王女、胃袋を鷲掴みする
「どう?」
「どうかしら?」
「……これは」
「「これは?」」
「これは……醤油だわー!!」
パンパカパーン!!異世界転生して10年、ついに私は醤油を手に入れた。
錬金術で醤油を作り出してくれた良い魔女2人とハイタッチしているとジェイズが醤油を味見していた。
「ふふふ、ジェイズどう?これが和食に欠かせない醤油よ!!これで和食を作ってジェイズの胃袋を鷲掴み!!」
「甘味があり酸味も……それだけではなく複雑な……」
あらまあ。ジェイズがぶつぶつ呟いている間に早速料理をすることにした。すき焼きとお刺身だ。ちなみにこの世界では魚を生で食べることはない。
ジェイズに食べてもらおうと待っていてねって言ったのに料理をする私の隣で観察しているジェイズ。ふふふ、スーパーハイスペックイケメンだから勉強熱心なのね。
「さあ、できたわ!!協力してくれた良い魔女さんたちと一緒にすき焼きアンドお刺身パーティーよ!!」
そうして久しぶりの味に舌鼓を打つ。
「これでジェイズの胃袋を鷲掴み!!どうジェイズ!!」
「はい。大変美味しいです」
「鷲掴まれた!?」
「はい」
ジェイズが嬉しそうに食べてくれるから満足した。……いや、駄目なのでは!?胃袋を掴んでジェイズを魅了しないといけないのよ。
「ジェイズ、料理上手な奥さんはどう?」
「魅力的だと思いますよ」
「そうよね!!毎日手料理を食べたくなるわよね!!」
「でも毎日ではなく無理のない範囲で作ってもらえれば良いと思います」
「わあ素敵な旦那さん!!」
『はわわわぁ……リーナーあなた王女で女王になるのよー。お料理は基本料理人が作るわよー』
『た、確かに!!じゃあ意味ない!?』
『そうでもないと思うわー』
『え?どういう意味!?トラコちゃん?おーいトラコちゃん?』
トラコが反応しなくなってしまったわ。どうやらジェイズと話しているみたい。
「あ、でも錬金術じゃなくて普通に作れるようにしないと商品化はできないわね」
「ギルドに持っていってガイに製造方法を考えさせるのはいかがですか?この味を再現させるのであればそう時間はかからないはずです」
「まあ、そうなの?そしたらそうしましょう。でもこの国のみんなとグラシアたちにも先に味わってもらいたいわ。料理をそのまま送るのはやめた方が良いから醤油とレシピを神界を通して送れば……でもグラシアは忙しいのよね……」
「きっと喜んで受け取るはずですよ」
「うーむ、そうかしら」
「既にトラコ様を通じてフェリシア様に伝えています」
「え!!さすがジェイズ!!じゃあグラシアに手紙も書こうかしらね」
そういえば友達に手紙を書くなんて久しぶりね。前世では手紙というかメールをしてたけど今世はそもそも友達がいなかったもの。
自室に帰ってから早速グラシアに手紙を書いて醤油とレシピを送ったらしばらくしてグラシアから返事がきた。
『リーナお姉様
ご連絡できずにすみません。いただいたお醤油で作った肉じゃが、皆で美味しくいただきました。ありがとうございました。お兄様が感動して泣いておりました。悲願だったそうです。リーナお姉様がお料理をされると伺いましたので料理人に手伝ってもらって私もお菓子を作ってデルフィン様に召し上がっていただいたのですが忙しいのでたまにはで良いからまた食べたいと言っていただきました』
なるほど!!たまにする手料理が特別感があって良いのではないかしら!!週に一度手料理を振る舞うために政務を中断する女王。うん、良いわね。ってあれ?結局和食で胃袋を掴んでジェイズに惚れられる作戦は達成されたのかしら。




