459話 帰り道
少し短いですが、話の区切り的に今回は、これで。
ども、坊丸です。
現在、犬山城から岐阜に向かって3人で轡を並べて帰宅中の坊丸です。
診察の後、佐久間盛次殿の言葉にちょっと泪したのは秘密です。「目から汗が」ってやつですね。ええ。
「親父殿。盛次殿は思ったよりも元気そうですね。少し痩せられたようには見えましたが」
「ふむ。坊丸にはそう見えたか。儂にはかなり無理をしているように見えたがな。私室にてそなたの肩に置かれた手も以前よりだいぶ細くなったように見えたぞ」
「殿の言う通りにございますな。伝え聞くところによると、十日のうち七日は熱がでているとか。高熱を出すこともあるようですな。そんなときには右足の傷から膿や血が出ることもあるとか。数日前に本日の面会の許可が出たところを見るに、少しでも体調が良くなる時に我らとの面会を設定したのでございましょうな」
「そうでしたか…」
創部ばかり診て全身の様子や雰囲気を見落としてたのかもしれないな、自分。そういうところ、気をつけないと。
「そう、落ち込むでない、坊丸。我ら二人は佐久間盛次殿とは義兄弟ぞ。家族の縁を結ぶ前からお互い顔を見知っておるし、一族となってからは、何かにつけて顔を合わせてきた。法事で隣に並び、宴席で酒坏を交わした。それこそ、同じ戦場にも立った。だからこそ分かる。今日のやつは無理をしていた。なぁ、次兵衛」
「権六殿の言う通りかと。我々の前ではかなり気丈に振る舞っていたと思いまする。本来ならば表御殿から私室に移動するだけでも辛いのではないかと」
「それにな、お前に向けて語りかけているようで、あれは盛政に向けて話しているように見受けられた。あ奴、盛政とともに戦えたことで満足しているのではなかろうか。まるで、やるべきことは全てやりきったようなことを言いおった。いつ死んでもよいような口ぶりではないかぁ…。まだまだ、ともに織田家の柱石としての仕事をこなしてほしいのだが…」
「そうですな。犬山佐久間の兵権を殿に託されたのも、今後のことを見据えて、ということかもしれませぬ。自分が、いつ亡くなっても良いように権六殿に兵権を預け、盛政殿に柴田の寄騎として働くことに慣れておくよう仕向けた、とも考えることができようかと」
自分に向けたように見せて、盛政殿にも、柴田の親父殿にも多くの意味を持たせて話していたのか…。
織田家の家老格を長年務めるその経歴は伊達じゃ無い!って感じですね。
「全く、盛次のやつ、もっと生きたいと貪欲になってくれんと困るのだが…。母上にどのように伝えるか…」
「そうですなぁ。義母上様には、次の戦での兵権のこと、盛政殿のことをお伝えして、痩せてしまっていた事や歩くのに難儀していたことは正直にお伝えするしかありませすまい。後は、坊丸殿が傷を治してくれることを本人も期待していた、と伝えるだけで宜しいかと」
「と、言うことだ。坊丸。本人もお主に傷を見せたし、治療を受けることも同意したのでな。何度か通って、なんぞ足を治すすべがないか考えてくれ。虎哉禅師にも、相談してな」
「はっ。承りました。で、それにかかる金子のほうは…」
「つっ!金に糸目はつけん、と言いたいところだが、他家の事である故な。親族でもある故、それなりには支度する。湯水の如く使うような真似はするなよ」
「ありがたき幸せ。後日、今一度、傷を診せていただき、手筈を整えたく」
「たく、金子の心配なんぞしおって、誰に似たのだか」
そんなことを呟く柴田の親父殿。それはね、柴田家の財政を預かる吉田次兵衛って人の仕事っぷりを間近で見てきたからですよ!二人の名誉のために名前は口に出さないけど。
そんな思いを込めてチラッと次兵衛さんをみたら、露骨に目をそらされました。ヤレヤレ、だぜ。
目から汗のもとネタは色々あるようですが、高見山関のものが日本では比較的古いようです。
「〜は伊達じゃ無い!」は、機動戦士ガ▷ダ△逆襲なシャーの安室・例な人の名言から「ニューガムダンは伊達じゃ無い!」ってヤツですな。
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