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王女、荒ぶる


 ジェイズの教師部屋で話した翌日から一週間過ごしてみればグラシアが面倒になるのも頷けた。王子とリリアらが酷すぎるのだ。明らかにゲームの進行状況と違う。意味がわからないのだがリリアがとにかく一目も気にせず、いや、見せびらかすようにイチャイチャイチャイチャするのだ。


 で、誰かと視線が合うとすぐ怯え王子にすがり王子がグラシアに文句を言ってくる。グラシアと一緒に私も応戦、という流れになっている。


「はあ……馬鹿の相手は疲れるわね」

「すみませんリーナ様」

「グラシアが謝ることではないわ」

「……ところでリーナ様」

「なぁに?」

「デルフィン様、今日は来られるでしょうか」

「あら、グラシアったらデルフィンの心配だなんて恋の始まりかしら」

「なっ!!リーナ様!!」


 デルフィンは一週間学校を休んでいる。その間に私はすっかりグラシアと仲良くなった。ふふん、デルフィンに会ったら自慢してやるわ。悔しそうな顔が目に浮かぶ。


「あらーお二人ともおはようございます」

「「おはようございます」」


 この人はデルフィンの母親だ。庭を掃除していたデルフィンの母親を見つけた私は声をかけて仲良くなったのだ。


「愛息子でしたら今日にも復帰しますよ。仲良くしていただけると嬉しいです」


 デルフィンと違って穏やかで愛らしい人だ。女手1つで国王の隠し子を育てるなんて苦労しているだろうにそんな感じが全然感じられない。






 その日の昼休み、グラシアと一緒に歩いていると前から背の高い青年が歩いてきた。


「おい幼女」

「あら、初対面で失礼ね。どなたかしら」

「ふん、わからないとはとんだ間抜けだな」

「リーナ様、あの、デルフィン様では……?」

「……はあ!?」


 グラシアに言われて改めて青年を見る。にやりと意地悪く笑うその顔は一週間前に見た顔の面影が確かにあった。


「な、なんで……」

「成長期、だ」

「成長期ですって?そんなの私には来てないわ」

「ふん、羨ましいか?悔しいだろう」

「くっ……悔しい」


 何故。私は10年で1ミリも伸びないのにたった一週間で15センチ以上身長が伸びるなんて。


「悔しかったらお前も身長伸ばしてみろ。話はそれからだ」

「くそう……できるものならとっくにやってるわ」

「リーナ様……」


 膝から崩れ落ちる私の頭を遠慮がちに撫でるグラシア。


「ふん。例の話やってやるよ。話をしろ」

「ぐすん……ジェイズに伝えておくわ」


 悔しくてもジェイズのために泣き虫女神の指令を遂行しなくては。心の中でさめざめと泣きながら偉そうに去っていくデルフィンの背中を見送った。


「グラシア様!!」

「こちらにいましたのね!!」


 そこにグラシアの取り巻きが駆け寄ってきた。


「まあ、あなたたち。どうしたというのです」


 グラシアが私を庇うように前に立ち縦ロールを払う仕草をする。縦ロールがぐるんとなる。これぞ悪役令嬢だ。グラシアの勇姿を見て気分が浮上する。


「グラシア様!!またあの女が殿下たちと騒いでいます!!」

「どうにかしてください!!」


 取り巻きたちは毎日毎日グラシアにリリアをどうにかしろと騒ぐ。


「まあ、今度はどうしたと言うのです」


 グラシアは高飛車なように対応する。


「今度放課後にデートをするのだと!!」

「グラシア様という婚約者がいますのに!!」

「グラシア様!!放っておいて良いのですか!?」

「放っておけばよろしいのですわ」

「またあなた!!」


 私が間に入るとグラシアの取り巻きがキッと私を睨み付ける。グラシアと仲良くなった私がグラシアと共に行動するようになって不満なのだろう。


「あなた、グラシア様から離れなさい!!」

「私が誰と仲良くしようがあなたに関係ありまして?」

「あるわよ!!グラシア様はアリエント公爵令嬢で殿下の婚約者なのよ!!あんたみたいなちっちゃいのがうろちょろしてたら目障りなのよ!!」

「そうよそうよ!!」

「ちっちゃいのが、ですって?あなたの身長分けなさいよ!!ほら、あなたも!!」

「きゃっ!!」

「なに!?」

「リ、リーナ様!!」


 苛立って取り巻きに掴みかかろうとする私をグラシアが押える。


「皆様、今日のところは放っておきなさい。では失礼しますわね」


 グラシアが私の手を引いてその場を離れる。


「あームカつくー!!身長欲しいー!!」

「リーナ様……私はリーナ様の身長可愛らしいと思いますわよ」

「可愛いじゃ落とせないのよ!!」

「落とす……?」

「ジェイズをよ!!」

「……?」


 んもう!!お嬢様なんだから!!


「ジェイズを色気でメロメロにするのよ!!」

「まあ!!」

「まあ、赤くなるなんて純情なんだから!!」

「リ、リーナ様……えっと、あの、先生は十分リーナ様にメロメロ?だと思いますわよ」

「違うのよー!!大人の色気が必要なのー!!」


 叫ぶ私におろおろするグラシア。


「……そういえばグラシア」

「はい?」

「あなた髪をほどいたら色気がもっと出そうだわ」


 スタイル抜群で顔立ちも華やか。なのに悪役令嬢にありがちな金髪縦ロールのせいで幼く見えている気がする。逞しいグラシアはかっこいいけどもっと違う魅力を引き出したいわ。


「ん、そうよ!!グラシア、放課後私の部屋に来てちょうだい!!」


 そして放課後寮の自分の部屋にグラシアを呼んだ私はグラシアの髪をほぐし前髪をかきあげた後仕上げに赤い口紅を塗ってみる。


「くそう!!羨ましい色気!!」

「こ、これが私……」

「デルフィンも惚れ直すに違いないわ」

「そ、それはどうでしょう……」


 翌日の放課後、グラシアの色気で成長期と言ってもお子ちゃまなデルフィンを膝から崩れ落ちさせたのだった。


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