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王女、事情を聞く


「ラザール侯爵家……ですの?」


 グラシアが驚いて呟く。


「はい。国費を横領した罪で没落したラザール侯爵家です」

「罪を擦り付けられただけだろ!!」

「そうなのですか?」

「はい。私がこの学園に通っていた2学年の時のことです。突然父が捕まりその後すぐに牢で死んだと聞き、母も後を追うように自死しました。私は平民となりましたが王宮にメイドとして雇われ、王……当時の王太子に父の無実を証明してあげると部屋に呼ばれお手付きにされました。激怒した当時の王太子妃に王宮を追い出される時アドルフ様に父は無実だと、しかも王太子が仕組んだものだと教えられたのです」

「ふざけた話だ!!じいちゃんもばあちゃんも母さんの人生もめちゃくちゃにしやがって!!」


 デルフィンが両手を机に叩きつける。


「当時はわけがわからず怒りを感じることもできませんでした。ただ父と母が死んだことが悲しくて、でもしばらくしてこの子がお腹の中にいることがわかったのです。最初はあの人の子供だと思うと恐ろしく思いました」


 カミラは立ち上がるとデルフィンの隣に立ちデルフィンを抱きしめた。


「でもどうしたら良いかわからなくて、どうしようと思って頭を抱えている間にお腹が大きくなって次第に愛おしくなりました。この子が幸せになることだけを考えることにしました。だから父と母のことは悲しくて辛かったですがデルフィンがいたので私は父を陥れたあの人のことはどうでも良いのです」

「母さんは怒れ!!」

「良いの。そもそも私生まれてこのかた誰かに怒ったことないもの。私の代わりにデルフィンが怒ってくれるし」

「金ちょろまかされた時は怒れ!!」

「あの時はデルフィンがお金の計算ができたことに嬉しくてー」

「ったく!!」

「私の身の上話は以上ですわ。重くなってしまいましたが私自身今となってはそこまで気にしていないのです。父と母には呆れられるでしょうが私昔からこうなのです」

「お話くださりありがとうございます。私も身の上を話したいところですが申し訳ありません。身分は明かせないのです」

「いいえ、構いませんわ」

「ですが私、ここにいるグラシアを助けるために来たのです」

「グラシア・アリエント嬢を……リリアさんのことですわね」

「はい、もちろんご存知ですよね?」

「ええ。それにお掃除で色んな場所に出入りしていますから色々と見聞きしています」

「グラシアは……あら、グラシア?」

「グラシア様!!大丈夫ですか!?」


 グラシアが青ざめていてデルフィンがカミラを払いのけグラシアの背中を擦る。


「グラシア、大丈夫?」

「すみません……すみません」


 過呼吸を起こしそうになるグラシア。


「アリエント嬢、前屈みになってくださいませ。そうですわ。ゆっくり深呼吸しましょう」


 カミラがグラシアの後ろから背中を擦る。


「か、母さん」

「デルフィン、一緒に深呼吸して、背中を擦ってあげていてね」

「うん」


 それからカミラが持ってきた水を飲んだグラシアは落ち着いてきた。


「グラシア、大丈夫?」

「はい、すみません」

「良いのよ。話せる?」

「はい。あの、すみませんデルフィン様のお母様、アリエント家で支援している孤児院の中には元々ラザール侯爵家から引き継いだものがあります。ラザール侯爵を陥れたのはもしかして」

「まあ、それは違いますわ」


 カミラがはっきりと否定する。


「違い……ますか?」

「ええ、アドルフ様が調べてくださいました。しかし王族に処分されてしまい闇に葬られてしまったのです」

「そう……ですか」

「アリエント嬢……貴族の中には後ろ暗いことをしている人がたくさんいます。足の引っ張り合い、見栄の張り合いにギャンブル関係、犯罪に手を染めることも。でも親の罪は親の罪です。子供に責任はありませんわ」

「は、はい」

「目を背ける人が多いのにアリエント嬢は責任を感じてしまうのですね」

「いえ、私も、少し前まで目を背けていました……ですがリーナ様のおかげで目が覚めました。皆様すみません、もう大丈夫です。リーナ様」


 大丈夫だろうか。グラシアに負担をかけていることに不安を感じる。思えば17才の女の子に断罪だの親の罪だのを聞かせて良かったのか。


「リーナ様、お願いします。弱い自分が嫌です。でも自分がやるべきことから遠ざけられて守られるのはもっと嫌なのです。我が儘を申し上げてすみません……」

「グラシア……」

「リーナ様!!グラシア様は俺が支えるから!!一緒に戦う!!だから頼むよ!!」


 デルフィンがグラシア様の手を握りしめて言う。あらまあ、頼もしい。


「ふふ、手が握れたらキスまでもうすぐね」

「は?……はあ!?おまっお前ん中でどういうステップアップなんだよ!!手が握れたら次はハ、ハハハハ」

「笑い合うのかしら?」

「ハグだろ!!」

「まあ、ハレンチね」

「お前に言われたくねえよ!!」

「失礼ねぇ」

「リーナ様、デルフィンをからかうのは後にしてください」

「はーい」


 ジェイズに言われた私は素直に返事をしてカミラ様に向き直る。


「カミラ様、訳あって詳しくは説明できませんがグラシアは今後王子から婚約破棄され断罪されて国外追放される可能性があるのです」

「まあ……」



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