王女、怒る
「パンパカパーン!!女神の指令達成おめでキャー!!止めてーお腹殴るのは止めてー」
「もー!!せっかくジェイズの隣で寝てジェイズの夢を見ようと思ってたのにー!!」
レイジア国を旅立った私たちは冒険者をしていた村に戻る道中立ち寄った街の宿に泊まった。
護衛できないからと1部屋に2人で泊まりソファーで寝たら体が休まらないでスーパーハイスペックからスーハイスペックくらいになるはずないけどなっちゃうかもしれないからとジェイズを説得して一緒のベッドで眠った。
眠る前に夢の中でもジェイズに会いたいという私に「夢の中の私が羨ましいです」と夢の中のジェイズに嫉妬するジェイズにキュンとしてニヤニヤしながら眠りについた――――のに現れたのはジェイズではなく女神だった。
「はわわぁリーナー暴れちゃだめよー」
「そうよーおち、落ち着いてー」
トラコと女神におろおろしながら宥められた私は女神から手を離す。
「もう!!何の用なの?」
「指令が達成されたお祝いをしようと思ったのよー」
「良いからそういうの」
「お祝いとーちょっと総評しまーす」
「話聞いてる?って総評?」
「そうなのー。あのねーいくら未来を変えてと言ったからってリーナはというかジェイズも未来を変えすぎー」
「え、そんなわけないわよ」
「ぶーそんなわけありますー。胸に手を置いて振り返ってみてー」
女神に言われ胸に手を置いて振り返ってみる。
「ジェイズの教師姿かっこよかったわね。嫉妬するジェイズも良かったし」
「そこじゃないわよー。一番大きいところはレイジア国の国王になるのはアドルフだったの」
「えー!!でも謀反はデルフィン次第だって」
「アドルフが望んだタイミングじゃなくて国王と王子の自滅で結果的にアドルフが国王になるはずだったのにーリーナがデルフィンを焚き付けるからー」
「そうだったかしら」
「そうよー。アドルフが国王に、デルフィンとグラシアは託児所を作って子供の世話をして暮らしていくってそういう未来になるはずだったのにー」
「グラシア子供好きだものねーなるほどー……」
不思議だわ。一度見た未来から大きく変えてしまうと対策が取れなくなってしまうから慎重に動いていたはずなのに。
「デルフィンはあんなに神聖力が使えるようにはならなかったのにー。フェリシアはレイジア国をただ見守るだけのはずがデルフィンに助けられてデルフィンにつく神獣になったしー良いのだけどー」
「そうなの?何が原因かしらね。私は何もしてないのに」
「だからジェイズが教鞭を取ったからなのー」
「あら!!さすがジェイズね!!」
ジェイズは教えることに関してもスーパーハイスペックだ。さすが私のジェイズね。
「それにエレナとユリアーナは学園に集まった魔物に殺される未来だったのに狂暴化した動物たちから生徒たちを守る側になったしー」
「なっ!!あの2人死ぬところだったの!?」
「リーナとジェイズが未来をたくさん変えたおかげで大団円だけどー。むやみやたらに未来を変えすぎるとこーんな未来が待っているかもしれないのー」
女神がそう言うと私の頭の中に未来視が浮かぶ。ジェイズが聖女を抱きしめるその姿に私は膝から崩れ落ちる。
「そんな……」
「なーんてねー安心してー聖女に心を奪われたわけじゃなくて転びそうになる聖女を抱き止めたっていうだけー」
「抱き止めただけ……?んなことも許すわけないでしょうがー!!」
あり得ない未来視に私は叫ぶ。
「ひゃー!!」
「ジェイズが触って良いのは私だけ!!抱き止める?そんな必要ないわ!!転ばせとけば良いのよ」
「はわわぁ怖いわーねートラコー」
「はわわぁ怖いわねーメアリーナー」
「えっとーリーナー大丈夫よー。こういう未来もあるかもってだけよー」
「絶対ないわ。あり得ない。聖女に触れるのも目に入れるのも駄目……」
「独占欲ねー」
「そうねー」
「メアリーナ様ー!!総評はまだ終わりませんのー!?他の仕事が溜まっていますのよー!!」
何もない空間からメアリーが出てきてメアリーナに詰め寄る。
「あ、メアリー。見て、人間の独占欲は呪詛みたいだわ」
「呪詛、呪いといえば魔女ですわね。メアリーナ様、総評が終わったのでしたらお早く次のお役目についてお話ししてくださいませ」
「わかったわー。リーナーこれ見てー」
私の頭に青年2人が女性2人の前で土下座をしている姿だった。
「というわけでーよろしくねーバイバーイ」
「あっ、ちょっと、聖女のあのゲームの舞台はいつ」
「また今度話すわねー」
「ちょっと!!」
もう、勝手に呼び出して勝手なんだから!!
だけどその後ちゃんとジェイズとケーキを食べさせあいっこする夢を見て幸せな気持ちで目覚めたのだった。




