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王女、高笑いする


「おほほほほほ!!どうかしら?色っぽい魅力でメロメロでしょう!!」

「くっ……」


 放課後のジェイズの教師部屋に先に来ていた私とグラシア。デルフィンがドアを開けてグラシアを目にした途端膝から崩れ落ちた。


「可愛い系女子だとあなたは言ったけれど女の子は色々な面を持っているのよ。可愛いところもあればこんな色っぽい魅力もある。1つ知っただけで全て知った気にならないことね。そしてそれを引き出した私に感謝すると良いわ」

「……勉強になります」

「おーほほほほほ!!そうでしょうそうでしょう!!」

「リーナ様……」

『リーナー残念な子みたいになってるわよー』

「リーナ様、高笑いははしたないですよ」

「はーい。あらジェイズ、それはなぁに?」

「珈琲という飲み物だそうです。リラックス効果があるそうで、最近のリーナ様は心穏やかでないことが多いようですのでどうかと。毒味したところ問題なさそうでしたのでお持ちしました」

「まあ、珈琲!!」


 珈琲もこの世界になかったのだ。久しぶりに見る黒い飲み物に懐かしさを感じる。


「皆さんもどうぞ」

「お、おう……毒味って言ったか?」

「そ、そうですわね」


 ワクワクしながら珈琲にミルクと砂糖を入れているとデルフィンとグラシアが顔を寄せあって何か言ってるようだったけど気にせず珈琲を飲む。


「んー美味しい!!」

「それは良かったです」


 皆で珈琲を飲んでゆっくりしてから本題に入る。


「さて、大変不本意だけどデルフィンは私が見た未来の姿になったわ」

「ふん」


 デルフィンがふんぞり返って偉そうにする。ちょっと身長が伸びたくらいで……。羨ましい。


「リーナ様、成長期は人それぞれですよ」

「ジェイズー……」


 ジェイズに頭を撫でられ慰められる。ぐすん。


「リーナ様、話をするのでは?」

「そうね、私が見た未来はレイジアの王宮が崩れてその元王宮の前でデルフィンがグラシアを抱いてキスをするところよ」

「抱い……!?」

「キ、キキキキキスだとぉ!?」

「まあ、お子様ね。たったこれだけで慌てるなんて」

「だ、お、お前っ」

「ふふん。でも1年以上先に起こると思っていたこの未来がそんなに遠くないことなら他のあるはずだった未来の出来事が起こるかわからないわね。もしくは時期が早まるかも」

「あるはずだった未来……ですの?」

「ええ、例えばそうね、リリアが王子と放課後デート中に魔物に襲われてリリアが怪我をするのだけどそれをグラシアに仕向けられたことで……とか」


 でも不思議だわ。この世界の常識では魔物は瘴気から現れるものでその瘴気は原因不明。グラシアが意図して魔物を呼び出すなんてできない。いや、でもゲームの中で結局本当にグラシアによるものであった描写はなかったはずだわ。


 でもゲームとこの世界は違う。近いことが起きてもおかしくないわね。


「とにかくそういう事件が重なってグラシアのせいになってしまうの」

「なんだそれ!!」

「私に言われても。でもこれは未来に起こり得たかもしれない未来よ。実際に起こるとは限らないわ。他にもリリアと王子が親密になるにつれてグラシアがリリアを虐めて王子とリリアからしたら様々な困難を乗り越え最後にはこの前話した通りグラシアの罪を明らかにして断罪するの」

「本当にさっぱりだ。アリエント嬢の罪だと?浮気してんのは向こうだろ」

「私は今ですら虐めてるわけではないのに虐めていると捉えられてしまっています」


 と、そこに窓をコンコンと叩く音がして皆が目を向ける。


「まあ、小鳥?」


 白い小鳥が開けてというようにコンコンと窓を叩き続ける。


「この前デルフィンと一緒にいた鳥ね。やっぱり神獣だわ」

「は?神獣?」


 私は席を立ち窓を開ける。


「初めまして小鳥の神獣様。白文鳥でいらっしゃいますか?」

「ピッピッ」

「トラコちゃん、通訳してちょうだいな」

『はーい』


 ブローチに変化していたトラコが本来の白虎の姿になった。


「うわあ!?」

「虎!?ですの!?」


 窓に近付こうと隣り合っていたデルフィンとグラシアが驚いてぶつかる。


「す、すみませんアリエント嬢!!」

「い、いえ、こちらこそ……あの、リーナ様、そちらは……?」

「私の神獣、トラコちゃんよ」

「神獣……」

「神獣なんてめったに見ないぞ。本当か?」

「まあ、今ブローチから変化したでしょうに。そんなことができる動物が普通の虎なわけないじゃない。お馬鹿さんなんだから」

「な、なんだと!?」

「あの馬鹿王子とは違って会話ができる分お馬鹿さんだわ」

「あ、あの!!神獣様、リーナ様、神獣様って触れるのですか?」


 グラシアが目を輝かせて私に詰め寄る。


「……ははーん。グラシアはライオンみたいな猫のぬいぐるみが好きなくらいだものね。トラコちゃんに触りたいの?」

「はい……いえ、駄目ですよね。神獣というのは神様の遣いで神聖な存在ですものね」

「んートラコちゃんみたく私のではない神聖には私も敬意を払ってるけど……」

『ちょっとー私には払ってないのー?』


 怒ってなさそうにぽややんとトラコが私に身体を擦り付けてくる。


「だってトラコちゃん仰々しいの嫌でしょ」

『そうだけどー』

「凄い……会話できるのですわね」

「そうよ、頭の中に直接声が聞こえるの」

「お前、凄いやつだったんだな」

「そうよー!!やっと私の偉大さがわかったかしら」

「ちょっとわかった」

「ちょっとって……まあ良いわ。トラコちゃん、この白文鳥様は何て?」

『えっとーリリアと王子が出かけた街で獣が暴れてリリアが怪我したみたいー』

「まあ!!」





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