悪夢 後編
「な…なんじゃごりゃぁぁ!!」
素っ頓狂な叫びがこだまする。
「さっきの変な夢の原因はこれかよ・・・」
っと落ち着いてる場合じゃない!
早く紫苑の誤解を解かないと・・・。
脱兎の如く駆け出した俺は階段を駆け上がり紫苑の部屋の前へ。
「おーい、しおーん!さっきのは誤解だって!」
「どこら辺が!?完全に変態趣味丸出しだったじゃない!私はそんな兄を持って恥ずかしいわ!!」
バフッ!
あ、クッション投げた。
「だから・・・」
「二度とくんな!」
ガンッ!
あ、壁殴った。
こんなことで兄妹関係にヒビ入ったら堪ったもんじゃねぇぞ・・・。
取り敢えず、部屋戻るか・・・。
♪
「誰だ貴様!」
「わーっはっはー、私は悪の大魔王、ゴスペラーザだ!」
俺が部屋に戻った時、奴は俺のベッドの上に居た。
奴も俺のこの変な服と酷似した服を着て。
「おい、お前、何のつもりだ?」
「わーっはっはー、地球を侵略する為・・・・・・もういい面倒い。ねぇ、このキャラ止めていい?」
「勝手にしろよ!」
「私は魔法少女の育成教官、フィーナ、永遠の17歳だ」
自己紹介始めちゃってるし。
もういいよこの際何でも。
「ところで君、どうして私がここに居るのか気にならないのか?」
「あー、そこ、俺の寝汗でビショビショですよ?」
「どおりで濡れているわけか」
よっこらせ、と容姿に似合わない言葉を口にしてベッドを降りる。
「降りてもらって早々なんですが、帰っていただけますか?」
「君、どうして私がここに居るのか気にならないのか?」
「どうせあれでしょ、『私が君を魔法少女(?)にしたのだー』的なあれでしょ」
「君は馬面の割に飲み込みが早いようだ。という訳だから、セーラー戦士の名にかけて世界を守ってくれ」
俺は馬面でもないしセーラー服も着てないし額に月の描いてある猫も飼ってません。
「ちなみに戦いは起こらん。日々を悩める人を救いに走り回ってくれ。規模は県内。所謂『便利屋』だな」
「何でこの服着る必要があるんだよ!」
「君は今日から、魔法少年タクマだ!あ、そうそう、私の自己紹介がまだだったな。私の名前はフィーナ、16歳だ」
「さっきしたじゃねぇか!てか17歳じゃねぇのかよ!」
「布団はどこだ布団は。私は眠くて仕方が無い」
「早く出て行け」
「フフフ・・・。私は可愛いんだぞ?私がベッドに倒れて少し服をはだけさせれば君はどうなるだろうか・・・」
・・・・・・畜生!俺のこの格好を見れば絶対に変態確定だ!
「ぐうの音もでまいよ。さぁ、早く布団を持ってくるのだ!」
「そんなに言うならベッドで寝ればいいのに」
「嫌だ無理ビショビショ」
ああ・・・・・・。