王女、神獣を紹介する
「さて、そろそろ場所を変えようか。自己紹介はそこでしよう」
アドルフがそう言い近くの家に向かった。
「ようこそー。ここが私とデルフィンのお家でーす」
「まあ、可愛らしいお家ですわね」
前世の某人形ハウスのような内装の部屋にグラシアが目を輝かせる。
「グラシア、悪役令嬢ならここはまあなんて狭い家なのかしらって言うところなのよ」
「まあ、そうなのですね」
まったく、乙女ゲームから遠ざからないようにグラシアには悪役令嬢をしてもらいたいのに良い子なのよね。
グラシアが悪役令嬢にならなかったのは何故かしら。そういえばリオネルがグラシアにお前が倣うべきは愚かな両親ではなく俺たちが憧れた初代様だろうって言ったんだったわね。もしかしてリオネルも転生者だったりするのかしら。
「グラシア知ってるか?お前が昔作った人形のお家ほどの大きさのこの狭い家が平民の一般的な家なんだぞ」
「まあ、お兄様そうなのですね。ちょうど今そう思って可愛らしいお家だわと思ったところなのです」
「グラシア、あなた狭いと思っていたのね。ナチュラルに酷いこと考えてるじゃない」
「えっそうなのですか?すみませんデルフィン様、カミラ様」
「え、いえ、大丈夫ですよ、実際狭いですし」
「ピッ」
「デルフィンの言う通りですよ。でも狭いからこそデルフィンが今何をして遊んでいるのかしらって見られたり距離が近くてとても楽しいのです」
「まあ、そうなのですね」
「小さい頃のデルフィンはそれは可愛くてー」
「ごほんごほん!!母さん!!」
「ピピッ」
「どうしたの?」
「どうしたのじゃねえ!!そんな話しに来たんじゃねえだろ!!」
「ピーッ」
デルフィンが怒鳴りながら床板を外すアドルフに尋ねる。
「アドルフおじさん?床下に何があんだ?」
「ピッ?」
「場所を変えると言ったろ」
「え?うちじゃねえのか?」
「違う違う」
アドルフが床板を外すと梯子で地下に降りる。
「秘密の場所に通じてるんだ。話が話だからそこまで移動してほしい」
「秘密の場所。面白そうね」
「リーナ様、私が先行します。トラコ様をお願いできますか?」
「あらそう?」
危険はなさそうだけどジェイズがそう言うならとブローチになっていたトラコに虎の姿になってもらう。
「あらまあ!!」
「ほう」
「すげえ!!」
カミラ、アドルフ、リオネルがそれぞれ反応する。
「先に話しておきますわ。私訳ありのリーナと申します。訳あって身分を明かせません。この子はトラコ。訳あって詳しくは説明できません」
「神獣とは驚いたな」
「ちなみにデルフィンの頭に乗っかっているその白文鳥も神獣です」
「ピッ!!」
外では元気に飛び回り家に入るときにデルフィンの頭の上に乗って陽気に鳴いていたフェリシア様。
「あー何て言うか。こいつが俺といたいんだと」
「そうだったのか。そうか、デルフィンが……」
「可愛らしい小鳥さんだと思っていたのだけど神獣だなんてお母さんびっくりしちゃったわ」
「まあ驚くよな」
そう驚きつつも落ち着いている2人とは別にリオネルが目を輝かせてトラコとジェイズを交互に見る。
「初代様は馬の神獣と共にあったそうな!!ジェイズ殿!!すげえ!!本物だ!!」
「こらリオネル。失礼ですよ。平伏しなさい」
「はっ!!そうか!!」
リオネルが本当に平伏しようとする。
『はわわぁやめさせてー』
「トラコちゃんはそういうの苦手なのよ。だからやめてちょうだい」
「そうなのか。それにしてもすげえなあ。なあグラシア」
「ええ、私もお会いするのは2度めですが神々しく美しいです」
『はわわぁ、恥ずかしいわー』
恥ずかしがるトラコに乗る。
「さ、行きましょう。冒険みたいでワクワクするわね。トラコちゃん、怖がって引き返したり暴れたりしないでね」
トラコは怖がりなのだ。
『はわわぁ頑張るわー』




