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怪談好きな幽霊

作者: 逆福

旧校舎には色々な怪談があるとされているが、その中でも一番知られているのが怪談好きの少女の話だ。旧校舎で怪談話をしているといつの間にか一人増えているという怪談である。シンプルな内容だというのに何故この怪談が有名なのかといえば、高い確率で本当に出るといわれているからだ。挑戦した多くの生徒が実際に出たと証言していて、そんな事はありえないと試した教師もしばらく青い顔をしていた事があったということだ。現在は老朽化の為旧校舎は封鎖されているが抜け道があるらしくたまに肝試しに潜り込む生徒もいるようだ。


ある所に怪談好きな少女がいた。少女は怪談を聞くのが好きだし話すのも好きであった。あまり大衆受けする趣味ではなかったが、少女の話す怪談は多くの人を惹きつける魅力があり、少女のそばには誰かしらの人がいつもいるのだった。


ある日少女は学校で肝試しに誘われ、当然少女は肝試しに参加する事にした。その夜肝試しに参加する数人が学校に忍びこんだ、まだ警備が甘い時代であった為かすらすらと入る事ができた。肝試しの内容は学校にあるとされる七不思議について関わる場所に配置した物を集めて開始地点に戻ってくるというものだった。くじ引きで順番を決め一人ずつ出発し、戻ってきたら次の番の人が出発した。暗い校舎を一人で歩くというのは想像以上に恐ろしかったせいか戻ってくるころには皆青い顔をしていた。一人また一人と行っては戻ってきて、最後の番少女の順番が回ってきた。怪談が好きな彼女はすぐに戻ってくるだろうと思っていたが少女はまったく戻ってくる事はなかった。これはまずいと参加者全員で探すがとうとう見つける事は出来なかった。かなり遅い時間であったため何かあって先に帰ったのではないかという事にしてその日は解散する事になった。


翌日学校では少女が家に帰っていないと騒ぎになった。少女が肝試しから帰っていなかったと知りこれはまずいと参加者は教師に昨夜の事を報告した。すぐに校舎内が捜索されたがついぞ少女がみつかる事はなかった。何年かは行方不明の少女と話題に上がっていたが次第に話を聞く事もなくなった。


「それから数年たちこんな噂が出てきた。旧校舎で怪談を話しているといつの間にか一人増えていると」

ふと後ろから冷たい風が吹いてきたのを感じ私は振り向いた。そこには薄く透けた少女が立っていた。やはりと思い意を決して声を出す。


「姉さん」


少女は行方不明になった私の姉であった。姉の捜索は打ち切られてしまったが諦める事が出来なかった私は、きっと学校に何かあると信じて教師になった。しかし都合をつけては校舎を探していたが得る物はなかった。けれど校舎老朽化が目立つようになってから少女の幽霊が出るという噂がたち始めた。聞けば怪談を話していると現れるという事であった為、これはもしやと思っていると、ある教師が噂を試したという。その教師は真っ青な顔をして戻ってきた為、大丈夫かと確認したがその時姉の名前を出して祟りだと繰り返し呟いていた。明らかに関係があると思った私はその教師を問い詰めた、するとその教師が姉を殺して校舎に隠したと告白した。警察を呼んで私は噂を確かめる為に旧校舎に向かった。


「ずっと姉さんに会いたかった」

私の言葉に昔のままの姿の姉はにこりと微笑むとすっと消えていった。

翌日教師の証言をもとに捜索が実行され白骨死体が発見された。もともと老朽化で解体を考えられていたがこの件を受け旧校舎は正式に解体される事が決まった。不良な生徒の噂によれば未だに旧校舎で怪談話をしていると、いつの間にか一人増えている事があるという事であった。怪談好きな姉はまだあの場所で人々の話を待っているのであろう。



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