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98話 焼酎、柳蔭 信長伯父さんに呑ませてみよう!

花粉症のせいで、執筆する気ナッシングでした。

でも、ここで書くのやめると、スギヒノキ花粉症が落ち着くまで休んじゃいそうなので、頑張りました。

ども、坊丸です。

粕とり焼酎は信長伯父さんの好みでないだろうということで、包丁頭の井上殿の意見を参考に、焼酎と味醂の和風カクテル、柳蔭を作りました。

あとは、信長伯父さんに献上という形のプレゼンですね。


ーーーーーー


「勝家、坊丸、先ほどはごくろう。では、新しき酒というのを見せてみよ」


「はっ、こちらが、酒粕に少しの水を加え、蒸留して作った焼酎でございます。

柴田の親父殿に聞いた話ですと、既に西国、九州薩摩などでは人々が吞んでいるとか。

なので、まったく新しい酒というわけではありませんが、ここ尾張でもつくることができた、というわけにござります。

そして毒見として井上殿にもご足労いただいております。井上殿もよろしくお願いします」


一度平伏するように頭を下げた後、目線を包丁頭の井上殿のほうにやると、井上殿も頭を下げました。


その後、井上さんの部下の人が、布のかかった三方を自分の前においてくれました。


その上の布を取りはらうと、朱塗りの銚子、黒塗りの盃がおいてあるので、持参した徳利から銚子に酒を注ぎ入れました。


「殿、しからば、毒見、仕らせていただきます」


井上殿が三方のそばに膝行し、銚子から焼酎を盃に注ぎます。


信長伯父さんのほうに体を向け、盃を押し頂くようにして、少し頭を下げ、そのあと、盃から半分ほど焼酎を吞みました。


うん、井上さん、試飲の時は、喉がピリッとするって言ってすこし顔をしかめたけど、今回はそんなそぶりも見せません。


「毒見、仕りました。特に危険はござらないかと。ただ…」


「ただ、なんじゃ」


「はっ、清酒や濁り酒と比べますと、酒が強う、ござります」


「で、あるか。まあ、良い。儂にも飲ませろ」


三方に吞みさしの盃と銚子をのせ、信長伯父さんの前に、進む井上殿。

信長伯父さんの前で、今一度目の前に捧げるように持ち上げてから、信長伯父さんの手の届くところに置きました。


おもむろに、盃に手を伸ばし、すこしにおいをかぐと、一気にあおる信長伯父さん!


一、二度、むせるような、咳ばらいをするような感じになり、一瞬、小姓衆が立ち上がりかけますが、信長伯父さんは、左手を挙げ、小姓衆を制止させます。

もう一度咳ばらいをしてから、話始める信長伯父さん。


「うむ、確かに強い酒だな。

濁り酒や清酒より少し強い程度だろうと思って吞んだら、驚いたわ。

井上がわざわざ、忠告する意味が分かった。

わずかに清酒の香りもあり、スッキリしていて良いが、なんというか、旨味がすくないな。

この酒、儂はそれほど好かんな」


ですよね~。信長伯父さん、多分この焼酎は好みじゃないと思ってました。

ま、信長伯父さんの酒の好みの推察はだいたいあってたわけですね。

そこはプラスに考えておこう。


「はっ、伯父上のお口に合わず、申し訳ございません。

それで、なのですが、厨で先に井上殿に一度毒見をしていただいたときに、この焼酎をつかって伯父上好みになるように井上殿から提案いただいたものがございます。

伯父上と井上殿が、もしよろしければ、そちらを井上殿から披露させたいただきたく、存じますが、如何でしょうか?」


「井上、それはこの焼酎とやらより、美味いか?」


「はっ、包丁頭として、殿の味の好みは存じておるつもりですので、この焼酎よりはお口に合う酒かと存じまする」


「で、あるか。ならば、その酒を披露いたせ」


「はっ、しからば、準備いたします」


信長伯父さんのほうに平伏したあと、顔を挙げた井上殿とアイコンタクトをすると、井上殿は、末座にいる部下に声をかけました。


「柳蔭を殿の前にお持ちせよ」


「はっ」


末座にいた井上殿の部下の人が、一度下がって、銚子と盃を乗せた三方をもうひとつ持ってきまて、信長伯父さんの前に置きました。


そして、その前に井上殿が進み出て、柳蔭の説明を


「殿、坊丸様の焼酎に、以前のご所望になられた味醂を合わせたもので、名を柳蔭と申します。こちらは、既に毒味を済ませてありますれば、お召し上がりください」


そう言うと、井上殿は、銚子から柳蔭を盃に注ぎ、それらを三方にのせて、信長伯父さんの前におきました。


「で、あるか」


信長伯父さんは、盃を取り、先程と比べると、ゆっくりと口に含んでから、飲み干しました。

あ、これ、きっと「羹に懲りて膾を吹く」ってやつだね。

焼酎が思っていたよりキツくて、咳き込んだりしたから、柳蔭ではそんなことないように、少し警戒して呑んでるに違いない。


「うむ、先程の焼酎より良いな。味醂を取り寄せて呑んだ時は、甘くてそこまで好きになれなかったが、焼酎と合わせると、甘味が良い案配になっているな」


「はっ、殿の好みを考え、坊丸様の焼酎をいかに美味しく呑んでいただくか、思案した次第でございます」


「うむ、井上、でかした。坊丸も井上を見習うが良い」


信長伯父さんに褒められてうれしそうな、井上殿。


「ありがたき幸せにございます」


うん、なにか言っといたほうが良いかな?殊勝な感じのひとことでも。


「はっ、井上殿の伯父上に対する忠なる姿勢、見習うよう、肝に銘じます」


「うむ、励め。井上、柳蔭を相伴すること、あい許す。呑め」


そういうと、大きく頷き、盃を持つ手を井上殿の方に向けて、そういう信長伯父さん。


「はっ、ありがたき幸せ。ご相伴させていただきます」


今一度、褒められたので、喜色満面のまま平伏する井上殿。

そして、盃を押しいただき、柳蔭を呑み始めました。

井上殿、試飲から含めるとそこそこ呑んでるけど、さらに呑んでも大丈夫なのかな?

現代社会だと、アルハラになりそうな感じだけど、井上殿もまんざらでもない感じだし、良いのかな?

柴田の親父殿と小姓の人達は呑みたそうなのを圧し殺して、真面目な顔してるご様子。

柴田の親父殿、焼酎飲みたいの我慢しているのが、丸わかりですよ。そうだ、家に帰ったら、柴田の親父殿に梅干し入りの焼酎お湯割りでも勧めてあげよう。


そして、信長伯父さんがもう一口、二口柳蔭を飲み、ややペースが落ちてきました。

やっぱり、信長伯父さん、基本、酒強くないんじゃなかろうか?

さて、そろそろだな。柑橘での味変、仕掛けるか。

ゾレアの注射、現在検討中。

スギ花粉症以外に、喘息や重症蕁麻疹にも効果あるのね。

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