羽根のない僕
何かね、高校くらいの文学少年少女あるあるだと思うんですよね。
死に取り憑かれる。
筆者もそうでした(笑)
「人は空を飛びたいなんて言うけど、鳥はどう思っているんだろう。飛ぶのをやめた鳥は何故そうしたのかな。やっぱり飛ぶのって大変だからだよ。きっと鳥は飛びたくないんじゃない」
あれは誰が言ったんだったか。
思い出せない…
本当に鳥は飛びたくないのだろうか。
僕らが退化と呼ぶ飛べない鳥は、もう二度と飛びたいとは思わないんだろうか。
羽根が欲しかった。誰よりも自由に、何にも束縛されずにあの空に…
知りたかった、此処じゃない何処かを。
見つめたかった、写真じゃなく此の目で…
でも、叶わない願いは此の中で閉じ込められた。
「そう思わない」
わからない…そうかも知れない…でも、僕はそうじゃない。
飛びたかった…でも、出来なかった。
あれは誰が言ったんだったか、思い出せない。
優しい声、大好きだった声、あの人の声。
でも、あの人って誰だったか…
僕は此処でしか生きられない。
だから此処で一番高い所へ来たんだ。
一番、空に近い所へ…
そうして、僕は堕ちて行くんだ。
羽根のない僕は堕ちて行くんだ。
悪魔のように堕ちて行くんだ。
あの人の待つ、あの大地へと。