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第十一話 仲直り

第十一話 仲直り


 「あんな酷いこと言ってごめんなさい。本当は、とても面白かった……」


 声がどんどん小さくなっていき、最後には耳を済ませないと聞こえない程になっていた。

 しかも顔を背けてしまっているが、耳が赤くなっているのが見える。

 あれ?もしかしてこの人……照れ隠し!?

 

 わたしはニヤリと頬をあげる。

「あれー?もしかして、本当は()()()()()って言いたかったんじゃなくて()()()()()って言いたかったんじゃないのー?」

「ち、ちげーよ!つづりは黙ってろ」

 そんな言葉とは裏腹に顔を赤らめている牛王。

 

 しかしそれはそれで、弄りの対象になる。

「へー!そうなんだぁ」

「う……」

 言葉につまり、何も言えなくなる牛王。

 

「どんな理由であれ、みこを傷つけたのは事実です」

 紫苑先輩が、眼鏡をクイッと人差し指であげる。

「わ、わたしはもう大丈夫だよ?」

「ダメです」

 みこ先輩が、もう充分だと言うように紫苑先輩を(なだ)めたが、ピタリと言いのけられ黙り込んでしまう。

 紫苑先輩も密かに怒っていたんだ……


 牛王は立ち上がり、みこ先輩の前に立った。

「みこ、ごめんなさい」

 そうして頭を下げる。皆それを見守った。

「うん。ありがとう♪」

 みこ先輩はただそれだけを告げた。




 翌日も、同じようにイベントが開催され大盛り上がりだった。

 午前中はわたしが、午後からはみこ先輩が配信をする。紫苑先輩はお昼休憩の時以外、休む暇もなくひっきりなしに動き回り、見に来てくれる人達の対応に追われた。

 

 わたしもみこ先輩もそのお手伝いはしていたが、手が回らずちゃんと紫苑先輩を支えられていたかどうかわからない。

 この中で一番頑張っているのは、紫苑先輩だと呟いたらみこ先輩も激しく頷いていた。

 

 牛王はと言うと、なぜかずっとvirtual部の教室に入り浸っている。配信とわたしたちの行動を見守っているようだ。

 案外、熱烈なファンだったりして……なんてことはないか。

 

「代われ。俺が対応してやるから」

 紫苑先輩が、視聴者の一人になにやら質問攻めに合い、返答に困っていた。他にもやることが沢山あるのにと焦っている様子。

 なんとかしてわたしが対応しようと一歩足を踏み出したタイミングで、ただずっと見守っていただけだった牛王が助け舟を出してくれたのだ。

 

「あ、ありがとうございます。では、こちらはお願いしますね」

 相変わらずの挙動不審感を出す紫苑先輩。昨日、牛王に怒っていたあの勢いはどこへいったのやら。

 そうして、紫苑先輩は別の作業に取り掛かった。



 その後も牛王が手伝ってくれたおかげもあり、なんとか怒涛(どとう)の二日間が終わった。

「みんなおつかれさまぁ♪」

「お疲れ様です。はぁ疲れたぁ!」

 みこ先輩の声に、わたしはつい本音を漏らす。

「お疲れ様でした」

 

「紫苑が一番大変だったよね。ほんとにほんとにお疲れ様なんだよ。ありがとう!」

「いえ、わたしからすれば、あなた方配信者の方が大変だったと思います」

 

 あれを去年は、紫苑先輩一人で(さば)いていたのかと思うと、背筋が凍る。

 だれかヘルプが来てくれていたことを願うが、紫苑先輩のあのマルチタスク具合を見るに、出来ないこともないのかもしれないと思ってしまう。

 紫苑先輩、ナイスファイトでした!

 

「つづりは頑張っては、なかったみたいだけどな。ほら全員分のジュースでも買ってこい」

 そう言って、わたしにジャラジャラと小銭を手渡す牛王。

「ちょ!?自分で買ってきなさいよ!」

「何言ってんだ。俺も手助けしてやったんだぞ。それくらいしてくれてもいいだろ」

 俺の奢りなんだから、と付け加える牛王。

 

 わたしだって疲れたって言ってるのにっ

「あ、わたしいくよ?」

「いえいえ!先輩は休んでいてください。飲み物買ってくるだけなので」

 仕方ない。まさか先輩に行かせる訳にもいかないし。

 飲みたい飲み物を聞き、わたしは自販機へと向かう。


 確か、みこ先輩と紫苑先輩がコーヒーで牛王がコーラだっけ。わたしはミルクティーを選んだ。

 コーラか……

 わたしは、手に持った缶ジュースを見てニヤリと微笑んだ。




「持ってきましたー!」

 そう言って全員に飲み物を手渡す。

「よし、じゃあせっかくだから乾杯でもしよう♪」

「あ、いいですね!」

 

「じゃあ準備はいい?……カンパーイ!」

「「カンパーイ!!」」

 そうして全員が一斉に飲み物を開ける。と、同時に牛王が奇声をあげる。

「うわぁ!なんだこれ!」

 牛王のコーラだけ、開けると同時に吹き出したのだ。

 

「あ、ごめん。来る途中で落としちゃったんだよね」

 実は、教室に入る前にコーラを全力で振っておいたのだ。

 そんな嘘も多分見抜かれているだろう。なにせわたしは、にやけ顔を抑えられなかったのだがら。

「つづり、覚えてろよ。あとでお仕置」

「人に行かせる方が悪いんだもん」

 

「ぷっ」

 そんなやり取りを見ていたみこ先輩が、吹き出して笑っている。気づいたら、隣にいる紫苑先輩まで笑っていた。

 そして、それを見たわたしがとうとう抑えることが出来なくなり、腹を抱えて笑う。

「あーもう!」

 そう言いながらも、牛王も笑っていた。

 virtual部の教室は、しばらく笑いに包まれたのだった。



「そうだ!言っていなかったけど、明日はみんな他の屋台とか見に行って、一日自由に過ごしましょ♪夜には、夜行祭も開かれるからそれは一緒に見ようよ♪」

 夜行祭!?それは楽しみだ。どこを見て回ろう?


 そうしてこの日は解散となり、各々寮へと帰ってゆっくりと休んだ。

 

読んでくださりありがとうございます!


実を言うとあと数話で、完結を迎えます。その後は、番外編が少しずつ増えていくでしょう。

なんだか数的にもアニメの1クール分みたいな感じになりそうですが、最後まで楽しく書いていきたいです。

次回は、番外編を投稿します。

バレンタイン……近いですもんね?♪


それでは次回もお楽しみに♪

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