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王女、布教する


 それからの動きは早かった。デルフィン曰く私のせいで無駄に時間がかかってるらしい。でもジェイズもいくつもの国を渡り歩いて指令をこなす必要があるのだから一ヶ国さくさく終わらせましょうと言うのだ。何を気にしてるのかわからないけれどジェイズが言うのだから従うわ。


 まずグラシアの家は人身売買には関わってなかった。その代わりギャンブルにハマって国費を横領していることが発覚した。まだ公にしていないけれど。


 学園のリリア信奉者たちを女神信者にすることはうまくいっている、多分。私自身どうしたら信仰を持つようになるかわからないから推しみたいなものだろうと女神メアリーナの逸話を実際に女神に聞いた話をちょっと加えて新たな見解として布教してみた。


 神聖力を持ちリリア信奉者でなかった生徒が中心に熱狂し女神メアリーナを刺繍したハンカチというグッズを学園近くで売り出すと大反響。あまりの反響にリリア信奉者も何だ何だと興味を持ち美しい女神にハマっていった。そこに神聖力を与えていくとまったくリリアを見向きもしなくなっていったのだ。


「さすがリーナ様ですわね。こんなに女神メアリーナ様を崇拝し始めるなんて」

「ふふん。推しを布教する手法を使っただけよ」

「おし……?」

「それにしてもグラシア。貴方目の下にクマがあるわ。無理しては駄目よ」

「えっと、大丈夫ですわ」


 グラシアは親の不正にショックを受けていた。私はグラシアの両頬をつねる。


「イーナさま……あいを……?」

「親の罪は親の罪よ。グラシアは子供たちを助けたじゃない」

「……はい。あの子たちが無事で良かったです」


 人身売買は計画段階で未然に防ぐことができた。子供たちは傷付くことはなく元気に過ごしている。


「グラシアは堂々としていれば良いのよ。良いわね?」

「あっ!!グラシ……アリエント嬢!!」


 いつも言い直してるけどもうグラシアって呼べば良いのに。ヘタレなデルフィンが駆け寄ってきた。


「お前何か言ったか?」

「いいえ、ヘタレだとか思ってないわよ」

「言ってんじゃねえか」

「そんなことより何か用なのでしよ?」

「あ、ごほんごほん。アリエント嬢、これを」


 そう言ってデルフィンが差し出したのは一輪の白いガーベラだ。


「まあ……」

「あら、白いガーベラと言えば花言葉は希望だとか純潔、穢れなき心ね。グラシアにぴったり」

「え、そ、そんなこと……」

「グラシア、早く受け取ってあげたら?」 

「えっと、わ、私に?」

「は、はい」


 もう、デルフィンもグラシアも赤くなってもじもじするなんてお子さまねぇ。


「あの……ありがとうございます。嬉しいです、とても」

「ッ!!それじゃ!!」


 あらまあ、グラシアのはにかむ笑顔を見て逃げ帰るなんてやっぱりヘタレだわ。それにしてもグラシアったら嬉しそう。 


「花なんて贈られ慣れてるんじゃないの?あの馬鹿王子だって一応婚約者なんだし」

「えっと、それがないのです」

「は?一度も?」

「一度も」

「本人じゃなくても従者が送ってきたりとか」

「それもないですわね。私にそういうことをするのは無駄だとおっしゃっていたとかで」

「何が無駄なのよ。リリアにやたらギラギラした宝飾品贈ってるくせに。ま、デルフィンもたまには良くやったわね。グラシアが嬉しそうだもの」

「え……?」

「元気出たでしょ」

「そう、ですわね」


 グラシアは両手で握るガーベラを見てから言う。


「はい、いつまでも引きずっているわけにはいきませんものね。私にできることをしなくては」

「その意気よ」



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