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護衛騎士は斬り倒す(sideジェイズ)


 ああ、なんで俺はこんな所にいるんだ。俺はリーナ様のお側にいないといけないのに。


「ジェイズ殿、国王はそこの寝室にいるそうだ」

「はあ。昼間から怠惰なものですね。さすが今から蹴落とされる愚王です」

「おう……なんか怒ってんのか?」

「当たり前です。リーナ様がいないのですから何のためにここにいるのか……」


 はあ、早くリーナ様の元に行きたい。そう思いながらアドルフと共に王の寝室とやらに着いた俺は寝室の壁一面に貼られた絵に釘付けになる。


「リーナ様……?いや、マリア様……?いや……これは」

「な、何事だ!?ア、アドルフお前生きて!?」

「昔あんたが寄越した暗殺者なら当然懐柔してんぞ」

「そんな馬鹿な!!」

「それよりなんだこの部屋は。女神メアリーナを題材にした絵画じゃねえか。あんた信者じゃなかったろ」

「信者ではない!!そのようなものではない!!女神メアリーナは我が王家のものなのだ!!」

「は?」

「なんて愚かな」


 神を自分のものだと勘違いするなんて愚かな。


「神をどうやって自分のものにするって?」

「ふん、馬鹿め!!だからお前は宰相の地位を失ったのだ!!」

「はいはい。で?」

「女神に近しい人間がいるだろう!!それを手に入れれば女神を手に入れたも同然なのだ!!」

「女神に近しい人間だ?」

「いるだろう、女神の愛し子だ!!」

「マールスのか。だがお前らはマールスに許しを乞うてないだろ」

「はっ!!許しだと?そんなものする必要はない!!だが今マールスにいる王女は子供だ。子供じゃ女神のように美しくない。そこでだ!!いるんだよ、女神の愛し子の血を引きさらに神の末裔でもある女が!!」

「あ?……それってお前」

「そう、ヤメルト王国の王女だ!!」

「死ね」


 俺は剣を振り下ろすがアドルフに弾かれる。


「待て待て待て!!今殺すのは駄目だ!!」

「俺には関係ないな」

「ジェイズ殿がやるのは王宮だ。建物を人外の技でぶった切ること。王を処罰するのは俺らの役目なの。オッケー?」

『はわわぁ……ジェイズ聞こえるー?』

『トラコ様!!リーナ様はご無事ですか?』


 トラコ様の声が届いた俺はリーナ様の無事を確認する。


「ジェイズ殿?」

「静かに。リーナ様の無事を確認しているのです」

「はあ?」

『はわわぁ……リーナは元気よー。王子はやっぱり動物の狂暴化に関わっていたわー』

『そうですか。では王子も処刑ですね。俺がこの世から抹殺します』

『はわわぁ……どういう……あららーそういうことね』


 トラコ様は俺の心を読んだようだ。


『王子も同じようなことを言ってるわー』

『リーナ様の愛らしいお耳におぞましい話を聞かせた分王子には地獄の苦しみを与えた末に死ぬ刑に処しましょう。こちらは速やかに終わらせリーナ様の元に駆けつけリーナ様の愛らしいお耳に私の愛を告げ上書きします』


 俺は土魔法で床を揺らし剣を振り下ろす。


「あっおいジェイズ!?」

「安心してください。王の横を切りました」


 王の真横から右が崩れ落ち左側のみが残る。


「なっ!?ば、化け物!!こ、こんなこと……そうだ、お前も初代アリエント公爵と同じ異世界の者なのだな!!その化け物じみた力、そうに違いない!!ということはお前という化け物に打ち勝つのが儂ということだな!!」

「何を言っている」

「テンセイシャだ!!初代アリエント公爵が夫になった男に自らが異世界からのテンセイシャだと話しているのを先祖が聞いているのだ」

「なんだそりゃ」


 俺はふと洞窟でリーナ様が嬉しそうに料理の話をしていたことを思い出す。


「テンセイシャは恐ろしい化け物の力を持っていてこの世界を蹂躙するのだ。其奴は言っていた。この世界にはヒーローとヒロインがいると。儂は化け物を討ち取るヒーローになるのだ!!」

「ヒーロー?ヒロイン?いや、初代アリエント当主はロマンチストだったからな。この世界は誰もがヒーローになれるしヒロインになれるとでも言いたかったんじゃねえか?」

「テンセイシャ……」


 テンセイシャとはどういう意味だ。それはリーナ様と関係あるのか。


 アリエント公爵の初代当主の話を嬉々として聞いていたリーナ様のことを思い返し握りこぶしを作って頑張ろうと呟くリーナ様の可愛らしさにうっとりいると再び頭にトラコ様の声が届いた。


『はわわぁ、ジェイズー助けてー』

『トラコ様!?どうしました!?』

『あのねーリーナがねー魔女を追いかけたいって言うからリーナを背中に乗せて森に入ったのだけどー魔物がたくさん襲ってきて怖くて逃げていたら魔女の居場所も森の出口もわからなくなっちゃったのー。今リーナが適当に歩けば大丈夫よってどんどん勝手に歩いて行っちゃうところなのーどうしたら良いのー?』

『ご安心くださいトラコ様。私がすぐにお迎えに参ります』

『良かったー』

『ただし、リーナ様にお伝えいただけますか?魔女を追うのは危険なので私が到着してからにしてください。私が到着するまでそこから動かず止まっていてください。私との約束ですと』

『はわわぁわかったわー……リーナがねージェイズとの約束だもの、絶対守るわってー』

『ええ、守ってください。ではトラコ様、私は今から森に向かいます。森に着いたら合図を送るのでどの方向から私の合図が起きたか教えてください』

『わかったわー。ジェイズー早くねー』

『もちろんです。すぐに行きます』


 そして俺はリーナ様とトラコ様の元に駆けつけたのだった。




 


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