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高校時代の想い出帳

羽根のない僕

何かね、高校くらいの文学少年少女あるあるだと思うんですよね。

死に取り憑かれる。

筆者もそうでした(笑)




 「人は空を飛びたいなんて言うけど、鳥はどう思っているんだろう。飛ぶのをやめた鳥は何故そうしたのかな。やっぱり飛ぶのって大変だからだよ。きっと鳥は飛びたくないんじゃない」


 あれは誰が言ったんだったか。

 思い出せない…

 本当に鳥は飛びたくないのだろうか。

 僕らが退化と呼ぶ飛べない鳥は、もう二度と飛びたいとは思わないんだろうか。

 羽根が欲しかった。誰よりも自由に、何にも束縛されずにあの空に…

 知りたかった、此処じゃない何処かを。

 見つめたかった、写真じゃなく此の目で…

 でも、叶わない願いは此の中で閉じ込められた。


 「そう思わない」


 わからない…そうかも知れない…でも、僕はそうじゃない。

 飛びたかった…でも、出来なかった。


 あれは誰が言ったんだったか、思い出せない。


 優しい声、大好きだった声、あの人の声。

 でも、あの人って誰だったか…


 僕は此処でしか生きられない。

 だから此処で一番高い所へ来たんだ。

 一番、空に近い所へ…

 そうして、僕は堕ちて行くんだ。

 羽根のない僕は堕ちて行くんだ。

 悪魔のように堕ちて行くんだ。


 あの人の待つ、あの大地へと。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 愛猫家さま 初めまして。 飛ぶ勇気と踏み留まる勇気、どちらがスタミナ要るのでしょうね…… [気になる点] 素朴な疑問です。 作品についてではなくて、申し訳ないです。 猫、お好きなんです…
[一言] 青くて痛い詩でした。僕も十代のころは漏れなく破滅型文学青年の一員でしたよ。その後、このままでは死に恋心さえ抱きかないと自戒して、全力で能天気な自分を人工的に仕立て上げて行き、今日に至るって感…
[良い点] 十代の、『重大な理由が突如起こったわけじゃないけど、死なないといけない気がする』という、あの感覚がブワッと蘇りました。 死に取り憑かれてる。 まさしくそう。 詩の、漂うようなフワフワと…
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