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心霊夜話 しっぺ返し

作者: 釜沼商店

心霊夜話、第二弾です。

少しでも、涼んで頂ければ幸いです。


私の知人で、Sさんという、怖い話好きの人がいる。

今回は、このSさんから、伺った話である。

Sさんは、本業の仕事の傍ら、ボランティア活動もやっていて、なかなか多忙な人である。

そのボランティア活動とは、ホームレスの人達への支援活動だそうで、その際にホームレスの人から、ホラーネタを聞いたそうだ。

Sさんは、こんな話をしてくれた。


「これは、ホームレスの人から、聞いたんだけど、仲間にNさんという人がいて、ちょっと変わった人なんだそうだ。

何が変わっているって?

お墓にお参りに行くと、お供え物をするだろ。

お菓子だったり、ジュースだったりね。

Nさんは、他人のお供え物を持って帰るらしいんだ。

いわゆる、お供え物ドロボウってやつだな。

それを、何度も繰返しててね。

たぶん、味をしめてたんだろうね。

いつ頃、盗みに行くか、わかるかい。

それが、夜だってさ。

お墓に夜だよ。

気味が悪くないのかね。

まあ、人がこないから、見つかり難いと、思ったんだろうね。

それでさ、秋の彼岸の時期にまた行ったんだそうだ。

でもね、とうとう、痛い目にあったんだってさ。」




秋の彼岸時期になると、墓参りに来る人は多く、当然、お供え物が沢山上げられている。

これを狙って、夜の墓にNさんがやってきた。

もう、夜の10時という事もあって、墓地は、虫の音以外の音はしなかった。

Nさんは、ビニール袋を持って、墓を覗きこむ。


「ある、ある。」


Nさんが、うれしそうにお供え物を盗る。

また、別の墓をまわる。 お供え物で手に持った袋がいっぱいになっていく。

更に、次の袋をだす。


「今日は大収穫だ。

次は、あの墓にするか。」


Nさんが、次のターゲットにした墓は、大きな墓石のある、立派な墓だった。

広さも、他の墓の二倍はある。

墓の後ろに大きな桜の木が植えられ、枝が墓の真上まで来ている。


「これは、期待出来そうだ。」


Nさんの予想通り、美味しそうな、おはぎが供えられていた。

Nさんは、墓前に、しゃがむと、お供え物に手を伸ばした。

すると、後ろから、


ヒヒヒ


と、声がした。

Nさんは、ビクッとした。

どこから見ても、明らかに、Nさんは、不審人物 である。

この状況を警ら中の警察官に見つかったら、まずい事になる。

間違いなく、しょっぴかれるだろう。おそるおそる後ろを振り向く。

だが、後ろには誰もいない。


「おかしいな。

声がした気がするが。

気のせいか。」


ヒヒヒ


また声だ。

ギョッとして、後ろを振り向くNさん。

だが、誰もいない。

背筋が冷たくなる。


「気味が悪いな。

今日は、もう帰ろう。」


Nさんは、お供え物を盗ると、立ち上がった。

帰ろうと、後ろを振り向く。


Nさんの目の前に顔があった。

逆さまになった青白い顔がNさんをジッと見ている。

白目をむいて。


「ヒイッ」


Nさんは、腰を抜かし、座り込んだ。

上からNさんを見ている、それは、桜の木の枝から、ダランとぶら下がっていた。

Nさんの股関から、なま暖かい物が出てきた。



この出来事は、Nさんにとって、いい薬になったようだ。

他人のお供え物を持ち帰る行為は、暗黙の了解で、黙認されている所もあると聞いた事がある。

ただし、お供え物だけを持ち帰れるとは、限らない。

もしも、違う何かも、一緒に持ち帰る事になったとしたら、その時は・・・・・。

最後までお付き合い下さいましてありがとうございます。

最近は、テレビの怖い番組が、めっきり無くなってしまって、ガッカリしている人も多いと聞きます。

私もその一人ですが。

テレビが駄目なら、短編小説なら、どうだ、と勢いで書いてしまいました。

近々、第三弾も投稿する予定です。

その際は、また、お付き合い下さいませ。


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― 新着の感想 ―
[一言]  はじめまして。  暑い夏の夜にぴったりの作品。 たいへん読みやすかったです。  読んでいる最中に、ふと寒気を感じて後ろを振り返りました。(原因は扇風機でしたけれど)  第三弾も楽しみに…
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