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第2目標 進んだ関係を目指す

「あ、あれ?治ってる?」


「今のは回復魔法です。……あ、あの。私の話信じてもらえましたか?」


綺麗になった僕の肘。これを見せられて信じられないなんて言えないよね。本当に魔法じゃん。

ただ、それは信じても、


「なんで僕に話したの?異世界から来たからお金がないとか?」


理由がよく分からない。

お金がないという話の場合は、異世界が本当だとしても求める物は詐欺と変わらないね。


「あっ。お金もないんですけど、それ以前に生活していけるかどうかも……」


「あぁ~。前提の知識とか無いからね」


ホテルとかの知識も無いから、どこで生活できるのかも分からないって感じかな。

それなら、


「今日、僕の家に泊まってく?」


「え?いいんですか!?」


僕の家に来ないかと誘ってみる。キャサリーちゃんは頷いてくれそうだね。


「とりあえず1日泊まるくらいは良いよ。ただ、2日目以降は相談ね」


「はい。それでもありがたいです」


何かしらお金とか払ってもらわないと、生活費が2倍掛かっちゃうからね。流石に泊め続けるのは無理だよ。

でも、異世界から来たってことは戸籍とかも無いんだよね?キャサリーちゃんが稼ぐ方法は無さそうだなぁ。バイトとかも無理そうだし。


「それじゃあ、これからどうしようか?本当はこっちの服とかも買ってあげた方が良いのかも知れないけど、僕もお金持ちではないからねぇ……」


「そ、そこまでして頂かなくても大丈夫です。……あっ。でも、ちょっと待って下さい」


「ん?」


何かを思いついた様子のキャサリーちゃん。ポケットからごそごそと何かを取り出して、


「あ、あのぉ。一応金貨とかあるんですけど、使えないですよね?」


「…………」


差し出される金貨。確かに通貨として使えはしないね。

でも、本当に金が使われてるなら良い値段で売れるかもしれない。


「それ、何枚持ってるの?」


「え?これですか?まり多くは持って行けないので、20枚くらいですけど。……あっ。あと、銀貨もありますよ。こっちも20枚ほど」


「へぇ~」


金貨20枚。換金すれば良い金額になりそう。銀貨もそこそこにはなるかな?金の1割くらいの値段になれば良いんだけど。

どちらにせよ、この子の資金源になるかもしれないのが見つかったね。


「金貨なら、売ればある程度の値段になると思うよ」


「本当ですか!?」


「うん。でも。売却には身分証名書が必要なんだよね」


「みぶんしょうめいしょ?」


キャサリーちゃんは可愛らしく首をかしげる。

分からないよね。異世界にはそんな物が存在しないかもしれないし。


「こっちにはその人が誰かを証明するための物があるの。それが身分証名書。……ただ、異世界から来たとなると作るのは難しいだろうねぇ。戸籍がないわけだし」


「あぁ。戸籍ですか。無理ですね……」


暗い顔をするキャサリーちゃん。戸籍は知ってるんだね。異世界でもそういう文化があったのは驚きだよ。

とりあえずアドバイスとしては、


「信用できる人を見つけて、その人に売ってもらうしかないだろうね」


「信用できる人……遙人さんは?」


「ふふっ。まだ出会ってから1時間くらいしか経ってないんだけど?そんな簡単に信用できるって思ったら危ないよ」


「で、でも、色々教えてくれますし」


「詐欺かもしれないでしょ?優しくされたからって簡単に信用したらだまされちゃうよ」


「……うぅ。すいません」


最近の詐欺は怖いからねぇ。

とりあえずその後は僕が思いつく限りの必要な情報をキャサリーちゃんに伝えた。わかりにくいところはスマホで調べて、絵で教えたりしたよ。便利だねスマホって。

それから夜になって買い物をして帰るんだけど、キャサリーちゃんが駅のシステムになれて無くて面白かった。切符を見てしきりに首をかしげてたね。


「……異世界は、不思議がいっぱいです」


「そうだね」


僕にとってはキャサリーちゃんの行動の方が不思議がいっぱいだけど。

それから家に到着すると、キャサリーちゃんは目を丸くしていた。大きい家だもんね。毎月高いお金払うけど。……あっ。嫌なこと思い出しちゃったよ。忘れよ忘れよ。


「ちなみにさ、キャサリーちゃん」


「何ですか?」


「男の人に家に来ないかって誘われて、ついて行った場合はそういうことをして良いって言う意味になるからね」


「え?…………あっ」


思わずといった感じで声をこぼす。どうやら異世界でも似たような文化があったみたいだね。

僕は清らかな笑みを向けつつ、


「異世界出身で常識が無いって事で、今回は何もしないよ。でも、今後は気をつけてね?」


「……はい」


キャサリーちゃんは神妙に頷く。

これで明日も泊まる場合は手を出して良い。っていう状況を作り出したよ。キャサリーちゃんは明日も泊まるところはないだろうから、ぐへへへっ。


「じゃあ、僕は夕食を作るね」


「あっ。はい。お願いします」


僕は少し気持ち悪くなってるだろう顔を見られないようにキッチンへ向かう。沢山食材は買ったから、2人分は問題なく作れると思うんだよね。キャサリーちゃんの胃袋を掴んでやるぞぉ~。

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