王女、見守る
「ベルもお手伝いしたいの!!お茶会で情報収集なのよ!!」というベルの一言で決まったお茶会は公爵家で開催された。
10歳前後の小さな令嬢たち、侯爵令嬢1人、伯爵令嬢2人が招待された。この国では13才から他家のお茶会に正式に招待されることになっている。もちろん親同士が友人でもっと幼い時から交流している子供はいるし招待が禁止されているわけではないとのこと。
今回公爵家でのお茶会開催は準備をしている間に噂になりなんだか大事になったらしい。私には関係ないけれど。
まあでも王女の娘であるベルが初めて主催するお茶会。噂になるのは当然よね。
「ベルお嬢様、とっても可愛らしいですわ」
「リーナちゃんのおかげなのよ!!」
ベルは淡いピンク色のドレスを着てくるりと回る。
「ベル様、今日はベル様らしく皆様とお過ごしくださいね」
「はいなのよ!!リオナお姉様も手伝ってくれてありがとうなの!!」
幼い令嬢1人で他家に来ることはできない。当然のように母親同伴になりリオナはその母親のお相手をすることになったのだ。
「リーナさん、よろしくお願いしますわ」
「任せてちょうだい。大船に乗ったつもりでいたら良いわよ。おほほほほ」
『はわわわぁ。リーナー、ジェイズが見守るだけですよってー』
『わかってるわよ。メイドリーナだもの。ふふん』
ちなみにこの国ではトラコは基本ブローチに変化している。吹っ切れたのかトラコは人間の姿にならなくても普通にジェイズと話すようになって離れたところにジェイズがいても中継するようになったのだ。トランシーバートラコね。
そして始まったお茶会。リオナが助言して選んだ侯爵令嬢と伯爵令嬢は3人とも良い子そうで穏やかに話が弾んでいる。
「ではキセルハルト様とはお親しいのですね」
「ええ。ティティお姉様にはとても良くしていただいておりますの」
「遠目に拝見したことがありますがとても素敵な方でしたわ」
「私も日頃からティティお姉様に憧れておりますわ」
「アランデア様は普段どのようなことをしてお過ごしですの?」
「お母様代わりのリオナお姉様から色々なことを学んでおりますわ。最近は刺繍が好きで習い事でもあり趣味でもありますのよ」
「私も刺繍を習っておりますわ。でも上手くできなくて」
「私も初めは上手くできませんでしたわ。よろしければ今度ご一緒しませんか?」
「よろしいのですか!?ぜひお願いしたいですわ!!」
「え!!抜け駆けよ、狡いわ!!」
「だったらあなたもお願いしたら良いじゃない!!」
「そうだけど!!……あの、アランデア様、良ければ私も……」
「もちろんですわ。ユラ様もいかがです?」
「あ、私……刺繍はやったことが」
「では私がお教えしますわ」
「よろしいのですか?」
「ええ!!」
そう。ベルは社交をする時はなの、なのよ口調を封印するのだそう。リオナが胸を張ってベル様は素敵なレディですと言っていたが本当にそうだわ。
ちなみに多忙でなかなか家に帰らないアランデア公爵に学んだことを披露しようとなの、なのよ口調を封印して社交をする時はこうすることにしましたと話しかけたら公爵が「可愛いベルたんが成長を……社交……帰らなさすぎたから身内認定されてないのか」と泣き崩れてしまったらしい。ヘンリが披露したかっただけだからと宥めたのだそうだ。
招待した令嬢のうち伯爵令嬢2人は幼馴染みだそうで侯爵令嬢は少し大人しめな令嬢だった。
「ユラ様は趣味はありますの?」
「趣味……良い魔女の会合に付き添いに行くことは好きです」
「なんですって!?良い魔女の会合!?」




