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護衛騎士はあたふたする(sideジェイズ)


 リーナ様はすっかり忘れていらっしゃる。俺はリーナ様が男と口を利くことに嫉妬してリーナ様に男と話さないで欲しいと懇願した。


 するとリーナ様は私の初嫉妬だと喜んでくださったのだ。可愛らしい。愛してる。





 トラコ様から聞いたときは自分に与えられた教師部屋から飛び出した。普段トラコ様は人間の姿に変化しないと直接お話をされない。神獣様のことはわからないことが多いが人間の姿になれば声帯を使って話すことができるが本来の神獣の姿、変化の力を持つトラコ様の場合人以外のものに変化した場合は対象の脳に直接声を届けるのだそうだ。


 トラコ様は人間の姿で俺と話すのは良いのだと言う。と言っても声を聞かせるのは俺とリーナ様の両親のみだったが。だけど脳に直接声を届ける方は恥ずかしいと仰るのだ。不思議だがトラコ様のなさることだ。俺のような者が神獣様の真意を問おうとするのは不敬である。


 それなのにあの日トラコ様の声が突然脳に届いたのだ。


――――――――――――

『はわわわージェイズー聞こえるー?』

「……トラコ様?」

『そうなのー』

「これは……いえ、まさかリーナ様に何か!?」

『はわわわー違うのーリーナはとっても元気よー』


 突然脳に届いた声にリーナ様の危機だと思った俺はそうではないと聞いて浮かせていた腰を降ろす。


「そうですか。トラコ様が私にこのようになさるのでよほどのことが起きたのかと」

『えっとー普段は恥ずかしくてー』


 トラコ様の声は人間の姿で聞くものと変わらないようで全く異なると感じた。はっきりとは言い表せないが神々しいのだ。これでトラコ様が「我は神獣である」と仰られたら信心深い俺でなくてもひれ伏せずにはいられなくなるだろう。人間の姿で聞く慣れた口調でも神々しく感じられる。初めはリーナ様の危機かと慌てたが落ち着いた今はひれ伏せそうになる。


『はわわわー止めてねー恥ずかしいー』

「トラコ様、お伺いしてもよろしいでしょうか」

『良いわよー』

「トラコ様には私の考えがわかるのですか?」

『わかるわー。今こうしてジェイズに声を届けようとしてる間だけー』


 それは人の考えが読めると言うことでは?リーナ様の命を狙う者も……いや、神獣様は神の目として存在するのみ。人間の業などに神聖な力をお貸しいただくなどあってはならないか。


『ふふ、ジェイズのそういうところが好きー』

「はっ、申し訳ございません」


 考えを読むことができるのだった。


『良いのよー。でもねー残念ながらできないのよー』

「そうなのですか?」

『そうなのー。考えがわかるからこうしてジェイズが口に出していることも考えながら話すからわかるのよー。私の声は届けようとすれば誰にでも届くのー。でも私が考えを読むことができるのは神を深く信じている人だけなのよー。本来そういうことのためにそうなっているのではないのだけどねー』

「なるほど。信心深い者は神様に祈るとお聞き届けくださると信じますね」

『そうー。だから神のことを深く信じていない人間の考えは聞き取れないのー。リーナにはー肝心なことができないなんて不便なシステムねって言われるわー』

「リーナ様……」


 リーナ様は女神メアリーナと直接お話をされトラコ様が身近にいるからか信心深い者たちからは考えられないことを仰る。女神メアリーナを泣き虫女神だと仰ったり。


『リーナはねー良いのよー』

「ふふ、それでトラコ様、一体何故今日はこのように?」

『はわわわー忘れてたわーリーナがねー国王の隠し子と話してるのー』

「はい!?昨日言ったのに」

『そうなのーリーナ、直接は話してないのー。グラシアに話してグラシアが隠し子に伝えてるのー。リーナ、これなら大丈夫だって思ってるのー』

「リーナ様……」


 そんなリーナ様も愛らしい。


『ジェイズーどうするのー?』

「すぐに行きます!!」

『わかったわー裏庭にいるわー』

「トラコ様、知らせてくださり感謝いたします」

『えへへーじゃあ待ってるわー』


 俺は再度トラコ様、そして女神メアリーナに感謝を述べると急いで裏庭に向かったのだった。

――――――――――――


 ということがあったのにリーナ様はすっかり忘れてしまったように普通に男と話してしまっている。本当は嫌なのだが、リーナ様が俺以外の男のことを考えるのは嫌なのだが……。


 しかしあのデルフィンというリーナ様に不敬な態度をとり続ける男、あれはかなり神聖力の才能がある。


 元々光魔法の優秀な使い手として学園に入学したと聞いていたがポテンシャルが高いのだろう。


 神聖力を持つか持たないかは信心深さはそれほど関係がない。といっても親が信心深いと子が神聖力を持つことは多い。それに神聖力を学び使っていくうちに神の存在を感じ神を信じるというのは自然の流れだ。例外がないことはないが神の存在を感じる者は神に逆らおうとは思わない。神の存在を感じればどの神から授けられた力かどうか自然とわかる。そして視られていると感じるのだ。悪事を働けば神による制裁を受ける。だからか神聖力を持つものに犯罪者は少ない。


 だが神からすれば人の些細ないざこざなど関係ないだろうし人間社会も国によって何が正しくて何が正しくないかなんて異なる。よって聖人君子などというものはいない。俺もリーナ様の前ではええと、なんだったか、そうだ、スーパーハイスペックイケメンでいるのだ。


 神からすれば些細なこと、それは神の末裔で神の力を持つリーナ様を冒涜することは含まれないのだろう。そもそも神というのは滅多なことでは人の世に干渉しないものだ。だから実際に神の制裁を受けたものはほとんどいないはずだが畏怖を感じれば悪事を働こうとは思わないだろう。


 そう、滅多にはないが実際に受けた者はいる。有名な話がマールス王国に攻めいった者たちが女神メアリーナの制裁を受けた話だ。


 女神メアリーナに愛された王女が狙われ戦争が起き、国民が多く死んでいくことに心を痛めた王女が自害した。すると女神メアリーナが嵐を起こし侵略者を滅ぼしたのだ。


 神の怒りを買えば制裁を受ける。だから神に誓って悪事を働かないと自ら宣誓することはよくある。


 しかし昨日俺が話を聞いた学園の門番は「アドルフ様に誓ってそのような不正はしない」と言っていたな。別に神に誓うことが誰かに強制されているわけではないからそれに準えて考えることはないだろうが。神聖力を持つ者が神ではない誰かに誓うということが少し引っ掛かる。俺の考えすぎだろうか?だが調べておくに越したことはないだろう。


 つまり神聖力を学べばあのデルフィンという男もリーナ様への態度を改めるはずだ。才能はあるのだ。リーナ様を崇拝するようにな……ったら駄目じゃないか!!


 そうだ、リーナ様の魅力に気付いてリーナ様に惚れるようなことがあってはならない!!ないと思うがリーナ様も……いや、どうだ。リーナ様はこれまで同年代と親しくすることがほぼなかった。それがデルフィンと話す時は楽しそうに高笑い……ははしたないからお止めしたが楽しそうに話されている。もしやおじさんより年の近い男が良いと考えを改めてしまったり!?


 いやいや、見た目はかなり年が離れているように見えるが5才差だ。……どうだろう。リーナ様は大人っぽい所もあるが子供っぽいところもある。可愛らしい。リーナ様にジェイズっておじさんくさいわねって言われたらどうしよう!!


 ガイに珈琲を送ってもらった時に参考に感想を求められていたから一緒に香水を手配するよう依頼しておかなければ!!

 

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