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王女、説得する


『はわわわぁ。リーナ、そろそろ役目を話した方が良いと思うのー。全然話が進まないのー』

「トラコちゃんは一体なにを気にしてるのかしら」


 トラコは怖がりの恥ずかしがりやさんだけど真面目なのだ。私の周りには真面目がいっぱいだ。母と父はぽややん属性だったが真面目属性かぽややん属性しかいないのか。


『リーナー!!はーやーくー』

「ああ、はいはい。それでねジェイズ。レイジア国で王家を魅了して乗っ取ろうとするヒロインが陥れようとする悪役令嬢を助けてほしいそうなのよ」

「そうなんですか。魅了の力というのは時々持つ者がいますね」

「え!?そうなの!?魅了ってこの世界ではよくある魔法なの?」


 ゲームや小説では魅了はよく出てくるけど大体厄介なレアな存在だと思っていた。知らないうちに魅了され精神を支配されている、みたいな。


「時々なので稀ですよ。魔法は火、水、風、地、光、闇の6種類で光魔法で魅了を使える者がいることがあるそうです」

「そうなのね」

「それでヒロインや悪役令嬢とはなんでしょう」

「ヒロインっていうのはえっと、女主人公のことで悪役令嬢というのは主人公のライバルみたいな?」

「主人公が王家を乗っ取るのですか。確かにレイジア国王は良い評判を聞かないですね」

「駄目な王家なのね。いや、どちらかというと乗っ取られないようにヒロインを阻止しないといけないと思ってたんだけど……いや、それが勘違いだったりするのかな」

「女神様は悪役令嬢を助けるようにと仰ったのですね」

「ええ、そうよ」

「では王家がどうなろうと関係なく悪役令嬢を助けるだけで良いのでは?」

「なるほど!!」


 あれ?ゲームの中で見たことのあるレイジアの王宮が崩れてその元王宮の前で男の子が悪役令嬢を抱いてキスをする絵が頭に浮かんだ。


「これ、未来視だ」

『その通りよー。男の子も知ってるはずよ』


 トラコに言われて乙女ゲームを思い返す。そういえばレイジア国王がメイドに生ませた子供が平民として育ち優秀な魔法持ちとして学園に入学していた。


 そういうと攻略対象者に思えるだろうがその乙女ゲームの平民攻略対象者枠には商人の息子がいたからただのモブキャラが今見えた青年だ。


「ジェイズ、どうやら悪役令嬢と国王の隠し子がくっつくみたい」


 私は乙女ゲームのキャラ設定をジェイズに教える。


「きっとこの2人がレイジア国の王様と王妃になるのよ!!」

「隠し子ですか。ではレイジア国に行ってその2人と接触しましょう」

「ええ!!」

「その前に冒険者ギルドと闇商人ギルドに行ってきてもよろしいですか?」

「ん?冒険者ギルドと闇商人ギルド?なにそれ」

「その2人は学生なのでしょう。であれば私も学園に潜入した方が動きやすいです。学園の教師の身分を偽装するために闇商人ギルドで身分を手に入れてきます」

「なんですって!?」

「それに旅をするためには生計を立てなくてはなりません。冒険者ギルドで仕事を受けてきます」

「なんですって!?面白そう!!私もやりたい!!」

「駄目です」

「なんでー!?」

「危ないです」

「えーやりたい!!そもそもこれは私があの泣き虫から受けた指令なんだから!!」

「でもリーナ様がなさらなくても良いはずです」

「でもでも、ジェイズが教師をしてる間に私は何をしたら良いのよ。学園でジェイズの目が届く所にいた方が安心だわ。それになによりジェイズの教師姿見てみたい!!」

「……」

「お願い!!」


 私はトラコから降りてジェイズの服を引っ張って目をうるうるさせる。必殺おねだりポーズだ。弓矢を始める時もこれで反対するジェイズを説得したのだ。


「……わかりました」

「ジェイズ!!ありがとー!!」


 ジェイズに抱きつく私。低身長だから腰辺りにしがみつく形になる。身長180センチのジェイズ。身長もイケメンサイズだ。ちなみに私は130センチ。ジェイズとのバランスを考えると165センチ位ほしい。それしてもジェイズは全身鍛えてて足も良い筋肉がついている。良い足だ。好き。


「リーナ様」


 太ももをペタペタ触っていたらジェイズに抱き上げられた。やだ、私ったら変態かも。大変だ、ジェイズに嫌われたら生きていけないわ。


「ジェイズ、あの、これはそう。長旅になるからジェイズの足を心配して……」

「私はリーナ様のものなのですからいくらでも触って良いですが」

「私のもの!!」


 なんてこと。ジェイズは私のもの。つまりあんなことやこんなことをしても良いということね。


「リーナ様、ですが、覚悟して触ってくださいね」

「覚悟?」


 何かしら。ジェイズの笑顔が怖い。


「はい、覚悟です」

「よくわからないけどどんとこいよ。……お金を請求するとか?」

「違います」

「ではなにかしら」

「今は特になにも」

「今はって?」


 ジェイズはニコニコ笑ってスルーすると私を抱き上げてトラコの背中に戻された。


「さ、まずは冒険者ギルドに向かいましょう」


 そう言って歩いていくジェイズに付いていく。歩くのはトラコだけど。


「むー誤魔化された……」

「リーナ様が大人になったら話しますよ」

「大人ですけど!!」

「まあまあ」

「くそう……これが大人の余裕なの?いつか立場を逆転させてやるんだから。ジェイズを振り回してやるんだからね」

「もう振り回されっぱなしですよ」

「嘘!!」

「本当ですよ」

「本当かなぁ。あ、ところでジェイズはどうしてギルドのことに詳しいの?」

「私は正騎士になる前父に言われて冒険者ギルドで仕事を受けていましたから。闇商人ギルドもその時に関わったことがあります」

「まあ!!そうなの!?知らなかったわ」

「話していませんでしたか」

「聞いてないわ!!ねえ、冒険者ギルドってどういうとこ?ランクとかってあるの?」

「はい。ランクに応じて受けられる依頼も異なります」

「ジェイズは何ランクだったの?」

「Sです」

「へー……ってそれって上から何番目のランクなの?」

「一番目ですね」

「へ?」

「ランクは上からS、A、B、C、Dの順です」

「なんてこと。ジェイズは冒険者としてもスーパーハイスペックなのね!!」


 凄いわジェイズ。さすが私のジェイズね。


「ここから一番近い冒険者ギルドに行きます。近いと言っても1日はかかりますが。そこにいるギルドマスターとは昔一緒に仕事をしたことがあります。色々手配させましょう。闇商人ギルドにも通じてるので仲介させても良いですね。面倒ですし」

「そ、そうね、大丈夫?」

「問題ないでしょう。世話焼きなやつなので」

「そっか」


 ということで私たちは宿に泊まりながら進み冒険者ギルドにたどり着いた。

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