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王女、給仕する


「本当の姿を見たらやることその1、ジェイズに感想を聞く。むふふ、ジェイズが言葉にならないほど美人だったりしちゃったり」

『はわわぁ……ねえリーナー今そんなこと考えている場合じゃないと思うわー』

「は?ジェイズのことを考えるのに相応しくない時なんて存在しないわよ」

「ちょっとあなた!!聞いてるの!?」

「ひぃ!!す、すみません、こいつ新入りで!!」

「すみませんー新入リーナですー」

「ふざけてんの!?」

「ふざけてなんていませんー」


 メイドリーナから王宮で行われるパーティの給仕係にジョブチェンジしている私。只今悪い魔女マリアローゼに脅されている最中。


「もう!!とにかく良いわね?私が合図したらこれを持ってくること!!この赤ワインを殿下に、白ワインをあの辺境伯の怪力女と私に渡すのよ。わかったわね」

「は、はい!!」

「はーい」


 マリアローゼは私たちに命令すると部屋から出ていった。


「あのーリーナ様……」

「まあ、何か言いたいことでもあるのかしら」


 一緒に脅されていたガレンが眉毛をへにょんと下げながら物言いたげに見てくる。


「……いえ、何でもないです。言っても無駄な気がします」

「あら。言っても無駄だなんて。私意見を蔑ろにしたりしないわよ」

「……意見を蔑ろにされた可哀想な人がいた気がする」

「何か?」

「いえ、何でも」

「それよりこのワインは悪い魔女の薬が入っているのよね。渡す方を区別してたし。彼女、あの事を知らないのかしら。知ってたら直前まで自分で持っているはずよね?」

「どうでしょう。でもどちらにしても僕たちはこれを処分するのが役目です」

「そう。じゃあ処分はガレンに任せるわ。私は会場に潜入してくるから。このドリンクを持っていけば良いのよね。ふふふ、凶暴化した獣たちをばったばったと倒していってみせるんだから。いざ、戦姫出陣!!むふふ!!」


 男装して給仕に扮している私はお盆にお酒を乗せてホールへ向かう。


『はわわぁーリーナー。ジェイズがいないところで無茶しちゃ駄目なのよー。約束はー?覚えてないのー?』

「覚えてるに決まってるじゃない。ジェイズがマリアローゼの父親の方を捕らえにいかないといけないからってほら、ちゃんと紙に書いたわ。署名もリーナ・レビエアって。むふふ。現実にはできない架空の名前だけどね」

『なら約束は守らないとー』

「あら、私は戦姫リーナとして挑むのよ」

『はわわぁー!!どういうことー!?……うん、うん……リーナー、ジェイズが言葉にならないくらい動揺してるわよー』

「まあ。ふふふ、これは私の本当の姿を見ても言葉にならないくらい美人だって言ってくれちゃったりするかも!!」

『もーリーナったらー……』


 こうして私はホールで自然に給仕係をする。事前にマリアローゼの動向を調べた結果パーティ中に狂暴化した動物を放つことがわかった。だから私は意気込んでホールに入ったというのに何事もなく時間が過ぎていった。そしてマリアローゼが私のそばに寄ってきた。


「あれを持ってきなさい」

「はーい」


 ギロリと睨まれたけど私は気にせず厨房、厳密には先程までいた厨房近くのお酒の保管庫に向かう。


 マリアローゼはだいぶイライラしてるみたいね。そして焦っている。なんせ今日は彼女の想い人であるライアンの誕生パーティ。今まで病気を理由に開催されていなかった誕生パーティを初めて開催することになった。しかもライアンの婚約を発表する噂を流してマリアローゼが今日行動するように誘導したというわけだ。


 倉庫に着いた私は小声で呼び掛ける。


「ガレン、合図が出たわ……ガレン!?」


 私は床に倒れているガレンに駆け寄った。


 

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