表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/44

第1話 元カノに怯える毎日

 計画を円滑にするため、まずは主要な登場人物の説明を最初にしておこう。

 俺の名前は相馬流星。年齢は十七歳。桜坂高等学校に通う高校二年生だ。

 親は双方とも健在で近所でもおしどり夫婦として有名である。どれくらい仲がよいかというと、俺を置いてまで父親の出張に母親も同行しているくらいだ。なので現在は自宅で一人暮らしをしている。

 そしてそんな俺が狙っている女の子の名前は西野花。

 気が早いが、本作のヒロインだ。

 性格はおっとりしているがおよそ女子高生とは思えないナイスバディの持ち主で、見るからに抱き心地がよさそうな肢体をしている。どうやら箱入り娘らしく少し世間知らずなところがあるのがまた可愛い。ちなみに事前調査によると処女らしい。まさに非の打ち所がない。

 最後に、そのふたりの愛の道に立ち塞がる大いなる障害を紹介をしておこう。

 名は古歩美穂乃。元彼女。他校の女子生徒だ。

 黒髪ショート、華奢、胸なしで、一年前に別れたというのにやたら俺に付きまとう頭のおかしい女だ。

 そのせいで俺にもずっと恋人ができていない。

 いつもいいところまでいって邪魔されて泣くことになる。

 だから最近の俺はとても慎重になり行動が計画的になっている。

 ということで今日も背後を、いや全方位に気を配りつつ俺はひとり通学路を行く。

 過去のトラウマのせいか誰もいないのに視線を感じたり、ときには幻聴を聞いたりするのでちょっとだけ挙動不審かも知れない。

 おっと忘れていた。途中で協力者である彼、替場育夫と合流だ。


「あのよ、いつまでオレはお前らに付き合わなくちゃいけないんだ?」


 顔を合わせるなり開口一番、彼は不平を漏らした。


「別にいいだろ。三人仲良く学校にいけば。家近いんだしさ」

「オレだけは遠いわ。だいたい西野を好きなのはオレじゃなくてお前だろ?」

「しっ」

「何だよ?」

「静かに。聞かれているかもしれない」

「西野が待ってるのはだいぶ先のバス停付近だろ」

「いいから声を落としてくれ」

「とにかく協力するとは言ったが、仲良くなったんならオレもういらないだろ?」

「いるよ。すごくいる」

「これ以上の必要性を提示できないならオレはもう付き合わんぞ」

「待ってくれ。もう少しで付き合えそうなんだよ。それまでこのまま親友でいてくれ」

「そこまでいい感じならオレいらねーだろ」


 とぼけようとしたがさすがに限界なのでそろそろ白状する他しかない。

 思い切って彼を利用している訳を話そう。


「実は、元カノに付きまとわれてる」


 俺は声を潜めて物騒なリークのように呟く。


「なに、元カノだ?」

「しっ、静かに。どこに潜んでいるかわからないだろ」

「何をそんなに警戒してるんだ?」

「だから元カノだよ。警戒しなきゃいけないに決まってるだろ馬鹿」

「……えっと、そこまでしなきゃいけないヤバい相手なのか?」

「ああ、やばい」

「どれくらい?」

「どれくらいかっていうと、俺のことが大好きすぎる」


 大真面目に言うと、彼が半目になる。


「……なんか自虐風自慢にしか聞こえないんだが」

「どうとでも言え。だが俺はそいつの妨害のせいでずっと恋人が出来ないでいる」

「そいつは深刻だな。でもだから何だ?」

「わからないのか? 俺と花ちゃんがふたりきりでいたら彼女がターゲットにされて何をされるかわからないんだよ。そしたらまたご破算だ。だからそこにカモフラージュさせるための第三者を混ぜてこっそり逢瀬を重ねてるんだ」

「オレをそんなのに利用してんじゃねーっ。道理でよく三人で行こう帰ろうって言われるわけだ」

「利用してまじすまん。だがもうしばらくだけ頼む。恋人さえ作ってしまえば諦めてくれると思うんだ。それまでこの関係を続けてくれ頼む」

「そいつは西野さんと付き合えたら諦めてくれるんだな?」

「復縁の可能性を完全に消せれば恐らく」

「話はだいたいわかった。とにかくお前が西野と恋人になるまではオレに道化を演じろってことだろ。まったく損な役回りだ。オレだって彼女ほしいのによ」

「そこをなんとか。親友よ」

「仕方ない。乗りかかった船だ。協力してやるよ。ただしちゃんと告白を成功させろよ。ふられてオレの苦労までパーになるなんて許さんからな」

「その点は心配するな。いま大詰めのところだ」

「ほんとだろーな?」


 そんな無粋なやり取りをしていると待ち合わせ場所であるバス停が近づき、立っている西野が俺に向けて天使みたいな微笑みを投げてきた。


「見ろ、あれは俺に好意を抱いている笑顔だ。完堕ち寸前だ」

「ほんとかよ」


 彼は呆れたように言ったが本当だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ