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王女、王子を追い払う


 翌朝教室でグラシアと話しているとドタバタ足音がしたと思ったら王子とリリアが駆け込んできた。


「おいグラシア!!」

「まあ、何ですの?朝から騒がしいこと」


 グラシアが立ち上がって応戦する。私も参戦しようとするがグラシアの腕に阻まれる。


「お前がリリアを襲わせたことわかってるんだぞ!!」

「何の話かわかりませんわ」

「しらばっくれるな!!お前のせいでリリアが怪我をしたんだ!!」


 リリアは右腕をギプスで固定している状態だ。


「まあ、お怪我をされたのですか?大丈夫ですかリリア様」

「グ、グラシアさん、もうやめてください!!」

「グラシア!!リリアを虐めるな!!」

「だから何の話かわかりません。説明してください」

「お前がリリアを襲ったんだ!!」

「まーったく話が進みませんわ」


 全然会話が成立しない様子にしびれを切らし私が間に入る。


「はいはい。殿下、グラシア様がリリア様をどう襲ったのです?」

「またお前か!!すっこんでろ!!」

「それではいつまで経っても話が進みませんのよ。日が暮れてしまいますわ。さあ、早く答えてくださいまし」

「仕方ないな!!獣に襲わせたんだ」

「いつですの?」

「昨日の放課後だ」

「昨日の放課後はグラシア様は私と学園にいましたわ」

「なら取り巻きにでもやらせたんだろう!!いくらリリアが妬ましいからって卑怯だぞ!!」

「まあ、妬ましいですって?私が何故リリア様を妬む必要があるのですか?」

「リリアが光魔法の使い手だからだ!!」

「リリア様が光魔法の使い手なのはわかりますが何故それで私がリリア様を妬むのです?」


 この世界では神聖力が一番尊ばれる。魔法持ちは貴族に多く平民でも珍しくない。詠唱をすればある程度魔法は使えるが訓練をし続けないと水魔法持ちが水をちょっと出せるくらいのものだ。便利そうではあるがだいたいの人は魔法は持ってるけど使わないことを選択することが多い。訓練し続けないといけないことと戦闘を生業にしているような人くらいしか使う用途がないからだ。


 そうは言ってもジェイズのように魔法持ちではあるけど剣で戦う人も多い。これは好みだという。ジェイズの場合は地の魔法持ちで実は訓練してるから使えるのだけど戦闘では滅多に使わない。


 私が見たいと言った時見事に辺りが地割れしてジェイズに抱き上げられながらやはりジェイズはスーパーなんでもできるイケメンだと思ったものだ。


 話は戻るが優秀な魔法の使い手であればデルフィンのように平民でも学園に入学させて将来良い職につかせたりするが別に光魔法が珍しいわけでもなければリリアのように貴族であればゴロゴロいる。ちなみにリリアは魔法の授業をサボってるから訓練が大切な魔法の行使は不馴れだろうし、優秀なというのは嘘だろう。


「それはグラシアが地なんて地味な魔法を持ってるからだろ」

「あら、地が地味ですって?ジェイズのどこが地味だというのです。というかグラシア、あなた地の魔法持ちなの?ジェイズとお揃いで羨ましいわ」

「え、ええ……リーナ様は?」

「私は水よ。昔頭から水を被ったら風邪を引いてしまってジェイズがとても慌てて水魔法禁止令を出したの。ふふん、ジェイズは心配性よね」

「え、ええ、そうですわね」

「おい!!何の話だ!!」

「あら、私たちの気持ちがよくわかりまして?グラシアがリリア様を獣で襲わせたなんて事実無根ですわ。それでも言うなら証拠を見せてくださいまし」

「証拠はリリアがグラシアを見たと言うから!!」

「どこでです?」

「リリアが襲われたところでだ!!」

「あら、でも先ほどグラシアは昨日の放課後私と一緒に学園にいたと言ったら取り巻きにでもやらせたんだろうと仰いましたわよね」

「くっ……そのお前と学園に一緒にいたのが嘘なんだろ!!」

「では門番に聞いてみればよろしいのでは?学園の外に出る場合必ず門で記名をする決まりですわ」

「ふん!!」


 ちなみに昨日のうちにジェイズが門番のところに行ってグラシアの名前がないことを確認している。さらに門番はお飾りではなく危険を防ぐため神聖力の使い手が担っているのだそう。念のためジェイズが王子に脅されても改ざんしたりしないように伝えたところアドルフ様に誓ってそのような不正はしないと言われたそう。アドルフ様って誰だ。


「さ、話は終わりですわ。今日は一限目から選択授業で朝からジェイズの教師姿を眺められる良い日なのだから邪魔しないでくださいまし」


 そう言って手で払うと振り返ってグラシアに言う。


「グラシア、行きましょう。グラシアは魔法の実習を専攻してるのよね。珍しいわ」

「は、はい。初代様に憧れて……」

「ああ、確か勇者も地の魔法持ちだものね」

「あ、おいお前たち!!」

「では殿下、ごきげんよう」


 キャンキャン騒ぐ王子たちを無視して私はジェイズに会いに行くのだった。るんるん。



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