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#12 武藤家弾劾裁判 前編

さて、例によって。

11月のある日の、針川の街は前日に続いて雪が積もった。

もともと冬は寒く夏はクソ暑いなんて言うまるで人間に住んで欲しくねえぞコノヤロー精神を具現化したよーなこの街は、当然冷え込む。

まあ、要はとっても寒いのですね。ええ、とっても。

そんな中武藤銀次も同じく、いくら死人で不死身と言えど、その身に寒さを実感していた。具体的には、その布団の中である。

死人は死んでいる。つまり、発熱しない訳で、本当に寒いのが、いつもの朝なのである。や、矛盾はしていない。

だが、だ。

この朝、武藤銀次のふところは、とっても温かかった。それはまるで、誰か人がそこにいるかのような、温かさな訳で。

いつもいつも妹である麻理鐘の襲撃に怯える銀次は、そこに違和感を感じた。

ある意味最も最悪かつ最凶の組み合わせである。


武藤銀次はこう考える。

ーーあ、布団の中に誰かいるな。

そして、こう思った。

ーーあ、そろそろ麻理鐘特攻の時間だなと。



次の瞬間。

武藤銀次が自分の布団をめくり上げ。

武藤麻理鐘が、改良に改良を加え秒間100発速射を可能にした化物銃ーーーUzIサブマシンガンを持って突撃してきたのは、コンマ何秒もしない、ほぼ同時のことだった。


「覚悟ッ!」

「じゅ、銃は待てっ!」

「問答無用ッ!」


ガガガガガガ!と銃声。飛来する鉛玉。

(くっ!なんで朝からこんなに目にッ!)

そうは思いつつ、両手で弾丸をキャッチし続ける銀次。

人間離れしているという点ではどちらも同じである。

ーーその瞬間の、ことだった。

背後から銃声に紛れ、こんな声が聞こえたのは。



「………うるさいのう。寒いからあまり離れるな、ギンジ」



「「……………んん?」」



勢い良く振り返る銀次。

慌てる自分の布団の中には、輝かしい銀髪と、色気に溢れた肢体を持つ少女が。

はねた髪とか、きっと寝起きだからだろうな、なんでここにいるのかな?

突然の事態に2人はフリーズ。

………うん、リリィさん。

あんた寝る場所用意したよね、と銀次は思うが、身体が動かナッシング。

ーーいや、そう言えば。

昨日帰ってきた時にはみんな寝てしまっていたので、適当に飯を食わせて、寝かして置いたのだ。

場所も居間においていたので、さみしかったのかもしれない。

そうかそうか。

その行動自体は可愛げがあってとても良い。

うん、ぎゅっと抱き締められて非常に良い感じですね、ええ、場所さえ違えば。

ああ、終わった。

武藤銀次の社会生命が、今終わった。

なんとか絞り出した声も、震えている。


「………り、リリィさん。なぜ、ここにいるのかな?」


「お主が一緒に居ても良いと言ったからであろう。恥ずかしいことを言わせるな……………それに」


「それに?」


「我とギンジの……仲であろう?」



うん、犯罪者(オレ)共犯者(キミ)の仲だね。


いや、死んだ。これはさすがに死んだわ。ちょっと頬を赤らめて言ったところが特にヤヴァイ。


そして、銀次よりワンテンポ遅れて正気を取り戻した麻理鐘さんは、聞くも恐ろしい声で、こう告げた。





「ーーーーねえ、兄ちゃん。兄ちゃんの布団から銀髪巨乳の美少女が出てきたことに、なんか言い訳ある?ないよね?あるわけないよねーーーーーー殺す」





次の瞬間。

麻理鐘は銃を撃つのではなく、長く伸びた銃身で銀次の頭部をフルスイングかつジャストミートした。


ゴシャア!と脳髄が潰れる感触を感じながら、銀次は思った。


不死体質って、M(マゾ)っ気のある人間には最高の性質なんじゃないだろうか、と。

殺されても蘇るしね、俺。


というワケでーーーーー合掌。













■□■□■□■□■



「第6回、武藤家弾劾裁判〜朝から銀髪巨乳っ子と同衾なんてsneg(それなんてエロゲ)〜編、開幕ー!」



「「「いーーえーー!!!」」」


楽しそうに叫ぶ母親。

楽しそうに叫ぶ我が妹達と幼馴染。

でもその本人は絶対に楽しくなんてない。

なぜなら、彼女達は楽しんでいるのではなく、なんかいろいろあって色素の薄くなった少年、武藤銀次を血祭りにする瞬間を今か今かと待ち構えているに過ぎないのだから。

言うなれば、その為の下準備のようなものである。

……うん、わかってる。わかっていたのだが、嫌な汗がトマラナーイ。

正座させられた武藤家の長男は、いろんな意味で恐怖していた。


「さあやってきました第六回武藤家弾劾裁判!突如布団の中に女の子を連れ込むとはお母さんでますよさてご本人の言葉ー!」


「死んだお父さんにだいぶ似てきてお母さん悲しいわ。今すぐでも殺したいくらい」


「出ましたー!母親からぶっ殺したい宣言!素手で戦艦沈めた生ける伝説、武藤楓通称《黒い悪魔(ブラックデビル)》!

お次は我らが姉御肌!浅間香月!」


「お、お妾さんの1人ぐらいなら許してあげてもいいかなっ」


「これは正妻発言!いつから君は結婚したー?!さりげに揺らしたおムネが高威力だー!

そして最後は武藤家の大天使、蒼音ちゃん!」


「………………………」


「おおっとこれはキツイ!目に涙を浮かべて無言で睨んでいるー!この視線に銀次被告人は耐えられるのかー?!」


「くっ………!卑怯だっ……!」


ムリでした。三秒でギブ。


「さあ、実況はこの私武藤家の赤い小悪魔こと武藤麻理鐘がお送りしまーす!早速ですが兄ちゃんこと銀次君!言い残すことは!?」


言い訳も無く遺言かよ!


「………それでも僕は、やるマゲドン……」


「あらあら銀次さん死にたいのかしら?」


「ごめんなさい」


言うまでもなく土下座である。

その間、銀次のとなりに座るリリィと麻理鐘は大爆笑していた。

いや、陣●智則は面白いけどさ。


状況を整理しよう。

場所は武藤家の居間。

まず武藤家唯一の成人である母親、左側に麻理鐘、その右側に浅間香月が座り、さらに彼女の膝の上には末女である蒼音。長男である銀次は、その向かいに座布団もなく正座させられていた。

わかりにくいのなら、法廷を思い浮かべて欲しい。無論、被告は銀次である。

ただひとつ、違うとする点があるのならそれは、武藤銀次の、その隣に、見慣れない銀次の少女がこれ以上ないくらい幸せな笑顔で座っているということだろうか。

リリアネス・フォン・アルベストール。

昨夜、銀次が街で拾った(誤字にあらず)少女だ。

櫂渚梁との戦闘後、ボロボロの身体を引きずって帰ってきたのが夜の1時。普段から割と夜遊びする方なので心配はされてないらしく、家族は全員寝ていた。しょうがないので軽く夜食をつくり、彼女の為に布団やら風呂やらを用意したーーーそれが昨日。

当然、リリィの姿を見た人間は銀次以外にいないのである。

つまり周囲の女性方には、銀次が夜遊びして女の子をお持ち帰りしたとそう思われているのだ。


「………濡れ衣です」


「あら、朝お布団から一緒に出てきた事に言い訳があるのかしら?それにその子はどなたなの?」


「………オヤジの、隠し子」


銀次が言った瞬間。

武藤楓からはなたれた殺気によって、銀次の肩関節が砕けた。


「ぎゃあああああああ!?!?」


「うふふ、銀次さん。面白い冗談を言うものね。お母さんつい力んじゃった」


「ご、ごめんなさいぃぃぃ!」


「つい」力んじゃったくらいでどう肩の関節が砕けるかは非常に疑問だが、そう言えば親父もこの母には頭があがらなかったらしい。

遺伝、そう遺伝だ。

次につまらないこと言ったら殺されるかもしれない、と銀次は思った。あの櫂渚梁よりこっちのが怖い。


決してやましいことをしたわけじゃないのに、この狂気じみた圧迫感はなんなのだ。


「…………大丈夫か、ギンジ……?」


「ああ、うん大丈夫。心配してくれてありがとうな」


いまや味方はリリィだけかもしれない。いつから下の名前で呼ばれてたっけ?と銀次は思ったが、すぐにどうでもよくなった。

この日、この瞬間。

武藤銀次の胸に、ひとつ刻まれたことがある。




「ーーーー良かった。ギンジ無事で、ほんとうによかった」





それは多分、言いそびれた昨夜の分も入ってるんだろう。事情を知っている人なら、すぐにピンとくるだろう。

だがいかんせん、タイミングが悪かった。


………リリアネス・フォン・アルベストールは、最高峰の地雷持ちだった。


彼女はそのまま、横たわる銀次を胸に持っていき、そっと抱き締めた。

生まれたての赤子をあやすように優しく、温かく何度も。


「な、な、な…………!」


いやいや嫌なワケじゃない。どちらかといえば嬉しい。

でも周りの人の視線がヤヴァイ。

そして香月に迫ろうかというこの抜群のプロポーションも凄い。



「…………ギンジ………!」



きゅっと力強くなる細腕。

きっとさみしかったんだろうとか、怖かったんだろうなとか思ったけど。


リリィという少女はやっぱり地雷持ちでした。

リリィという少女はやっぱり地雷持ちでした。



大事な事なんで2回言いました!

まさかの授業中の投稿


すいません短くて

後半に続きます




感想とか下さると私の純潔を差し上げます

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