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第6話

   

「きゃあ! 来ないでー!」

 絹恵が悲鳴を上げる。

 三人が走るのに合わせて『顔』も速度を上げて、一定の間隔をキープしたまま追ってきていた。

 半ば自棄(やけ)で玲子は除霊グッズを投げつけるが、直接その身に当たっても『顔』は全く意に介さなかった。

「この野郎!」

 果敢にも忠代は、落ちている小石を投げる。だが、玲子のアイテムが効かないのに、ただの小石が通用するはずもなかった。


 やがて、三人は入り口まで到達。無事にトンネルから脱出したが……。

「ただちゃん、れいちゃん! どうしよう? まだ追ってくるよ、あれ!」

 悪霊の歩みは止まらない。暗いトンネルから明るい外の世界へ、出てくるつもりらしい。

「……」

「この野郎! この野郎!」

 除霊アイテムもなくなり茫然自失の玲子と、無駄と思いながらも投石を続ける忠代。

 そして、今まさに『顔』がトンネルから出ようとした瞬間、

「ぎゃああああああ」

 三人の耳に、悪霊の叫びが届いたのだった。


「え? どういうこと……?」

「よくわからないけど……。助かったみたいね、私たち」

 突然の悪霊消滅に、困惑する絹恵と忠代。

 玲子も似たようなものだが、彼女だけは少し違う。断末魔の叫びに重なって、悪霊の「寒い」という声が聞こえていた。

 事情を察した玲子は、悪霊が消えた原因を指し示す。

「ほら、あれだよ。忠代のお手柄」

 トンネル入り口の氷柱(つらら)に石が当たり、落ちてきていた。

 地面にぶつかった衝撃でパリンと割れているが、その前に氷柱(つらら)は、悪霊を刺し貫いたのだった。

「除霊アイテムも物理攻撃も受け付けない悪霊だけど、冷たいものには弱かったのよ。元々が、凍死した霊の集合体だったから」




(「コタツでアイスクリーム食べる感覚で」完)

   

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