネヴィア・ガラハッドの順でそれぞれ決め台詞を言ってポージングすると共に背後から特撮よろしく謎の大爆発が起こった、ガラハッドが何か言ったが気にしたら負けである
「なんなんだよ!誰なんだよ!一体!?いきなりコントなんかして…!!」
「我々は特殊機動治安警察機構『キャメロット』だ」
「お前がロボットを操っていた犯人だな?」
「…警察…!?そんな、暴走させたロボットはっ…!?」
「私達が全て無力化しました!!大人しく投降してください!!」
-さっきの茶番はさておき、キャメロットメンバーは少年を取り囲み、投降するよう要求した
「フンッ!誰がッ…くだらない下等生物なんかの味方する偽善者の言うことなんか聞くもんか…!!」
「なっ…!?きゃあっ!!」
「ギネヴィアちゃん!?」
-少年は当然ながらその要求を断り、そして後頭部からなんと…機械的なアームを触手の様に伸ばし、ロボット達を操ってた電極をギネヴィアの首筋に突き刺した
「あ…ああ…!?腕が…勝手に…!!」
「「…!!」」
「その電極は機械だけじゃない、生物…生きた人間にも有効なのさ…ククク、お姉さんはもう僕の送る電子信号通りにしか動けない操り人形さ」
「あう…ううっ…!!」
-ギネヴィアは電極の電子信号に懸命に抵抗するも、自分の意思とは無関係に腕が…正確には腕の筋肉が勝手に動き、腰から護身用の拳銃を抜き取り、自分の額に銃口を突き付け出した
「どうだい?驚いただろ?この『頭』のおかげさ」
-少年は後ろを振り向き、おもむろに自分の後頭部を見せた…後頭部全体が機械でカバーされてる様に覆われており、さらには何本もの機械的なアームがウネウネと蛇かなにかの様にのたくっている、この後頭部のアームで電極を相手に挿し、同時に頭から電子信号を送り、操るというのがこの少年の力ということらしい
「あれは…頭にサイバネティックで改造を施してるのか!?」
『うわっ…あれは無いわ』
「お前、感想がストレート過ぎ!」
-現代社会においてはサイバネティックによる身体の一部機械化改造などなんの不思議は無かったが、アーサーは一部どころか元から全身機械のくせにドン引きしていた
「…なんで…?なんでこんなことを…するんですか…?」
「僕がこの計画を思いついたのは数年前のあの頃…僕はというと…」
-ギネヴィアはいつ引かれるか解らぬ拳銃の引き金に全身を恐怖で震わせながらも少年に犯行動機を聞くと彼は淡々と語り出すが…
『あ、そういうのいいです、話長そうだし、面倒いし、全部聞くのダルイし』
「ツナマヨ!?」
「「「過去語り妨害したァアアアアアアアアアアアア!!?」」」
-人質がいるにも関わらず、アーサーは平然と少年の顔面を思い切り殴り、刑事ドラマでお馴染みの犯人による『過去語り』を阻止するというあってはならない暴挙に出た
「ぐふっ…がふっ…!!」
『大体解った、お前は本当に救いようが無いな』
「「今ので解ったの!?」」
「駄菓子屋のババアも騙せない嘘を言うな…」
-アーサーは少年の犯行動機を『解った』などと抜かすが信じてはいけない…100%の嘘偽りしか存在していない
『ギネヴィアを解放してサッサと投降しろ…さもなくば、斬る』
「…ぐっ…解った…だがしかし、条件がある…」
-アーサーは剣を抜き、少年の鼻先に切っ先を向ける…少年はというと本能的にアーサーに脅迫も人質も通用しないと判断し、ある条件を出した
「ロボットとお兄さん達…この中の誰でもいいから僕にゲームで勝てたら特別にお姉さんを解放してあげるよ」
『何…?ゲームだと?』
-少年はゲームセンター内にある大人気格闘ゲーム『BLOOD STREAM II』(通称『ブラスト』)の筐体を指差し、これで自分に勝てたらギネヴィアを解放すると言ってきた
「ハッ!面白ェッ!!ならこのランスロット様が相手になってやるぜ!」
「よし行け、ランスロット」
「人質の私は面白くありませんけど!?」
-ここでランスロットが高らかと一番手を宣言し、早速ワンコインを投入する
『チッ、裸王のクセに生意気だなー…ヌーディストのクセに、裸がユニフォームのクセに』
「くくく…なんとでも言え!オレがギネヴィアちゃんと世界を救った主役になるんだよ!ギネヴィアちゃん!御安心を!!君と世界はオレの手で守ってみせる!アーサーに負けず劣らずゲーム無敗!ゲーム帝王のこのオレにお任せを!!」
-自分が一番手で無いことに不満なのかランスロットを容赦無く罵倒しまくるアーサー…ランスロットはそんな戯言など馬の耳に念仏な様子で意気揚々と戦いの舞台へと降り立ち、使用キャラクターを選んで勝負を開始した…
『GO!!Fight!!』
-戦いのゴングが鳴り、三分後…
『YOU WIN!!』
「僕の勝ちだね」
「ウソ…」
-見事に負けました♪ランスロットは信じられない様子でゲーム画面の中でくたばっている持ちキャラにしてブラストの人気No.1キャラある寡黙クールな美少女暗殺者・美鷹カエデの無残な姿を眺めていた…
『ふざけやがって!大口叩きやがってェーーーッ!!』
「殺せッ!殺せ!殺せ!殺せェーーーーッ!!」
「うぎゃああああああああああああ!!」
「ランスロットさァアアアアアアアアアアアん!!」
-速攻で敗北した屑に対して無慈悲なまでに死の制裁を与えるアーサーとガラハッドであった…さようなら、ランスロット…さようなら…
「さあ…次の相手は誰だい?」
-少年はクスクス嘲笑う様にニヤニヤと不敵な笑みを見せて残り二人を挑発する…
「すまんが私は生憎ゲームはランスロットよりも出来ん…アーサー、全てをお前に任せる」
『ふふふふふ、なら真打ち登場…ってことでいいのかな?』
-ガラハッドはゲームが不得意なため辞退し、代わりにリアルゲーム廃人であるアーサーを推薦した…アーサーはというとようやく来た自分の出番にニヤリと笑う
「さあ…行くよ」
『望むところだ』
-少年は先程ランスロットの使ったカエデを沈めた自分の持ちキャラ…不思議系美少女ピエロのエニィ・トリックスターを続投で使用、対するアーサーは大柄な謎の覆面レスラー…ロドリゲス・ビアンコ(メキシコ出身)を選択した
『GO!!Fight!!』
-数分後…運命の結果は…
『YOU WIN!!』
「やった!やった!二連勝!!」
「「」」
『ちちいッ…ロドリゲスの持つ無限の可能性にかけてみたが…やはり無理があったか…』
-大敗でした☆アーサーのロドリゲスは全身ナイフまみれの状態で無様な屍を晒している…そもそもこのロドリゲスというキャラはパワーこそゲーム中最強クラスだが、肝心のスピードはほぼ皆無な上級者向けのキャラでそもそも使用するプレイヤーがいるかどうか怪しいくらいの不人気キャラだったのだ
「ははっ…残念だけどお姉さんは返せな…って、へ?」
『一回こっきりの勝負とは聞いてないんでね』
-なんとアーサーは負けたにも関わらず、ワンコインを投入し、再び少年に勝負を仕掛けてきたのだ
「面白い…叩き潰してあげるよ!!」
-結論からして言おう、アーサーはその後、合計42戦0勝42敗という無残な結果を残した挙げ句、4200円(一プレイ:100円)という大金を失うハメになった
「はあ…はあ…!!本っ当っに!しつっこいなぁッ!!一体、何回負ければ気が済むんだよッ!!?」
-アーサーのあまりのしつこさに少年はイライラを隠せず、遂にキレたがそれはアーサーも同じだった…
『おい小僧…こっち向け!!』
「…え?」
((嫌な予感しかしない!))
-いつの間にかアーサーは少年の背後に立っていた…そしてギネヴィアとガラハッドの考えたくもない予想通り…
『ホーーーーオォオッ…!!ホワッチャアアアアアアアアアアア!!』
「つくねッ!?」
『アータタタタタタタタタタッ!!ホチャーーーーーッ!!ウホッチョーーーッ!!』
「すなッ!?ぎもッ!?」
「「ゲームセンターで一番やってはならないことやっちゃったァアアアアアアアアアアアア!!」」
-マジ切れしたアーサーは事もあろうに幼い少年相手に大人無く殴り掛かり、ゲームセンターでは御法度中の御法度行為…リアルファイトをやらかし、カンフー映画みたいな奇声を発しながらリアルコンボを叩き込んで少年をボコボコにした
『アチョォオオオオオオー!!』
「なんこつッ!?」
「…身体が…動く…!?今なら…!!」
-フィニッシュ技を叩き込んだ時、偶然にも少年の改造した後頭部の一部が壊れた、そのためギネヴィアに刺さっていた電極から送られてくる電子信号がストップし、身体の自由を取り戻した彼女は急いでガラハッドの元に走る
「ギネヴィア君!待ってろ…これで、よし…!」
「長官!すみません…足を引っ張って…!」
「気にするな…!!」
-ガラハッドは素早くギネヴィアの電極を抜き取り、床に叩き付けて足で踏み潰した…形勢逆転これで人質はもういない
『さて…よくも僕の手をわずらわせてくれたな?お仕置きだねッ!!』
「まだだ!!まだ僕には『切り札』があるんだ…出て来い!!」
「なんだこの音は…!?」
「じっ…地面が揺れますぅ!!」
-少年を追い詰めるキャメロットメンバーだが、少年は最後の悪あがきとして、まだ壊れてない部分の後頭部から電子信号を発して『切り札』なるものを呼ぶと突如、ゲームセンター内が揺れはじめ、巨大なナニカが轟音を上げてこちらに向かってきた
『ギガァアアアアアアアアアアアアス!!』
「うおおおおお!?」
「きゃああああ!?」
-ゲームセンターの壁をブチ破り、乱入してきたのは緑のモノアイが妖しく輝く工事用ヘルメットをかぶった労働者を彷彿させるデザインの頭部、右腕が鉄球クレーン、左腕がショベルになっている上半身の身体、下半身はブルドーザーとなっている超巨大な重機ロボットだった
「死ねェッ!!ムシケラ共ォオオオオオオ!!」
『ぐあっ!?ガッ…グフッ!?』
「アーサーさん!!」
「なんてパワーだ!!」
-重機ロボットに乗り込む少年は鉄球で振り回してアーサーを殴り飛ばし、さらにはモノアイからビームを発射して追撃する
「君達は僕を怒らせた!まとめて踏み潰してやる!」
『アトラーーーーーーーース!!』
-重機ロボットは蒸気を吹き出し、何故か伝説上の巨人の名前を叫びながら進撃し、下半身のブルドーザー部分で一機と二人をプレスしようと迫る…え?ランスロットはって?さあ、誰のことでしょう…?
『誰が誰を踏み潰すって?』
-アーサーはすぐさま起き上がり、逃げるどころか重機ロボットの前に立ち塞がる
「アーサーさん!無茶です!!あんな大型ロボット止められません!!」
「その通り!コイツは軍隊が使う重戦車ですら簡単にひっくり返せる!!たかが一体の、人間と変わらないサイズのロボットで何が出来る!!」
『タイターーーーーーーーン!!』
-ギネヴィアや少年が言うように、この重機ロボットとアーサーでは明らかにパワーが違い過ぎる…例えるならば、アリが恐竜に挑むくらいアーサーのしようとしてることは無謀だった
『ガラハッド…「エクスカリバー」の射出を頼む…』
「『エクスカリバー』!?しょっ…正気か!?貴様ッ…あんなものを此処で使うつもりか!?ダメに決まってるだろ!!」
-アーサーは『エクスカリバー』なるものを使うことをガラハッドに提案したが、ガラハッドは顔を青褪めさせて猛反対した
『それしかあのデカブツを止める方法はあるまい』
「…ぐっ…クッ…!!」
「長官!よくわかりませんが…今はアーサーさんを信じましょう!きっとこの人ならなんとかしてくれます!!」
-アーサーの言葉にガラハッドは顔を俯かせ、迷いに迷ったが、ギネヴィアの言葉を聞き、彼女の迷いの無い瞳を見てようやく…
「こちらガラハッド…『エクスカリバー』の封印を解除しろ!!」
-『キャメロット』本部・格納庫
-格納庫の奥にある幾重ものドアで厳重にロックされている扉が自動的にオープンしていき、中から何かが高速で飛び出し、何処かへ向かう…
-ゲームセンター『アヴァロン』
「これで終わりだァアアアアアアアアアアアア!!」
『サイックローーーーープスッ!!』
(も…もう…ダメ…!!)
-ギネヴィアが諦めかけたその時…
「来たか…」
『相変わらず早くて何よりだ』
-アーサーの手にはいつの間にか、腰に携帯している剣とは違う、大剣型の武器が握られていた
「長官…アレは…?」
「『エクスカリバー』、アーサーのみに持つことを許された最終兵器だ…普段はあまりの危険性故に封印指定され、格納庫内に納められている」
-『最終兵器』、そう聞いてギネヴィアは言葉を失う…だが、今は全てをアーサーとエクスカリバーに賭けるしかない…
(神様…!!)
-ギネヴィアは手を合わせ、静かに目を閉じて神に祈りを捧げる…
「ハッ!!そんなもので何が出来る!?」
『ヘカトンッ!!ケーーーーーーイルッ!!』
-重機ロボットは構わずアーサー達目掛けて突進する…
『見せてやる…これがエクスカリバーの力だッ…!!』
-アーサーはエクスカリバーを両手で握り締め、切っ先を重機ロボットに真っ直ぐ向ける様に構え、そして…
-カチッ
-そんな音がしたと同時にエクスカリバーの刀身から、何故か小型サイズのミサイルが飛び出す…
「「「…え?」」」
-そして重機ロボットにそれが命中した途端、眩い光を放ち…
-超巨大なキノコ雲を空に作りながらゲームセンターを中心とした街一つが爆炎に飲み込まれ、周囲一帯全ての建造物は跡形無くブッ飛び、全てが灰燼と化した…
-そう、禁断の剣『エクスカリバー』とは核兵器のことだったのだ…刀身に仕掛けられていた超小型核弾頭は予想外の破壊力であり、重機ロボットだけを破壊するどころか巨大なクレーターだけを残して街は消滅した…重機ロボットに乗った少年?無論死にましたが、なにか?
『久しぶりに使ったから、ちょっとビックリしたなー』
-…などと、こんな危険な兵器を使った本人はというとこれだけのことをやらかしたにも関わらず、単にビックリしただけで済ませており、しかもどこも破損してない元気な姿でピンピンしていた
「いや〜、すごかったな〜ギネヴィア君、私はまだ頭がクラクラするんだが…」
「…普通なら、死んでますよ…私達…」
-瓦礫から自力で這い出て来たボロボロなガラハッドもまた呑気だった…最早ほとんど下着姿なギネヴィアの最もな発言は気にしてはならない
「それにしても、君はアーサーに対する信頼が素晴らしいな」
「…はっ!?///」
-ガラハッドに言われて、ついさっき自分が言った台詞を思い出し、ギネヴィアは急に恥ずかしくなったか、顔から湯気が出るくらい赤面する
「アーサーの相棒になる者はいつも巻き添えで大変な目に遭うが、君とならば奴といいコンビ組めそうじゃないか?」
「コ、コンビ…!?いや…その…新参者な私にはまだ早過ぎるというか…やだ…私、何を言って…///」
-ガラハッドの恥ずかしい言葉責めに対してギネヴィアはその場に小さくうずくまる…
『おい、二人共!これから本部帰ってブラストやろうぜ!!あのガキにやられて腹立つぜ!!』
「ふむ…いいだろう、私も興味が沸いてきたからな…君もどうだ?ギネヴィア君」
「…はい♪」
-アーサーとガラハッド、二人からゲームに誘われたギネヴィアはクスリと笑い、明るく可愛い笑顔で快い声で応えた
-こうしてギネヴィアの『キャメロット』着任一日目、ならびに初の事件は無事解決(壊滅とも言う)して終了した…
-その頃…
「空が…青いなぁ…」
-ランスロットはというと爆発のせいで生首だけの状態になり、ポツリとそんなことを呟いていた…
お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、主な登場人物の名前は全てアーサー王と円卓の騎士、ならびにその関係者から取りました…彼らの本来のイメージをブチ壊しまくって申し訳ありません(汗)
以下、イメージCVという名の妄想です
アーサー(イメージCV:小野大輔)
ギネヴィア(イメージCV:ゆかな)
ガラハッド(イメージCV:野島健児)
ランスロット(イメージCV:森久保祥太郎)
ガウェイン(イメージCV:柿原徹也)
と、こんな感じです
新年早々長ったるい作品を投稿してまことにすみませんでした、それではまたどこかでお会いしましょう…槌鋸鮫でした!