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王女、隠し子を見つける



 放課後グラシアと中庭に向かっていると猫の鳴き声が聞こえてきた。向かおうとしていた中庭から声が聞こえてきたようで目を向ける。


「まあ、隠し子ですわ」


 未来視と乙女ゲームで見た男の子がいた。3羽の小鳥と2匹の猫と戯れている。あら、あの小鳥――――。


「まあ、あの方が?というかリーナ様、隠し子と呼ぶのはどうかと思いますが」

「名前を知りませんのよ。せっかくだから声をかけて一緒に作戦会議をしましょう」


 なにせモブキャラだ。このシリーズのファンだった私はメインキャラの名前も設定も覚えているがさすがにモブキャラの名前までは覚えていないのだ。


「え?」

『はわわわぁ……リーナ、ジェイズに言った方が良いのではないかしらー』

「何でよ」


 ブローチになっているトラコが慌てて引き止めてきた。


『だってだってージェイズ、男と話したら駄目ってー』

「わかってるわよ。ジェイズの記念すべき初嫉妬だもの。考えがあるから平気よ」

『どういうことー?』

「グラシア様、私訳ありですから男性と口を利いてはいけませんのよ。グラシア様に話しますから中継してくださいませね」

「はい?」

「ちょっとそこの少年。ほら、グラシア様お願いしますわよ」

「え?えっと、そ、そこのあなた」


 ジェイズとの約束は守るのだ。ジェイズを愛する奥さんだもの。ふふん。


 私はグラシアを連れて少年に近付く。


『はわわわぁ、全然平気じゃないわー』


 なんだかトラコが慌ててるけどスルーしてこちらを目付きの悪い目で睨んでくる少年に対峙する。


「あ?なんだお前……らってアリエント公爵令嬢!?」

「あら、平民だと聞いていたけれどグラシア様のことがわかるのねって言ってちょうだいグラシア様」

「え、は、はい。平民でいらっしゃるそうですが私のことをご存知ですのね」

「ちょっとグラシア様」

「は、はい」


 私はグラシアの腕を掴んでくるりと少年に背を向けて小声で言う。


「あなた傲慢で高飛車キャラではありませんでした?何故そんなに丁寧でお上品な言葉に変換してしまいますの?」

「す、すみません。お母様からアリエント公爵令嬢らしく振る舞いなさいと言われているので普段はあのようにしているのですが急なことで気が動転しており本来の私の言葉遣いに……」

「んもう、仕方ないわね」

「すみません」

「良いわ、続けるわ」


 私は少年に向き直る。


「少年、名乗りなさい、と言ってちょうだいグラシア様」

「私はグラシア・アリエントと申します。あなたのお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」

「……なんなんだ?」

「良いから答えなさいって言うのよグラシア」


 めんどくさくなってきた私は敬語も様も取っ払った。


「は、はい。あの、お答えいただけませんでしょうか」

「……デルフィンです」

「デルフィン様とおっしゃるのですね」

「は、はい」


 さっきからのデルフィンのこの態度。極め付きはグラシアに名前を呼ばれて赤くなるところを見ると確定だわ。使えそうだわ。


『はわわわー。リーナ、悪いこと考えてるわー』

「なによ。穏便な作戦遂行のために必要なことよ」


 グラシアがチラチラと私を見てくるけど私はトラコと話す。


『リーナ、作戦なんて考えてるのー?』

「まあ、失礼ね。無策なわけないじゃない。任せてちょうだいよ」

『うーん……』

「えっと、あの、デルフィン様……素敵なお名前ですわね」

「へ!?そ、そうですか!?」

「は、はい。お母様がお名前を?」

「そ、そうです……」

「そういうことだから大丈夫よ。こほん、あなた、グラシアのことが好きなのね。って言ってちょうだいグラシア」

「え、あの、えっと」

「おま、おまえ、何のつもりだ!?つーかなんで幼女がこんなところにいんだよ!!」

「幼女ではありませんわ。私訳ありのリーナと申します。訳あって身分は明かせません、と言ってちょうだいグラシア。……グラシア?」


 駄目だわ。グラシアが呆けてる。


「リーナ様!!」


 と、そこにジェイズが駆け寄ってきて私を抱き上げた。


「リーナ様、昨日言ったのに」

「あらまあ、ジェイズ。私きちんとジェイズの望む通り直接は会話していないわ」

「トラコ様に聞きました」

「まあ、トラコちゃんが?いつの間に人の姿になっていたのかしら」

『なってないわよー』

「あら」


 ということはトラコがジェイズの頭に語りかけたのね。あんなに恥ずかしがっていたのに。


「とにかく場所を変えましょう。お二人も来てください」

「は?なんで俺も」

「あ、あの、私……」


 戸惑う二人を連れてジェイズはどこかの教室に入った。


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