王女、仮装を楽しみにする
「さてと、そういうわけで私のジェイズがスーパーハイスペックイケメンなのだけど」
「スーパーバケモンじゃね?」
「なんですって?」
私はデルフィンを凝視する。
「なんだよ」
「ハロウィンでお化けとかの仮装をするジェイズなんてすっごくかっこいいわね。その場合私は猫の仮装をしようかしら。お菓子をくれなきゃイタズラするにゃーん、とか言って。あんなことやこんなことをしちゃってね、むふふ。ね、ジェイズ」
「リーナ様、ハロウィンとは?」
「ハロウィンはね、子供たちがお化けの仮装をしてお菓子をくれなきゃイタズラするぞって言ってお家を回っていくお祭りなのよ。あとカボチャを使った料理とかを出して」
「そんな子供の祭りをお前の思考が汚していると」
「まあデルフィン。それは違うわ。みんな考えることよ」
『はわわぁ……リーナー、みんな考えないわよぉ』
「なるほど、理解しました。そのハロウィン私が完璧に遂行します」
「ふふふ、楽しみにしてるわ」
吸血鬼の仮装なんてどうかしら。ジェイズに似合うと思うわ。ふふふ、楽しみ。
「さて、話を戻すがそれじゃあ学園の王子関連の問題をリーナ嬢が片付けてくれるってことで良いのか?必要な人員はこっちでも出すが」
「ええ。でも孤児院で人身売買が行われているか、それに最近の獣の凶暴化している件を調べたいわね」
話し合った結果、孤児院の件はグラシアとリオネルとカミラが中心に調べることになって獣の凶暴化についてはアドルフが調べることになった。
「ふふふ、話が纏まって良かったわね」
「ほんとだよ。お前らすぐイチャイチャイチャイチャするからまた話が終わらねえかと」
「あら、そんなに羨ましいならデルフィンもグラシアとイチャイチャしたら良いじゃない」
「羨ましいとか思ってねえし!!ア、アリエント嬢と、なんてそんな、しねえし!!」
まったく、デルフィンはいつまで経ってもお子さまねぇ。お子さまのグラシアとぴったりだわ。
「吃りすぎだろ。デルフィン、お前」
「アドルフおじさんまで!!俺は公然とイチャイチャする気はねえ!!」
「あらまあ。こっそりイチャイチャするのね。イヤらしい」
「おま、お前なぁ!!」
『はわわぁ密室でイチャイチャしたいって言ってたのにー』
「別にそれが悪いなんて言ってないわよ。デルフィンをからかってるだけだもの」
「お前は堂々とハレンチすぎんだよ!!」
「それの何が悪いのかわからないわ。人間いつ何が起きるかわからないんだから伝えられる時に所構わず愛を伝えるべきだと思うのよ」
例えばあの泣き虫女神に再転生なんてされたらジェイズを幸せにできないわ。這ってでもジェイズの元に再再転生させるけども。
「う……ん?いや、所は構った方が良いだろ」
「ところでリーナ嬢、その眼鏡はここらじゃ珍しい色付きの眼鏡だな」
私はずんとアドルフに向かって前のめりになる。
「そうなのですわ!!私のジェイズがすごくすごーく真剣に選んでくれたのです私のために!!デルフィン、あなたグラシアのファッションを適当に考えちゃ駄目よ。ジェイズを見習いなさい。この茶色に染めた髪に合う茶色の眼鏡を選ぶだけなのにあの真剣な眼差し。私のこの瞳の色が隠れつつダサくならないけど地味女子に見える良い案配を「リーナ様お待ちくだ」あらどうしたのジェイズ」
眼鏡を外してジェイズを見ると狼狽えている様子に私は首をかしげる。
「まあリーナ様!!綺麗な瞳ですわね!!」
「まるで宝石のようですわ」
グラシアとカミラに誉められ私はふふんと胸を張る。
「リーナ様、髪の毛を染めるとは?そのようなことができるのですか?」
「ふふん、グラシア。さすが女の子はそういうことに興味津々ね。できるのよ。東の大陸で作られたものでね」
「そうなのですね!!どのような色でも茶色に染めることができるのでしょうか?リーナ様の元々の髪の色は?」
「私は銀髪よ。ジェイズの金髪もちゃんと茶髪になったからグラシアも大丈夫よ」
「まあ!!そのようなものがあれば市井にお忍びに行っても目立たなくて良さそうですわね!!」
グラシアの目が輝く。
「グラシアも市井に紛れて買い食いとかしたいのかしら。ふふふん、良いわよね解放感があって」
「へ?かいぐい、ですの?」
「リーナ様、ストップです」
「あら」
ジェイズに眼鏡を装着させられた私。
「知られてしまったからにはただで帰すことはできなくなりましたね」
ジェイズは剣を鞘から抜こうとする。
「ひい!!よ、良くわかんねえが落ち着け!!つーかその髪染めっていうのは知らねえがお前そこまでしてこいつの容姿を隠そうとしてたのかよ」
「そうですよ。だってリーナ様は天使のように美しく可愛らしいのですから」
「まあジェイズったら。ジェイズもとってもかっこいいわ」
「まあ騎士さんよ、こっちもまさかと思って聞いた責任があるが。隠し通したいなら本人に自覚させた方が良いと思うぜ」
「あら、駄目だったのジェイズ」
「……いえ、リーナ様のお心のままに」
と言いつつ不満そうなジェイズの頭をよしよしと撫でる。
「今度から気を付けるわね」
「いえ、無理なので大丈夫です」
「え、何故?」
「前例がありますから」
「まあ、そんなことあったかしら?」
まったく思い付かないわ。不思議ね。
「とにかく今のでピンと来るのは大人たちだけだ。俺たちを口封じするか?」
ジェイズが私を見る。
「……はあ。いいえ。貴方たちが口外しないと約束してくださるのであればその必要はないでしょう」
「しねえよ」
「俺もですジェイズ殿!!」
「私もしませんわ」
「であれば構いません」
「しかしそういうことならこう自由に過ごしてて良いのか?事情はある程度察するが隠れて亡命するなら力というか場所貸すぜ?」
「いえ、そういうために出てきたわけではないので」
「そうなのか?」
ジェイズがアドルフと親しくなったみたいに小声でこそこそ話をしている。何の話をしているのかわからないけれど真面目な顔で話すジェイズはいつもかっこいいわ。むふふ。




