王女、圧倒される
「さあ、話の続きをしよう!!」
「その前にそのブツを外せこの変態!!」
30分後戻ってきたライアンはテーブルに両肘をついて顔の前で手を組み話を促した。……両手首に手錠をつけた状態で。
「どうかなティティ!!新しい試作品なんだ!!」
「どうもしませんよ。ライアン様、皆の気が散るのでそのブツ外しましょう」
「ティティが言うなら仕方ないね!!うん、名残惜し「早く外せ!!」……仕方ないなぁ」
ライアンが戻ってきた時に一緒に入ってきた側付きのような男が無表情でライアンの手錠を外す。
「そうだ。紹介するね。僕の側近ラルフだよ。僕と以心伝心できる優秀な人材なんだ」
「「え」」
私とジェイズの声が重なった。変態なの?と思ったらフレディが否定する。
「ラルフは変態ではない真面目な男だ」
ラルフはにこりと微笑み礼をする。
「初めまして。ラルフ・ホーランと申します」
私はふと違和感を感じてライアンを見て再度ラルフを見る。
「似てる?」
「そう!!ラルフは僕の影武者なんだよ」
「影武者?」
そう聞いてなるほどと思う。無表情だとわからなかったけど微笑むとライアンと似ている。
「そうなんだ。病弱だった頃から僕はここにいる皆や家族、あと仕事関係の人以外会っていないんだよ。だからライアンのことは僕だけじゃわからなくてね」
「昔から……?」
私は乙女ゲームでの話を思い返す。悪い魔女は幼い頃偶然体調の優れたライアンが塔の側の庭にいるところを見て一目惚れし以降頻繁に塔に見舞いに行ったとされていた。
「悪い魔女、マリアローゼ・セイガンはライアン兄さんに惚れている。でもライアン兄さんはあの頃体調が良かったことはないんだ。本当に危険な状態でね。でも対外的にはその状況は隠していた。だから体調が優れたと称して外に出たり面会に応じていたのはラルフなんだよ」
「え!!それってじゃあ人違い……」
まさかゲームにそんな裏話があった?それかゲームと違ってる?
「ラルフ、セイガン嬢のことを聞かせろ」
「はい。マリアローゼ・セイガン嬢は初めの頃は3日に一度程度、ライアン様の病が治った頃から現在にかけて一週間に一度のペースで面会の申請があります」
「多すぎ!!」
「ベルもディ様とそんなに会えないの!!」
「ベル、寂しい思いをさせてすまない。これからは毎日会いに行こう」
「フレディ様、そんな時間ないでしょう」
「ディ様、毎日は大丈夫なの!!ベル、リーナちゃんと遊ぶのに忙しいのよ!!」
「そ、そうか」
フレディが私を睨んできた。ふふふ、年の離れた婚約者が大好きなのね。私に嫉妬するなんて可愛いじゃない。
「ベルは彼女と何をして遊んでいるんだ?」
「戦闘ごっこなの!!」
「せんとう?」
「ちょっとリーナ!!僕も初めて聞いたんだけど!!」
「まあ、公爵令嬢だから自衛の術は持っていた方が良いかと思って」
「それは確かに」
ティティが納得と頷く横でヘンリが戸惑う。
「それは……でも護衛が」
「安心してちょうだい。公爵家の護衛は私のジェイズが鍛え直してるわ。国一番の強い護衛団になるわね」
「な、うちで何をしてるのさ」
「これもメイドリーナのお仕事!!」
「公爵家の護衛が王家を差し置いて国一番になるのはどうかと思うけどベルのためなら良いのか?」
「公爵家の護衛を後でこっちに派遣してくれれば良いんじゃないかな。うん、それで悪い魔女マリアローゼ・セイガン嬢の話に戻そう」
変態の一面が強烈だけど意外なことにライアンが真面目に軌道修正した。
「意外そうだね。これでも年長者だから」
「クソ兄貴は変態なところを抜きにすれば優秀なのに」
「それ母上にも言われてるよー。それで、一旦彼女のことはこっちでも調べてみるよ。ちょうど……っていうか頻繁すぎてちょうどとも言えないけど明日が面会希望日なんだってね」
「はい」
「ヘンリたちは学園での様子を調べて報告してくれ。そしてディ」
「あ?」
「学園でのティティの様子もほう「無理」むー……ケチ」
ブレないなこの人。話が済むとティティに絡みだしたライアン。わかっていたけどこの国ではあまりやることがないなと思っているとベルが「ベルもお手伝いしたいの!!お茶会で情報収集なのよ!!」と言い出した。
というわけで10才前後という幼いご令嬢たちのお茶会を開催することになった。世代が関係ないから意味がないと思ったお茶会だったけど驚くほど有益な情報を得るものになるのだった。




