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【番外編1】女神、ハロウィンを楽しむ


 私は女神メアリーナ。たくさんの世界と国を見守る女神なの。とっても忙しくて大変なのだけどここ数十年はあの子を見て楽しくてあっという間。あ、もちろん私は女神だから1人の人間に肩入れしたりしないのよ。前にやらかした時にビオナ様に叱られてしまったもの。


 だけどつい見すぎてしまうのよね。今も。


『あらーこれは何をしているのー?』

『はわわーメアリーナ、これはね、ハロウィンの準備をしてるのよー』

『ハロウィン?ああ、リーナが元いた世界のお祭りねー』

『そうなのー。リーナがちょっと過ぎたけどやりたいって言ってねージェイズがすごい勢いで色んなことを決めていってるのよー』

『まあ、そうなのねー』


 楽しそうねー。トラコを通してじっくり見てみましょう。




「リーナ様、アリエント初代公爵による手記に書かれたジャック・オー・ランタンはアドルフ配下の料理人に作らせるということで良いのでしょうか?」

「あー待って待って!!これレシピ本だけどたまーに食べないものも含まれてるのよ。ランタンは照明なの」

「なるほど」

「ジェイズ、衣装合わせに付き合ってくれない?」

「はい、もちろんです」


 衣装合わせねー。ハロウィンといえば仮装だと聞いたことがあるわね。


『衣装はグラシアたちが作ってるのー』

『そうなのねー』


 リーナがジェイズを連れてある部屋に入るとグラシア、エレナ、ユリアーナがデルフィン、マーク、スレイブに仮装の衣装合わせをしているところだったの。


「あら、みんないたのね」

「リーナ様、見てくださいませ。デルフィン様が可愛らしいのです!!」

「リーナ様!!なんで俺だけこんなことに!!嫌がらせか!?」

「まあデルフィン、とても似合ってるわよそのメイド服」

「似合いたくねえわ!!」


 地団駄を踏むデルフィンの肩に手を置くのはマーク。


「まあまあフィン、似合ってるから良いじゃん」

「おまえはなんで平然としてるんだかぼちゃなのに」

「かぼちゃ良いじゃん」

「可愛いですマーク様!!」

「ありがとうエレナ。エレナはどんな仮装すんの?」

「ふふん。女子は当日まで秘密なのよ」

「です!!」

「そっか。楽しみにしてるな」

「はい!!」

「ユリアーナ、眼帯をつけてくれないか?」

「スレイブ様!!はい、お待ちくださいね」


 海賊の衣装を着たスレイブから眼帯を受け取ったユリアーナが後ろに回って眼帯をつける。


「うん、みんな良い感じね。さすが私のチョイスだわ。さ、ジェイズはこれ!!」

「わかりました。すぐに着替えてきますね」


 そう言って本当にすぐに着替えたジェイズ。


「似合うわ!!さすがジェイズ!!狼男と迷ったけど吸血鬼良いわー!!」


 吸血鬼の仮装をしたジェイズに抱きついたリーナ。


「ジェイズになら血を捧げたい!!」


 血迷ったリーナが襟を緩めようとするのをジェイズが止める。


「私はリーナ様にこの命を捧げます」

「みゃー!!良い!!かっこいい!!好き!!」

「私もお慕いしています」

「押し倒して良いですって!?」

「聞き違いですね」


『リーナったらー興奮しすぎー』

『そうねー』


「でもリーナ様、私は押し倒されるより押し倒すほ」

「おおい!!そこの変態バカップル!!」


 デルフィンがメイドのカチューシャをジェイズに投げつけて怒鳴る。


「グラシア様に聞かせるんじゃねえ!!」

「まあデルフィンったらまだまだお子さまなんだから。グラシアは大人の階段を登ってるっていうのに」

「グラシア様に何しやがった!?」

「何って……」

「わー!!言うなー!!」


 頭を抱えて座り込むデルフィンを立ち上がらせたのはグラシア。


「ご安心くださいデルフィン様。私リーナ様に教えていただきましたので大丈夫ですわ」

「何も安心できませんけど!!」



 そうして楽しい準備期間が終わってハロウィンのお祭り当日。


『あらー既視感だわー』

『そうねー』


 面白そうだから私も次のリーナの指令成功を願ってリーナの世界風魔女スタイルの仮装をしているわ。その姿でリーナたちの様子を見てみるとデルフィンが頭を抱えて座り込んでいたの。


「デルフィン様、今日は私がデルフィン様のご主人様ですわ」

「男装似合ってるわよグラシア。デルフィン、ここはお帰りなさいませ、ご主人様って言うのよ」

「お、お帰りなさいませ……ご主人様」

「はい。デルフィン様、ご主人様なので命令しますわ。美味しいものがたくさんなのであーんしてくださいませ」

「……ご奉仕します」


 デルフィンがグラシアに手を引かれて料理が並んだテーブルに向かった。


「あははは!!あー面白かったな」

「マーク様!!」

「エレナ可愛いな。それは何の仮装なんだ?」

「遠い国の童話に出てくる女の子だそうです!!」

「へえ。可愛いな。赤い頭巾か」

「はい!!」


 マークは赤い頭巾を被って笑うエレナの頭をポンポンと撫でた。


「ユリアーナ、その格好は」

「はい、リーナ様にお願いしてスレイブ様とお揃いにしてもらいましたの」

「そうか。似合ってる」

「ありがとうございます。ところでスレイブ様、大丈夫でしょうか、あれ」

「ああ、あれな」


 スレイブとユリアーナが見ているのは固まった吸血鬼――――ではなくジェイズとリーナ。


「あら?おーいジェイズー!!見て見て可愛いでしょ。猫娘よ」

「……リーナ様」

「なぁに?」

「妖精ですか?」

「ふふふ、ジェイズったら。猫娘だって言ってるでしょ」

「可愛いです。黒猫の妖精です」

「ふふ、良いわよそれで」

「可愛い」

「……ジェイズって獣人好きなのかしら。獣人の国が舞台のゲームがあったけど指令に出てきたりしたら困るわね」


 ざんねーん。魔女の後は獣人の国なの。でもジェイズはリーナしか目に入らないのでしょうねー。


「リーナ様、黒猫の妖精はこの腕に抱き上げても消えてしまいませんか?」

「大丈夫よ」


 両腕を差し出すリーナを片腕に乗せて抱き上げる。


「さあ、ハロウィンの始まりよ!!みんな!!楽しんでね!!」


 準備から参加していたフェリシアやカミラ、アドルフ、リオネルやアドルフの部下たちがハロウィンを楽しむ様子を眺めていたら私が見ていることをトラコから聞いたみたいでトラコを通じてお料理が神界に届いた。


 珍しくリーナが優しいと思いながら喜んでメアリーと最近私の左腕になってくれた子と一緒にその料理を食べたのよ。



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