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信孝なんかに『本能寺の変』のとばっちりで殺されていられません~信澄公転生記~   作者: 柳庵


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489話 南伊勢攻略戦 軍議

1/19 7時に予定投稿の設定をしたつもりでしたが、どうやら忘れていたようです。

滝川一益が北畠御所を焼き討ちして数日。

わざと城に焼き出された人々を追い込みつつ、矢合戦、罵詈雑言による挑発などを組み合わせた、いわゆる一般的な兵糧攻めが粛々と行われる。


たが、しかし。

信長は基本的に長期の兵糧攻めの経験が決定的に不足していた。尾張統一での戦い、岐阜城攻め、上洛戦のいずれもが、短期戦を繰り返すというものであり、長期の籠城戦はなかったのだ。

経験不足から、数日変化が無いことに対して信長はイライラし始める。


それを見越して、滝川一益は城に人々を追い立てるという策にもう一工夫乗せていた。すなわち、この人々の中に甲賀衆を紛れ込ませ、少しでも城内の情報収集を図ろうとしたのだ。

そして、その情報を信長に伝えることで、少しでも苛つきを軽減し短慮や誤った判断を減らせれば、と考えていた。


だが、甲賀衆からの連絡は三日目にして絶えた。

大河内城内に入っていた伊賀衆が、潜入した甲賀衆を狩りつくしたのだった。


伊賀は惣国一揆と言われるほど国人領主達の力が強く、大勢力の支配下には無い地域ではある。


だが、力で支配するわけではなく各々の国人領主達と長らく親交を結んできた北畠家と新興の織田家を見比べて、親北畠という勢力が一定数存在したのだ。


そして、そんな国人領主たちのなかには、一族のものや配下の忍びを大河内城に入れたものもいたのだった。

わざわざ死地になるであろうところに送り込まれた伊賀の忍び達が弱者であろうはずがない。彼らは焼け出された人々のなかに紛れ込んだ甲賀衆を見つけては処していった。

まさに見敵必殺。たった数日で城内の情報は手にはいらなくなったのだった。


数日ごとに行われる信長本陣での軍議にて、諸将の前でその事を報告する滝川一益の気は重かった。


「で、だ。なんぞ動きはあったか?」


ほとんどの将からは、著変なく矢合戦を時折行っている報告があげられるのみである。

それらの報告を聞く信長の表情は厳しい。そのなかで、更に機嫌を悪くするような報告をしなければならない滝川一益の心中は察するに余りある。


「恐れながら。過日、城に追い込んだ者どもに紛れ込ませた手の者からの連絡が途切れました。殿には城内の様子をご報告申し上げておりましたが、今後はご報告することができませぬ。大変申し訳ございませぬ」


そう報告する滝川一益の表情は硬い。


「で、あるか。一益の報告のみ、城内の様子が伝わってきたのであったが。敵も無能ではない、ということであろう。で、一益。どうする?」


信長の口調は静かなものであったが、底冷えするほどに冷たい。


「はっ。手のものに調べさせたところ、西の丸と本丸の間、魔虫谷なるところから城に向かう道筋がやや手薄とのことにござする。魔虫谷から攻め登り、西の丸を落としてご覧に入れまする。兵糧攻めの途中ではござりまするが、それがしに兵を預けていただき、一度、力攻めの機会をいただきたく伏してお願い申し上げまする」


そう言うと、頭を下げる滝川一益。

その場にいる諸将は下手に力攻めの担当を命じられる事を恐れてただ静かに様相を見守る。


「その言や、良し。一益には長年にわたる伊勢攻略の功もある。信包の軍の半分を預ける。信包、良いな」


手に持った軍扇で滝川一益を指すと、わずかに表情を緩める信長。そして、南の陣の大将たる実弟信包の顔を見た。


「ご下命、承りましてございまする。滝川殿が西の丸を落としたならば、それがしもそれをあわせて動く所存にございまする」


神戸信包はチラッと滝川一益の方を見たあと、信長に向けて頭を下げた。その様子を見て信長は満足そうに頷く。

信長の雰囲気が変わったことを感じ、力攻めを命じられずに済んだ諸将にはホッとした空気が流れた。


その場の雰囲気の変化を感じた佐久間信盛は、これを好機と見て、一つ踏み込んだ。


「滝川殿の力攻め、まことに結構。滝川殿が見つけたという城の守りの薄いところ、魔虫谷と言ったか。そこからの西の丸を落とすこと、それがしも願っておりまするぞ。

そうだ、殿。せっかくですから、伊勢神宮に戦勝祈願などに行かれては如何ですかな。気分を変えるのと、戦勝祈願の両方が出来て、一石二鳥かと存じまする」


さも、今この場で良いことを思いついたというように進言する佐久間信盛。

諸将もイライラする信長が兵糧攻めからいつ思いつきで力攻めに変わるのか、力攻めを命じられるかを不安に思っており、信長が兵糧攻めから数日でも離れてくれれば、という思いは共通していたため、固唾をのんで行方を見守る。

特に佐久間信盛は永禄二年、岩倉城で信長が上洛をしている間に柴田勝家らと三人で兵糧攻めを担当したという自負もあり、信長を兵糧攻めの現場から少し離れても大丈夫である、いや、むしろ、少し離れてくれたほうが良いと思っていた。


が、佐久間信盛の期待は言下に否定される。


「信盛。それは無い。大河内城を囲む前に戦勝祈願で伊勢神宮に参拝するなら分かるが、今ではない。今、戦勝祈願に参拝すれば、儂は北畠ごときを攻めあぐね、途中で神頼みをしたということになる。故に、それは無い」


信長は、滝川一益を見た時よりもさらに冷たい目で佐久間信盛を見ながら、そう言うのだった。

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