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451話 バテレンが来た! 什参話

ども、坊丸です。

自分が、小姓仕事中に信長伯父さんにルイス・フロイスさん達が面会したあと、ロレンソ了斎さんがご挨拶に来たそうです。大津長昌殿が岐阜に戻ったので、信長伯父さんから京都での布教許可、追放令の撤回についての書状を数通発行してもらったとのこと。

やっぱり、伯父さんの小姓衆の中でも文官仕事が得意らしい大津伝十郎殿が間に入ると物事が進むのが早いご様子。

そして、それを持ってルイス・ナカイさんが大急ぎで京都に戻ったとのことでした。で、大津殿はルイス・フロイスさんとロレンソ了斎さんを数日歓待したあと、今度は伊勢に向けて出発したとロレンソさんが言っていたそうです。


で、数日後、夜勤明けの眠い眼をこすりながら、柴田の屋敷に戻ってくると、ルイス・フロイスさんとロレンソ了斎さんが屋敷を訪問してきました。

柴田の親父殿に書状を作ってくれたことの感謝と岐阜を出立前のご挨拶の為に面会したいので、取次を頼みに来たとのことでしてよ。まぁ、メインの取次の大津長昌殿が伊勢に行っちゃったから、仕方がないよねぇ。


親父殿もルイス・フロイスさん、ロレンソ了斎さんの訪問をとても喜んでました。

そして、岐阜城に使者を出しつつ、饗応をするとか言い出しました。

こちとら、激眠いので、饗応の手伝いをしないで寝たいのですが…。

ルイス・フロイスさんが、前回の饗応の時に帰り際に言ってたんですよ。まぁ、正確にはルイス・ナカイさんが翻訳して伝えてくれたんですが、「祖国ではプヂンに橙を入れてました!あれは良いものです」と言ってたそうなんです。

これってたぶん、橙って翻訳されてるけど、「オレンジ」を「橙」と翻訳したのではないかと予想。ポルトガルとかスペインってオレンジ取れるらしいし。バレンシアオレンジとか?

代用品として橙がいいのかもしれないけど、あれって冬に収穫なんだよねぇ…。スダチか青柚子の絞り汁でも入れて微かに柑橘を感じてもらうくらいしかないですよねぇ。良し、今日作るプリンにはスダチを数滴入れて香り付けしてもらうように、お滝さんに一言言っておこう。

そして、自分は寝る!寝てやる!


グー。


はい、寝ました。爆睡です。

そして、本日は岐阜城に出仕ですよ。

昨日は、普通のプリンを出したあとに、スダチが香る柑橘系プリンを出してルイス・フロイスさん、感動いただいたようですよ。自分、明けで、寝てたんでどんな感じだったのかはよう知らんけどね。


翌日、柴田の親父殿がルイス・フロイスさんを連れて岐阜城に登城。親父殿、毎度お疲れ様です。

帰ってきた親父殿が言うには、家臣や小姓衆、公家数名と共に表御殿の一階大広間にて信長伯父さんはルイス・フロイスさんと面会したそうです。

そこで、「帝も公方も気にするには及ばず。都での布教は我信長の下にこれを許可する。これは決まりである」と宣言したそうです。

その後いつ都に戻るのかと聞き、ルイス・フロイスさんが京都に戻るため明日には岐阜を立つ旨答えると、明日、山の頂上にある殿主を見せるから出立を明後日に延ばせと言ったとのこと。


やれやれ、自分の宝物を見せたい子供ですか、伯父様は。

と、このときはそんな感じに思っておりました。まさか、我が身にも関係して来るとは思わないからね。


で、翌日いつものように自分が岐阜城に出仕して朝の勉学のお供なんぞをしていると、奇妙丸様のもとに信長伯父さんの小姓衆、堀久太郎くんが急に訪問。

で、何かありましたか?堀久太郎くん?


「奇妙丸様、失礼致しまする。殿より、奇妙丸様、茶筅丸様にご連絡でございます。お二方は織田の跡取りとしてバテレン衆の饗応に参加するようご下命にございまする。頂上殿主、饗応の間にお越し頂くようお願い致しまする。宜しくご準備のほどを。

奇妙丸様の小姓衆は一、二名傍に控えるように。茶筅丸様には小姓衆が今のところおられませぬので、奇妙丸様の小姓衆がこれを兼ねていただきたく。では、それがしは茶筅丸様のもとにご連絡に向かいますので、御免」


堀久太郎くんは必要なことを伝えると身を翻して茶筅丸様のもとに向かったようです。


「ふむ。父上からのご下命とあらば、行かねばなるまい。バテレン衆、紅毛人も見てみたいしな。供の者は…」


小姓衆をぐるりと見渡す奇妙丸様。誰を連れてくのか考えているんだと思いますが…。自分、ルイス・フロイスさんに既に会ってるからどっちでもいいんですがね。仕事ですから、選ばれたらやる、というだけ。

それに対して、牛助くんは眼をキラキラさせてるし。第二世代は目を背けてるし。虎丸くんは、穏やかに微笑むのみ。虎丸くんもどっちでもいいんでしょうな、普段どおりだし。自分と同じで、仕事としてやるべきことはやる、って感じでしょうか。


「虎丸、坊丸。供致せ。虎丸は自分につけ。坊丸は茶筅を補佐せよ。他のものは待機。ここで控えおけ」


「「「「「はっ」」」」」


あちゃー、茶筅丸様の補佐役小姓衆として選ばれちゃったよ…。まぁ、この中では茶筅丸様と絡んだ事あるの自分だけだしなぁ…。仕方ないかぁ…。


で、頂上の殿主、饗応に使われる間に向かうと、自分と虎丸くんは信長伯父さんの小姓衆数名が待機している控えの間に移動。

なんだ、この控えの間にいればいいの感じですね。なら、何も起きないかな。まぁ、小姓衆は何か起きたときに主人の指示で走り回るのが仕事なわけですからね。着座して虎丸くんと数言、言葉を交わしていると、名前が呼ばれました。


「津田坊丸殿、茶筅丸様がこちらに向かっております。もうすぐご到着かと。ご挨拶を」


蒲生忠三郎くんがそう声をかけてくれましたので、まずは茶筅丸様にご挨拶に行くことに。

堀久太郎くんの後ろで稲葉山をもうすぐ登山完了しそうな茶筅丸様発見。

近づいて片膝立ちで待機すると二人が歩みを止めました。


「む、坊丸殿。いかがした?茶筅丸様のご案内の途中なのだが」


「はっ。堀久太郎殿にはお役目ご苦労さまでございます。奇妙丸様より、この度の供に選ばれました。また、茶筅丸様の小姓役を兼ねて務めるよう言いつかっております。茶筅丸様、本日は宜しくお願い致しまする。小姓の控えの間におりますれば、必要な時はお呼びください」


そう言って頭を下げます。


「ん。津田坊丸、ご苦労。何かある時は声をかける。本日は宜しく頼むぞ」


そう言うと、茶筅丸様が織田家にしては丸顔なお顔に笑みを浮かべました。


まぁ、信長伯父さんとルイス・フロイスさんが、面会するだけ、のはずだからね。

きっと何も起こらないよね。ほんと、何もなければいいんですがね。いや、何も起こらんでくれよぉ。

バレンシアオレンジと坊丸くんは言っておりますが、実際の原産国はアメリカのサンタナアで開発されたオレンジ。バレンシア産のオレンジに似ていたことからブランド名としてバレンシアオレンジが採用されたらしいです。実はバレンシアオレンジがスペインのバレンシア産でないので、坊丸くんは名前からの印象で間違えているわけです。


奇妙丸くんは、紅毛人と会うワクワクとそれと同じくらい何か起こったら困るという思いがあります。

なので、小姓衆最年長で頼りがいのある森虎丸くんと何かやらかすリスクはあるけど小姓衆になる前から気心の知れている坊丸を選びました。

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