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悪役令嬢plus壁  作者: 緤 めぐみ
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第20話


 グレースと別れたあと私は再び生徒会室に来ていた。

 少しでもキャラの性格や何かしら情報を手に入れたかったから……というのは建前で、やはり推しは見たい……!!


 リディアにグレースがいない時間に行くようにと言われたが、いつグレースが生徒会室に訪れるのかを知らないので念の為いつでも隠れれるように本棚に顔半分隠した状態で待機する。

生徒会長の席の真横にある本棚で、座ったアルベルトを眺められるであろう位置だ。


 ──これ、見える人からしたら怖いだろうな。私的には家政婦は見た!みたいな気持ちでこの位置にいるんだけど、ホラーゲームとかの隙間から覗いてくる顔みたいだ……。


 そんなことを思っていると生徒会室の扉の開く音がした。何やら話し声が聞こえる。


 アルベルトの声だ!……それとこの声はゲームをプレイしてたときに聞いた憶えがある……ヴァンの声かな?

 入ってきたのはどうやら二人だけのようでだんだんこちらに近づいてくる。

そしてアルベルトが上座に座る。私はその姿を見て硬直した。


 ──背景にキラキラした光とバラのようなエフェクトが入っているように見える……!!なんて美しい、流石推し……!

シルバーの髪の毛さっらさらで澄んだ海のような瞳の色。スッと通っている鼻筋に形の良い唇……

唇に引き寄せられるっていう文を小説で読んだことあるけどまさにこの感覚では……!?好きーーー!!!!

これは国宝。国宝でなければなんだというのだ。素晴らしい、ありがとう世界!!


 鼻息が荒くなりかけたので、大きく息を吸って落ち着く。心は落ち着かないがせめて顔だけでも無表情にしておきたい。ニヤけてたら超がつくほど気持ち悪いだろうから……。


 アルベルトは書類を取り出し黙々と仕事をし始めている。かっこいいな〜、しかも次の書類に移るの早い。

さっさと仕事をすすめる姿は本当頼れる上司……いや王太子だ。

書き終わった書類をデスク前に来たヴァンに渡している。


「またせたね、はいこれ」


「ありがとうございます。先生に渡してきますね」


 ヴァンは書類にさっと目を通してからちらりとこちらを見やった。私は慌てて本棚の後ろに隠れる。


「ん?不備があったかい?」


「いえいえ!完璧ですよ。流石殿下〜」


「そういうのやめてくれってば」


 アルベルトの苦笑する声が聞こえる。


「本心ですよ!じゃ、行ってきまーす」


 ヴァンはそう言ってアルベルトの側から離れていく。

 ちらりとアルベルトを見ると笑顔で片手を上げてヴァンを見送っていた。


 本当に二人は仲がいいんだろうな。こういう推しの何気ない日常を見れて私は幸せだ〜!!

とても楽しい。もっと見たい。


 そう思いつつ、頭の隅でやはりヴァンは私が見えているか、何かしら感じているんだろうなという気がしてくる。

まだ会って2回目だから確証はないけど、これはしばらく観察かな……。


それかグレースにヴァンについて何か噂がないか聞いてみよう。


 そうして、その日は特に問題なく過ごせたのだった。



◇◇◇◇◇◇



 生徒会でヴァンを見かけてから数日後、私とリディアはグレースの部屋に来ていた。

 グレースの部屋に行くまではずっとリディアと一緒に馬車に乗っていた。

リディアもそうなのだが、グレースの家も滅茶苦茶広い。門からも馬車で移動してやっと屋敷の前についた。


「今まで壁移動してたので、こうやって馬車で移動するの新鮮です」


「馬車の壁でもあなた酔わなかったわね。揺れとか感じたりしなかったの?」


「揺れは感じましたけど、割と平気でした」


 視線移動のときは正直遊園地のジェットコースターのような勢いとかも含めて頭がくらくらするような酔いを感じるけれど、馬車移動は一緒に揺られている感覚なので然程酔いはしなかった。


 リディアが馬車を降りたので、私は馬車の外側の壁に顔を出す。

グレースとリディアが挨拶を交わした後、他の人に怪しまれないようにグレースはこちらににこりと笑いかけた。私も笑い返す。


「準備はできてるわ。早く行きましょう」


 そう言ってグレースは私達を案内してくれる。

グレースの部屋はエレガント、という言葉通りの部屋だった。まさにお金持ちのお嬢様の部屋っていう感覚。

リディアの部屋も上品ではあるが赤色を貴重としてるものもあったので、どちらかというと個人的にはグレースの部屋のほうが好みだ。


 私が案内された席は丸いテーブルの上のミニキャンバスだった。三人ともお互いの顔が見えるように椅子も含めて配置されている。


「ここに顔を出してくださる?」


 私は頷けない代わりに一度瞬きをしてからキャンバスに顔を出す。グレースはそれを見て「すごいわね〜!」と喜んでいた。


 顔を出すだけで褒められるってなんか……小さい子どもが何かできたときに親に褒めてもらったような感覚だ……。


「それじゃあまず、デザートをいただきましょうか!」


 グレースはそう言ってテーブルの上に並べられていたマカロンや小さいケーキを手のひらで指す。

グレースの話によるとどうやらリディアが苺が好きなようで、苺のデザートと、オレンジのデザートが多く置かれていた。


「美那さんの好みを聞いておけばよかったわね。ごめんなさい」


「とんでもない!私も苺好きです!」


 その言葉に二人は微笑む。グレースはオレンジが好きだそうで、今回は二人の好みが揃ったお茶会だ。


「オレンジはお好き?」


「果物全般好きです」


「まぁそれは良かった!じゃあさっそく食べれるか試してみてくれる?」


 そう言ってグレースがオレンジのタルトを分けて差し出してくる。


 ……美女にあーんされてる状態レアすぎでは?という邪な気持ちは一旦置いとくとして差し出されたオレンジのタルトを口に含む。


「ん〜〜!!」


 美味……!!滅茶苦茶美味しい〜!!滑らかな舌触りの濃厚なカスタードと、オレンジの爽やかさがなんともあっているし、タルト生地が私好みの固さでとてもサクサクしている……!!

生地に少し紅茶を混ぜているのだろうか、鼻から抜ける香りも良くなんとも贅沢なタルトだ。


 私が食べれたことにグレースは喜び、リディアは少し驚いたような不思議そうな顔をしていた。


「美味しい?」


「とっても美味しいです!!」


「良かったわ〜」と両手を合わせて微笑むグレースに対し、リディアは私のことをジロジロと観察していた。


「……どこに消化されるのかしら……?」


「んもう!リディアったら食事中よ」


「そういう意味じゃないわよ!気になっただけ!!」


 リディアの言葉にすかさずグレースが茶々を入れた。リディアは顔を真っ赤にして否定している。

グレースはその反応を求めていたのかすごく楽しそうだ。


「それにあなた!腕出せるようになったでしょ、自分で食べなさいよ!」


「えっ気持ち悪くないですか?メイドさんが入ってきて見えちゃったら阿鼻叫喚待ったなしですよ」


 私が傍観しているのが気に食わなかったのか、リディアが話を変えてきたのに対し冷静にツッコむとリディアは悔しそうな顔をしている。


「腕を出すってなに?見たいわ!」


 すかさずグレースが私の方を見て目をキラキラさせている。壁を指して「移動して腕出してみて」と興奮気味に言ってくる。嫌だよ!


「いや、本当気持ち悪いんですって!お茶するときに見るものじゃないです!」


「私は構わないわ!それに美那さんが食べたあとキャンバスから移動したら、キャンバスは汚れているのかどうかも確認したいもの」


「えぇ……」


 今度は私がグレースの好奇心に振り回される番になったようだ。リディアはざまぁみなさいと言いだけな表情をして、私と目が合うとすぐさま目をそらしお茶を飲んで誤魔化していた。


「リディアだけ知っていて私が知らないのはずるいわ」


「ずるいも何も……」


「いいじゃない。減るものでもないんだから」


「そういう問題じゃなくてですね!?」


 リディアが賛成したことによりグレースが「見せてくれないとデザートはなし」と言ってきたので私はため息をつきながらすぐ側の壁に移動する。


「行きますよー」


 そう一言伝え、自分の腕をイメージする。念じて念じて……あっ、できた気がする。そう思った瞬間


「んっはははは!」


「んぐっ……ふっ」


 ……声を出して笑っているグレースとなんとか笑いを堪らえようとしているリディアの声が聞こえた。


「気持ち悪いっていうか、奇天烈っていうか!あはは!」


 グレースは両手を叩いて爆笑している。リディアはその隣で両手で口元を隠し呼吸を落ち着かせようとしているようだ。


「やっぱり変ですよね?」


「とても変ね。普通の人の肩の位置より少し高い位置から肩が出ているようだし」


「何も知らない人から見たら魔物って思われそうね」


 魔物……、そうだこの世界って魔物がいるから魔法を使って自分たちの身を守ってたんだよね。と言ってもそれは昔の話で今は魔物はほとんどいない。

私がプレイしたときはアルベルトのみの攻略だったので学園恋愛者で終わった。

だがどうやら全キャラ攻略して、尚かつ誰ともトゥルーエンドを迎えなかった場合、学園卒業後みんなと力を合わせて魔物と戦うシーンがあるらしい。新たに攻略キャラも増えたはずだ。

本とかのアイテムに伏線だけあって、未回収で終わってるから。


 突如黙った私にグレースとリディアは私がその言葉に深く傷ついたと思ったのか慌ててフォローしてきた。


「でも、魔物って言っても昔の話で今は全然いないのよ!あなたはフレンドリーだし悪意もないからもしも勘違いする人がいたら私達がフォローするわ!」


「そうよ、魔物はもっとおぞましいく描かれていたし、美那さんとは似ても似つかないわ!あなたは愛嬌もあるし可愛いわよ」


「えっ?あ、ありがとうございます……」


 考え事してただけなんだけどな……。でもいつも気持ち悪いと言われていたのでお世辞でも可愛いと言われたら嬉しいっちゃ嬉しい。


 私は腕を戻し(この時もグレースははしゃいでいた)またミニキャンバスに戻ってデザートを食べつつ、私の話やリディアとグレースの話を聞いたのだった。

お読みいただきありがとうございます


季節の変わり目で体調を崩しやすくなりました

読んでくださる皆様もどうぞご自愛ください

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