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出会いの色





「このままだと死ぬっ!」カケルは、そう言いながら何とか引き離そうとバイクを走らせる。だが、異形メタルリザードは、どのような動きをしようがそれに対応して付いてくるのだ。カケルがなぜこの状態になっているのかは、30分ほど前に遡る・・・・・・・。




 

 カケルは、町に帰ろうとバイクを走らせていた。だが、帰る途中で、Bランクの異形である(メタルリザード)に遭遇してしまったのだ。だが、通常の個体であるならバイクに乗っているので逃げ切ることは十分に可能なのだ。しかし、この個体は、何らかの理由なのだろうが通常の個体よりも遥かに早かったのだ。そして、今の状況になってしまったのである。




 




「これでも喰らえ!!」そう言い放ちながら、スタングレネードを相手に投げつけた。 


「ギャォォォォ!?」それは、地面に落ちると光を放ち、メタルリザードの目を焼いた。しかし、すぐに持ち直し、目も耳も聞いていないはずの状態で、さきほどよりも濃密な殺気を放ちながら近づいてくる。

 

「きいてないのか!?」カケルは、その光景に驚きながらも走り去ろうとする。しかし、「ギャォォォォォォォォ!!」メタルリザードの咆哮で発生した衝撃波が少年に襲いかかった。


 「うわぁぁぁぁぁ!?」カケルはその衝撃により、バイクともども吹き飛ばされた。「ぐはっ!!」背中を強く打ち、肺の中の空気が抜ける。カケルは、自らの迂闊さを呪っていた。(「やはり、誰かと組んでくるんだった。」)そう思いながらも現状をどうにかするべく、痛む体を無理やり起こす。

 

 「ザンッッ!!」その瞬間、先ほどまで体があった場所に鋭い亀裂が走った。

見ると巨大なメタルリザードの周りに鎌のような形状をした腕を持つ飛行形態のを異形が何体いた。


 「最悪だ…」カケルはそう呟くしかなかった。先ほどまででも逃げ切れるかどうか怪しかったのだ。これにより、カケルの命は、風前の灯火となってしまった。


 (「どうするっ!!この状況をどうすれば突破できる!?」)カケルはどうにかしてこの状況を抜け出そうと思案する。

 

  しかし、相手が待ってくれるはずもなく、「キュァァァ!!」すべての異形が一斉に襲いかかってきた。どうやら勢医院で仕留める気らしく。カケルには、逃げようがなかった。


 (「俺の命もここまでか・・・。マナごめんな・・。兄ちゃん・・・ここで終わりだ。」)カケルは、自分の妹に対し心の中で謝った。今まで兄弟二人で生きてきたのだ。妹のためにも生きて帰りたいが、この状況ではどうしようもなかった。

 

 「この状況になったのは、俺のせいだ。だが、せめて一矢報いてる!!」

 

 カケルはそう言い放つと腰のガンホルダーに挿していたデザートイーグルを取り出し、相手に向ける。小型のものならこの銃で十分倒すことができる。しかし、メタルリザードだけはどうしようもなかった。 「うぉぉぉぉぉ!!」叫びながら相手に向けて撃っていく。「ギャッ!?」何体かの小型の異形は悲鳴を上げながら地面に倒れ伏した。


だが、


「やはり効かないか・・・」メタルリザードは、銃弾をものともせずにこちらに向かってきている。小型の異形は、何とか倒せたが、バイクが先ほどの攻撃で壊れてしまったため逃げることはできない。

 

「ちくしょう・・・」少年は、そう言いながら相手を見据える。自らを食らうものを見続けるために。


 その時、「ズガンッ!!」あたりに銃声が鳴り響き、メタルリザードの体が横倒しになった。


 「・・・・はぁっ?」カケルは、間抜けな声を出すことしかできなかった。周りに自分以外に誰かいるとは、思わなかったからだ。自分の感覚には、ある程度自信がある。いくら戦闘中で、しかも、自分が絶体絶命の危機にあっていたとしても近くに人がいるなら気付かないはずがないのだ。だが、目の前で自分を食らおうとしていたメタルリザードは横倒しになっており、何とか起き上がろうともがいている。いったい誰が?カケルはそう思いながら辺りを見渡した。


 


 


 「なぜこんな場所に、高ランクのモンスターが・・・」少女は、少年を追いかけるメタルリザードを見ながらそう呟いた。

 

 その少女の外見を一言で表すなら「赤」だった。赤い髪に赤い瞳、体に来ている服は黒色だが、その上に来ている外套は赤色である。

 また、少女が腰につけている二つの武器の色も赤を基調としたところどころに装飾がされたものである。だがその武器の姿は、「異質」と言えるようなものだった。見た目は少し不格好な銃である。しかし、ベアリングなどの変形機構とともに剣が付いているため、その武器がただの銃ではないことが窺える。



 少女は、追われている少年を窺っていたが、このままの調子でいけば逃げ切れるだろうと判断した。そのためその場を去ろうとしたが、「うわぁぁぁぁぁ!?」少年の叫び声が聞こえてきた。振り返りもう一度見てみるとメタルリザードの何らかの攻撃にやられたのだろうか少年はバイクから投げ出されており、バイクのほうは、修理しなければ使用することはできないほどに壊れているのが窺えた。


 「少し不味いか・・」少女は、そう呟くと自らの武器を狙撃形態に変えてかまえた。

 

 「風は・・・大丈夫だな。距離はおよそ二キロか・・・。」そう言いながら狙いを絞っていく。

 銃口からは、赤い光が出ており、まるで、銃が血で染まっているように見える。


 「3・2・1・0」カウントダウンが0になるのと同時に銃口から弾丸が放たれる赤い光で尾を描きながらメタルリザードの側頭部に直撃した。その一撃は、メタルリザードの脳内を破壊しつくした。


 「ドスンッ!!」と地響きを立てながらメタルリザードは倒れ伏した。


 そして、「・・・転移」そう呟くと同時に少女の体がその場から消え、次の瞬間にはカケルの近くに現れた。そして、「大丈夫か?」そうカケルに問いかけた。 





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