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王女、激突される


「ガレン様ー!!」

「ひゃん!!」


 床に倒れていたガレンに駆け寄った私はそんな声と同時に現れたカヤに突撃されて倒れた。


 むむ、戦姫の私を倒すとはやるわね、良い魔女。


「ガレン様!!しっかりしてください!!好きです!!大好きです!!だから、だから死なないでー!!」

「カヤさん……?あ、僕……」

「ガレン様!!良かった!!あっ!!私思わずあんな告白……」

「告白……?」

「あ、大好きって告白したこと聞こえてなかったら良いんです!!……あ!!」

「……えっと、僕は獣人で」

「それはわかってます!!でも関係ないです!!むしろいぬ耳可愛いし!!獣人と人間でも結婚できますよね⁉あ、婚約者がいたり⁉」

「婚約者はいないですし結婚……結婚⁉」

「わ、私ったら結婚なんて先走り過ぎちゃった!!こ、恋人!!そう、恋人にしてください!!」

「は、はい」

「本当⁉やったー!!あれ?リーナ様どうして床に座り込んでるんですか?」


 目の前で始まった公開告白、しかもなんて可愛らしいやり取りなのかしらと思いながら座って観賞していた私はパチパチパチと拍手して立ち上がる。


「素晴らしい。甘酸っぱさと初々しさにとても感動したわ。原作ゲームでもなかった相手とのラブストーリー。原作ファンとして感慨深いわ」

「あの、リーナ様……?」


 ガレンとカヤが同じように首を傾げる中私は棚に置かれていた赤と白のワインを手にする。


「ところでガレン、このワインを飲んだのかしら?」

「飲んではいないです。匂いを嗅いで一滴舐めただけで」

「えー!!ガレン様ペッて!!ペッてしないと!!」


 カヤがガレンの両肩をがっしりつかんで前後に揺らす。


「あ、いえ、薬は入ってなかったです」

「じゃあ何で倒れて!!」

「それが僕、嗅覚と味覚が優れてるのでお酒に弱くて……」

「ということは……」

「酔って眠っていただけです」

「ガレン様ー!!」


 心配したのにとガレンに泣きつくカヤ。


「私も酔ってジェイズに添い寝を要求しようかしら。酔っちゃったみたいって。ジェイズドキドキしてくれるかしら」

「ガレン様!!私怒ってます!!」

「え、はい!!」

「メイドのフリをしていたら気になることを聞いてリーナ様を探してここに来たらガレン様が倒れていて!!」

「す、すみません!!」


 あら。ガレンがぴょんと跳ねると土下座の体勢で頭を下げた。ガレンって犬じゃなくて猫かうさぎだったかしらって思うくらいのみのこなしだ。


『はわわぁリーナーそれより未来視ー』


 え?あら、ほんとね。未来視で見た光景だわ。


「え!!ガレン様頭を上げてください!!」

「いえ、心配させてすみません!!何でもします!!」

「わ、わかりましたから!!」


 カヤが座ってガレンを起き上がらせてどさくさに紛れて手を握って恥ずかしそうに2人とも顔を赤くしている。またイチャイチャが始まったわ。


『はわわぁリーナーそれよりカヤがリーナを探しにきた理由を気にした方が良いんじゃないのー?』

「あら、それもそうね。カヤ、イチャイチャしてるとこ悪いけど気になる話っていうのは何だったの?」

「イチャイチャ……!!あ、いえ、あの、それがですね。マリアローゼ様の好きな人について聞いたご令嬢がお友達と話していたみたいなんですけど」

「それで何が気になったの?」

「あの、マリアローゼ様は彼の氷のように冷たくて無愛想だけど実は優しいところが好きだと話していたみたいで」

「はあ?氷のように冷たくて無愛想……」


 私はティティに踏まれたいと言いながら手錠をつけて床に転がる様を想像した。


「どこが?」

「それは殿下の影武者が殿下に扮してマリアローゼ嬢に会っている時の様子ですね」


 ガレンが言う。


「なんでも、現国王である兄と皇太后である母君がしつこく面会を申請してくるマリアローゼ嬢を退けるためにそうするようにしていたそうです」

「ふむ。じゃあティティがそばにいる今日のライアンは……」


 と、そこで部屋の外が騒がしいことに気づいた。私は外に出て走っているモブを捕まえる。


「何があったの」

「そ、それが狂暴化した獣たちが突然ホールに……!!」

「なんですって?私の出番が!!」

「で、でも何ででしょう。事前に聞いてた話だと薬が効かなかったらのはずじゃ」

「お前たちも逃げた方が良いぞ!!セイガン侯爵令嬢がよくわからんが偽物だって叫びながら獣を誘導してるみたいなんだ!!」

「ティティにデレデレな変態殿下はお呼びじゃなかったみたいね。私たちも行きましょう」


 そして私たちはホールに向かった。


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