表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

昔語り

 今日は待ちに待った花嫁との顔合わせの日だ。


 最初の結婚からだいぶ月日は経ち、他国との交流も増え、白い髪と青い目を持つ者も珍しくなくなってきた。


 十歳になったら花嫁候補に会いに行くと決めているのだが、会うまで気が気ではない。


 もしかしら既に好きな人が出来ているかもしれないからだ。


(それはそれで仕方ない。彼女の人生は彼女の物だ)

 そうは考えつつも、実際にその場面に出くわしたら発狂するだろう。


 なので会うまではいつも緊張と不安に押しつぶされそうであった。


 どうか自分を好きになってほしい、そんな願いが心を占める。


 そうして何人かの花嫁候補に会ったのだが、すぐに妻はレイシスであるとわかった。


「ルージュベリーみたい……」

 その言葉に嬉しくなり、思わず泣きそうになった。


 彼女はいつも変わらない。記憶がなくなっても、いつも同じ事を言ってくれる。


「あなたの目って、ルージュベリーみたいね」

 今でこそ国中で見かけられる果物だが、昔はほんのわずかしかなかった。


 やせ細った土地に貧しい暮らし。


 そんな中彼女はちっぽけな自分の為に少ない食料を分けてくれ、守ってくれた。


 だから今度は自分が守るのだと、何度生まれ変わっても彼女のもとを訪れている。


 もう二度と悲しく苦しい目に合わせないようにと。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ