表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/20

第四話 ホッと一息


「よし!二人とも準備はいい?では……つづりんの初配信が無事に終わったことを祝して…カンパーイ!」

「カンパーイ!」


 そうは言っても、用意されている飲み物はりんごジュースだ。


 長くも短かった初配信を終え、部員全員で向かった先はみこ先輩の部屋だった。そこはすでに、パーティー会場と化していた。

 美味しそうなご馳走がたくさん用意されているが、一体いつ用意したのだろう?


「で、初配信をしてみた感想は?どうだった?」


 みこ先輩は、目をキラキラと輝かせている。


「えっと…とても緊張しました。反省点も多いです。もっと上手くやれたんじゃないかなって……」

「うんうん、そうだね。次回までに練習しないと」

「はい」


 実際、上手く喋れなかった。初とは言え、少し悔しさが残る。

 これからもっともっといい配信をしていこう。そう心に誓った。


「だけど……とても楽しかったです!」


 たくさんの方と話し、たくさんの方と仲良くなれた。反省も含めて、この上ない悦びを感じる。

 これからもこの気持ちを忘れずに、たくさんのリスナーさん達と触れ合いながら、配信を続けていきたい!


「だよねだよね!初配信の時ってとっても緊張するし、自分が何言ってるのかわかんなくなる事もあるけど、結果的にすっごく楽しかったって思うよね♪」


 全て、みこ先輩のおっしゃる通りです。


「まぁ、初配信としては上々だったとわたしも思います」


 ここには、部員全員が集合している。と言っても三人しか居ないようなのだが……

 つまり、初日にvirtual部の説明をしていたあの先輩もここにいるという事だ。


「ところで……」


 わたは、ジッとその先輩を見つめた。


 先輩は、かけてある黒縁のメガネを人差し指でクイッとあげた。

 なんだか、挙動がおかしいように感じる。目線が全然合わない……初日は、こんなこと感じなかったのに。


「ごめんね、とっても人見知りなんだ。やる時はやるんだけれど……この子は、上川紫苑(かみかわ しおん)っていうだよ」

「別に私のことなど、紹介しなくてよいのですよ。この部ではただのモブです」

「クスッ…」


 全然、目が合わないのが逆に面白くて、思わず笑ってしまった。

 気づくと二人からの視線を感じる。


「あ、ごめんなさい。バカにしたとかそういう事じゃないんです。ただ、わたしは後輩に当たるのですし、そんなに恐縮しなくていいんですよ?」

「ふふ、確かにそう!紫苑はもうちょっと自信持ちなよ」

「仕方ないです。これは性分ですから、治りません」


 少しの間、笑いがはじけた。


 学園に来てからというもの、こんなに笑ったのは初めてなような気がする。ずっと緊張してたからか、初配信を無事に終えられて、ホッとしているのかもしれない。


「わたしは、悠希つづりです。改めまして、よろしくお願いします」


 そう言って右手を差し出す。


「よ、よろしくお願いします」


 紫苑先輩も私の手を握ってくれた。


「はい!これでお互いの自己紹介は終わったことだし、楽しいパーティーを再開しましょ!」

「はい!」


 その夜は、みこ先輩が作ったご馳走を頂き、紫苑先輩が趣味で書いた素晴らしい絵を披露してくれたりと、パーティーを大いに楽しんだ。





 気づけば、夜も耽っていたのでパーティー自体は、惜しくもお開きとなった。


「あ、ちょっと待って」


 自分の部屋へと戻ろうとすると、みこ先輩に声をかけられ振り向いた。一体なんだろう?


「明日、土曜日で学園も休みだし、よかったら三人で遊びに行かない?近くでイベントがあるんだぁ」

「イベントですか?」


 この近くで行われるイベントというのは、もしかして……?


「某アニメのイベントなの!どう?」


 やはり!何を隠そう。このわたしもそのイベントには、行こうとしていた。いろんなグッズを見て、買い込もうとしていたのだ。


「行きます!ぜひ!」

「すいません。わたしは明日予定があるのです。ですが、例の写真は送ってください。」

「もちろんだよ!」


 例の写真?一体なんの事だろう?


 疑問に思いつつも、その場は解散となった。きっと、イベント会場かなにかの写真だろう。


 という訳で、明日みこ先輩とイベントへ行くことになったのだが、はたまた楽しみすぎてなかなか眠る事が出来ない。


 一体いつわたしは、ゆっくり眠れる時がくるのだろうか。嬉しい悲鳴というやつだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ