王女、公爵家について話す
朝からジェイズの教師姿を眺めた私。るんるん気分でグラシアと合流し他の授業を受けた。ちなみに私は勉強を身内から教わっている。あ、神官長は身内で良いわよねジェイズのお父様だもの。
だから学園というものに通うのは初めてだけど基本的なことも応用も学んでいるのだ。なにせあのスーパーハイスペックイケメンのジェイズから教わったのだから!!だけど家庭教師と言う名の普段通りのジェイズと眼鏡をかけた教師スタイルで教鞭をとるジェイズは異なる魅力でいっぱいなのだ。むふふ、何が言いたいのかと言うとジェイズは素晴らしいと言うことだ。
『はわわわーリーナー、リーナは勉強してるけど他の子たちと一緒に学ぶのも新鮮で面白いわねって思ってるのよね』
「まあ、そうね、そういう話だったわ。それに他国の歴史をその国でどう伝えているのかを学ぶのは面白いわ」
「リーナ様?」
学園では学食があってほとんどの学生は食堂で食事をするが王族や高位貴族が使用できる小さなラウンジがいくつかある。彼らと一緒なら誰でも入ることができるそこが私とグラシアの過ごす場所だ。如何せん王子とリリアたちが騒いで煩くてゆっくりできないからだ。
「こういう場所は良いわよね。うちの国でもあると良いわね。許可してない人が通せないようにセキュリティ対策をしてる部屋。これで誰もジェイズとのラブラブを邪魔できない!!むふふ」
「あの、リーナ様は恐らく普通にセキュリティの高い部屋でお過ごしされているのでは?」
グラシアは私が何者かは知らないけれどどこかのやんごとなき身分だとは思ってるみたいね。
「そうだけど密会ってドキドキするじゃない?そのドキドキから襲ってくれたり……ぐふふ」
「リーナ様……」
『はわわわーリーナ、ドン引きされてるわよー』
「ふふん、グラシアはお子さまねえ」
「えっと……」
『リーナー、今のリーナは12才の設定なのよー。グラシアは17才なのー』
あら、そうだったわね。全くこの年下のお嬢様はウブだわ。前世の私は高校時代から恋愛に積極的だったわよ。ジェイズに対して。
「と、ところでリーナ様!!」
「なぁに?」
「私にできることがしたいのです!!」
「ふむ。真面目ねぇ」
グラシアは真面目な話をご所望のようだ。私は真面目にジェイズとあんなことやこんなことがしたいけど。
「リ、リーナ様……」
「あら、私声に出してた?」
「あ、あんなこととは……?」
「聞きたい?」
「い、いえ!!」
真っ赤になっちゃって可愛いわね。
「ふふ」
「リーナ様!!それよりデルフィン様は神聖力を試してくださっていますし、白文鳥の神獣様も……。私もできることはないでしょうか。あ、でも自分で考えなければいけませんよね、リーナ様は見届け人で」
「あーあー良いのよ。大きく動けないってだけで別に見届け人じゃないんだから」
ま、グラシアを助けられれば後はなんでもいいんだけど。
「……リーナ様、リーナ様が見た未来では国はどうなっていたのでしょう」
「んーグラシアが助かった方の未来はわからないわね。リリアが王子と結婚した未来ではグラシアが断罪されてアリエント公爵家も取り潰しになってたわね」
「取り潰し……」
「事実はどうかわからないけどグラシアを王妃にするためにリリアや他の令嬢の家に悪いことをしていたらしいわ。実際はわからないけどね」
「……そうですか。それはきっと事実ですわ」
「あら、そうなの?」
「はい。父も母も自分たちが至上の存在だと考えています。お祖母様が王女だったこともあって王家も自分のものだと思っているのです」
「あらまあ、そうなの」
「リーナ様、アリエント公爵家は見栄で慈善事業を広く行っています」
「見栄で?」
「はい。社会的な評価を高めるため孤児院を支援しているのです。家が取り潰しになれば孤児院の子供たちは」
「ちょっと待ってちょうだい」
いくら私がシリーズの乙女ゲームを熟知してるといってもシナリオ全てを記憶しているわけではない。かなり覚えているとは思うけど。
そうだわ、このゲームで起きる出来事の中に子供の人身売買があったはずよ。
「グラシア、大変だわ。孤児院の子供たちが人身売買されるわ」
「そんなっ!!」
「罪のない子供が巻き込まれるのは見過ごせないわ。どうにか防ぐわよ」
「はい、もちろん!!……まさか」
でもこれはあくまでゲームの話。実際に起きることかはわからない。
「まずは本当に起きるか調べないといけないわね。ジェイズに調べてもらいましょう……グラシア?」
グラシアが何か考え込んでいるかと思ったら顔が青ざめる。
「グラシア?どうしたの」
「リーナ様っ」
グラシアが私の腕にすがり付く。
「両親の、私の両親の犯した罪とはなんですか!?」
「詳しくはわからないわ。他の令嬢が王妃にならないようにささやかでない牽制したりとかじゃないかと思うけど。どうかしたの?」
「その人身売買に関わってはいないのですか!?」
「……どうかしら。捕まった犯人はアリエント公爵ではなかったのは確かだけど裏を引いてたということはあるかもしれないわね。何か思い当たるの?」
「……はい。でも違うかもしれません。数ヶ月前、父の執務室を通りかかった時にちょうど執務室から出てきた男性と父が話していたことが急に気にかかって」
「不審な話でもしてたの?」
「あの時は普通の商談だと思いました。でも器量がどうとかバレるはずがないとか……」
「怪しいといえばそうだけど……」
「リーナ様、どうか、どうか私に調べさせてください!!」
「え、グラシアが?」
「兄も呼びます!!」
「お兄様?」
グラシアに兄なんていたかしら。ゲームでは一人娘だと言われていたはずだけど。
「勘当された兄がいるのです」
「え、勘当?」
「はい、父と母に反発して初代様のように強い勇者になると出ていって冒険者になったのです」
「あら、まあ」
「私に伝手は兄しかいないので、兄を使わせてください!!」
「えっと、うん、それは良いわよもちろん」
でも待って。素性は知らないけどやたら勇者になりたい勇者になるんだと暑いモブキャラがいたけどゲームが違うし違うわよね。いや、でもシリーズの中で関係性があるのはザラにあったし。
「ありがとうございます。兄は二つ名があるほど有名な冒険者だそうなのです。もう数年連絡を取っていなくてこちらから連絡をしたことはないのですが冒険者ギルド?というものに依頼すれば良いと聞いています」
「二つ名……」
「はい。確か黄金の熊男だそうです」
「……知ってるわ」
「え、まあ、そうなのですか?」
早く動きましょうと言うことで今日も放課後に集まることになった。




