表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/20

第七話 初イベント



「ご心配をおかけしました」


 次の日の朝、すっかり熱も下がっていたので、学園へと登校した。

 そしてその放課後、virtual部へと赴いたのだ。


 熱は下がったとはいえ、まだ油断はならないため、みこ先輩にいただいた薬はちゃんと飲んでいる。


「熱下がったんだね!よかったぁ」


 紫苑先輩は、相変わらずいなかった。お礼くらいしたかったのだけれど……


「入学したてで、初配信もしたし気が抜けちゃったんだね」


 無理しちゃだめだよ?と、みこ先輩は心配そうだ。


「はい。今日も大事をとって途中で帰ります。」

「うんうん!それがいいよ!」


 今日は少しだけ配信をしよう。初配信からもう3日も開けてしまっている。楽しみにしている視聴者さんに申し訳がたたない。




 配信部屋を少しの間お借りして、短い配信を行った。

 3日ぶりの配信に、「待ってたよー!」と言ってくれた視聴者さんがいた。体調不良だったことを伝えると、「無理しないで休んでね」と言ってくれた。


 早く治して、元気な『つづり』として配信をするため、今日はこの辺で、お開きとした。




「配信お疲れ様♪短かったけど前より良かったと思うよ!」


 そう言って、みこ先輩はどこから取り出したのか教室の真ん中に机を四つ並べ、その上に紙を広げた。


「イベントを開催しようと思ってるの」


 紙に書いてあるのは、いろんな企画案だった。


「これは全部、紫苑が考えてくれたものなの。なにかやりたいものある?」


 紫苑先輩すごい……こんなにたくさん企画を考えてくれているだなんて……!


「紫苑先輩って何者なんですか?」


 みこ先輩は、ふふっと笑っている。


「えっと……どれもいい企画ですね。全部やりたい気もしますが……」

「わたしね、これがいいんじゃないかなって!」


 それは、とある会場でリスナーさんと会うイベントだった。


 会うと言っても、実際に会うわけではない。お互いvirtual世界のキャラクターとして会う、ということなのだ。

 リスナーさんはその会場に用意された、virtualアカウントで、『閑みこ』や『悠希つづり』と二人でお話する、というものだった。


 なにこれ楽しそう!


 まさにみこ先輩が目指している『会いに行けるVTuber』に合っている企画だ。


「ぜひ、まずはこれをやりましょう!」



 とりあえず、今日のところは企画を決めただけで解散となった。このあと、『閑みこ』の配信が始まるから早く帰って配信待機しよう。




 イベント企画についてみこ先輩が紫苑先輩に、決めたことを伝えると、早速ポスターを作成すると言ってまた部屋に閉じこもってしまったらしい。


 みこ先輩によると「紫苑らしい」ということらしい。

 本当に、紫苑先輩には頭が上がらない。



 配信でも、イベント企画の宣伝をするとリスナーさんから、「楽しみ!」「絶対いくね!」などと声を上げてくれた。

 配信の片手間に、イベント企画の準備をしながら、あれはどうする?これはどうする?と、みこ先輩と話し合いを続けた。


 当日がとても楽しみだ。




 そうして迎えた当日、わたしたちは一緒に会場へと向かった。

 この日ばかりは、紫苑先輩も来ている。


「紫苑先輩!この間は、素敵な絵をありがとうございました!それに企画案やポスターの作成まで……」


 紫苑先輩には、あれ以来会っていない。今日、久方ぶりに会うのだ。


「い、いえ。好きでやっている事ですので」


 相変わらず目は合わず、キョロキョロと挙動がおかしい。それが逆に少し安心する。




 会場に着くと、いよいよな感じがした。


「つづりん、全然落ち着きなーい」


 会場を目にすると、緊張でソワソワしだしてしまい、みこ先輩に指摘されてしまった。

 指摘した当の本人は、クスクスと笑っている。


「すいません、緊張してしまって」

「でも、すっごく分かる!」


 反対にみこ先輩は、落ち着き払っているように見える。

 今までもイベントに参加していたし、緊張しない程度に慣れてしまったのだろうか?


「みこ先輩は、緊張してないように見えますよ」

「全然、そんな事ないよ♪ほら、手だって震えてるもん」


 そう言って、掌を広げて見せたみこ先輩のその手は、確かに目で見て取れるほど震えていた。


「でも、すっごく楽しみなんだぁ♪」


 みこ先輩は、満面の笑みを浮かべている。

 さすがは先輩……

 紫苑先輩も落ち着き払っている……と思っていたが……


 なにやらずーっとブツブツと、小声でなにかを唱えている。


「えっと……紫苑先輩……?」

「はぇ!?」


 声をかけると、すごい勢いで飛び跳ねた。

 今までに聞いたことも見たこともない、紫苑先輩の姿だった。


「クスッ」


 会場を前にして、笑いがはじけた。

 紫苑先輩だけは、少し恥ずかしそうにそっぽを向いている。

 ひとしきり笑い、緊張の糸もほぐれた所で、三人で写真を撮った。

 



 わたしにとっては、初のイベント。

 必ず成功させたい。

 でもきっと大丈夫。わたしは独りじゃない。みこ先輩も紫苑先輩もいるのだから。

 そんな思いを胸に、初のイベント会場へと入っていった。

 



今回も読んでくださりありがとうございます!


悠希つづりさんと閑みこさんが、2025年1月19日秋田にてデビューイベントが開催されます♪

そのイベント開催手前までを今回描きました。


ご本人たちの当日イベントは、どんなものになるでしょう?楽しみですね"(ノ*>∀<)ノ


次回作は、ちょっと楽しいものになっていると思います。お楽しみに♪

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ